ヤクのチーズ

フランス詩を一緒に学んでいる
石丸さんが夏休みに天空の楽園、
北インドのラダック地方に行った。
気高い岩山にインダス川が流れ、
青く美しいパンゴンツォ湖。

ラダック人はチベット民族、
チベット仏教の信仰厚く、
大麦を育てて薄いパンにする。
合わせるのはヤクのチーズだ。
ふさふさの長い毛を持つ野牛。

石丸さんがヤクのチーズを
皆へのお土産に持ってきた。
素朴なセミハードチーズで
塩分が少なくハーブの香り。
地元では保存食だそう。

水牛のような長い角、
体長4m、体重1200kg。
牛なのにモーとは鳴かず、
低い唸り声を発する。
黄金の毛を持つヤクもいる。

日本ではヤクの長い尾毛を
装飾として兜や槍に付け、
勇壮な武士を表した。
歌舞伎の鏡獅子や振り毛も
ヤクの尾毛が使われている。

勇猛な巨漢の黄金のヤク。
そのチーズを食めば、
血湧き肉躍るかもしれない。
今夜は眠れるだろうか?
それほどの珍味であった。