いい人は仏様になる

O先輩は白装束で
棺の中で眠っていた。
いつものつるっとした
美しい顔だった。
穏やかで安らかな表情、
優しい人柄は亡くなっても
ふんわりと表れていた。

先輩、起きてくださいよ、
思わず声を掛けてしまう。
先輩は眠ったままだけど、
柔和な笑顔だった。
先輩、起きてくださいよ、
みんな集まってきましたよ。
宴会が始まりますよ。

お坊さんが来てお経が始まる。
遺影は禿げた頭の笑顔で
ポロシャツの襟を立てている。
そういえばラグジャも
いつも襟を立ててたっけ。
最後に焼き鳥屋で会ったときも
襟を立てていましたよね。

今日は白い着物を着て、
仰向けに寝ているけれど、
本当に仏さまみたい。
O先輩は仏様になって
きっと奥様や娘たち、
僕ら後輩を守ってくれるに
違いないのだろうなと思う。

いい人は亡くなると
仏さまになるのだなと
O先輩を見ていて思う。
南無阿弥陀仏、
南無阿弥陀仏、
南無阿弥陀仏、
阿弥陀仏に帰依します。