自分で法人税の申告は難しい。所得税の申告と何が違うのかを解説
個人で事業をはじめて
利益がだいぶ出てきたので、
「そろそろ法人成りを考えたいな」と思ったとき
「今まで所得税の申告は自分でやってきたので
法人税の申告も自分でできるかな?」
と考えるかもしれません。
しかし、
法人税の申告は、
所得税の申告に比べて相当難易度が高くなります。
何を隠そう
私自身、税理士試験で「法人税法」を受験していないため、
実務で法人税の申告書を作成するのに
大変苦しみました。
法人税の申告は
所得税の申告と何が違うのか
お伝えします。
申告書の考え方がそもそも違う
所得税の申告書は、
という、まあまあシンプルな流れなので、
ある程度わかりやすく
自分で申告できる人も多いです。
しかし法人税の場合、
・会計ソフトで計算した利益(会社の業績を表す利益)
と
・法人税を計算する上での利益(公平に税金を課するための利益)
が違います。
法人税の申告書は
という役割を果たします。
ちょっと何言っているかわからないと思うので
例をあげてみますと、
会計ソフトで利益を計算する際、
納付した法人税は
勘定科目「法人税等」という経費になります。
しかし法人税の計算上、
「法人税等」は経費になりません。
仮に
・会計ソフトで計算した利益:200万円
・法人税等:50万円
だとしたら、
会計ソフトの利益200万円に
法人税等50万円を足した250万円が
法人税を計算する上での利益となり、
この250万円に対して税率がかけられ
法人税が計算されます。
ここまでの説明で、
内容はわからずとも
「何だかとてつもなく難しそう」
というニュアンスは伝わったのではないでしょうか?
他にも法人税の申告書には
いろいろと書類があります。
マニュアル通りに書類を埋めていけば
とりあえず申告書はできあがるかもしれませんが、
それぞれの書類の数字が
どこに飛んでいるのかわからず
合っているんだか合っていないんだか
全体像が見えずに困ってしまうでしょう。
私もこの仕事をはじめたころ、
法人税の申告書は見よう見まねで作ったものの、
全然意味がわからず必死に勉強しました。
提出する書類が多い
所得税の申告では
・青色決算書
・所得税確定申告書
を提出すれば終わりです。
いっぽう法人税の申告は
・法人税確定申告書
・決算報告書
・勘定科目内訳書
・事業概況報告書
と書類の数が増えます。
しかも上で述べたとおり、
法人税の申告書だけでも
たくさんの書類があります。
法人税の申告書は
所得税の申告書に比べ
難解な用語が羅列されているので、
その用語を調べるだけでも
大変な作業になります。
◯◯の書類を提出しないと
特例が受けられない、
などの落とし穴もあります。
申告書を提出する場所が多く、納める税目も多い
個人事業主の場合、
所得税の確定申告書を提出すれば、
・住民税
・事業税(必要がある人のみ)
は都道府県・市区町村が計算してくれ
納付書を送ってくれます。
しかし法人の場合、
法人税の確定申告書を提出しても
法人住民税・事業税は勝手に計算してくれず、
自分で管轄の都道府県・市区町村に
地方税の確定申告書を提出し、
住民税や事業税などを納付しなければなりません。
まとめ
法人税の申告書は、
所得税の申告書に比べて
格段に作るのが難しいです。
ご自身で作りたいのであれば、
少なくとも設立した年の申告は
税理士のサポートを受けることをおすすめします。
最初から全部自分でやろうとすると、
よくわからないまま申告をして
税務調査が来ないか不安になったり、
わからないから投げ出して
何年も無申告にしてしまったり
するかもしれません。
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