小学生が日記・作文を書く7つのコツ

小学校で日記や作文の宿題を課されて、頭を抱えるお子さん・保護者が少なくないと思います。
先生によっては、書く素材の見つけ方や、書き方の指導もあまりしないまま宿題にすることもあります。私の塾に通っている子供には、まず7つのコツを教えます。

「か」「き」「く」「ぐ」「り」「た」「か」とは?!

7つのコツを箇条書きで列挙します。
▽「か」=会話を入れる▽「き」=気持ちを文の途中にも書く▽「く」=比べる▽「ぐ」=具体的に▽「り」=理由を書く(「どうしてかというと」)▽「た」=たとえ(比喩)をいれる▽「か」=書き出しに結論を書かない

これらの冒頭の一文字を集めて、子どもが覚えやすいように、作文を書く7つのコツ=「か・き・く・ぐ・り・た・か」と命名しました。

「か」=会話を入れる

1番目の「会話を入れる」というのが、子どもが一番、実行しやすいかもしれません。
最初は、短くてもいいから、1つの作文(日記)に、必ず、1カ所以上の会話(「」の部分)を書かせるようにしてみてください。
徐々に、1つの会話(発言)を長くしていき、誰かとのやりとり(会話のキャッチボール)に発展していくといいですね。
こうした会話の場面が登場すれば、結果を伝えるための説明的な文章だけの作文(日記)に比べて、ぐっと、広がりが出てきます。
慣れないうちは、あまり意味のない会話を選んで、書いてしまうかもしれませんが、文中に会話の部分を書いたことを、ほめてあげましょう。
作文(日記)で最低1つは会話をとりあげることを決めてしまえば、授業中の先生と生徒のやりとりや、休み時間中の友達同士の会話なども、意識して聴くようになり、以前よりも記憶にとどめやすくなるでしょう。

「き」=気持ちを文の途中にも書く

2番目の「気持ちを、文の途中にも書く」というのは、具体的な状況の中で自分がどう感じたか、考えたかを表現しようということです。
小学生の作文で多いのは、作文の一番最後に、結論的な気持ち・感想(「楽しかった」「おもしろかった」)を書いて締めくくるというケースです。
このように終わってもいいのですが、できれば、文の途中のある場面、状況の中での自分の気持ちを書けば、読む人により、書いた人の人柄や発想が伝わります。

「く」=比べる

3番目の「比べる」というのは、過去の似たような体験と比べたり、目の前の「あるもの」と別の場所の「あるもの」を比べたりして、対比を書くことで、より伝わりやすくなる、ということです。

例えば、運動会での徒競走の体験でも、3年生のときと、入学した直後の1年生では感じ方もかなり違うはずです。3年生で、運動会の作文を書く際、2年前の自分はこうだったなあ、と書いて、今の自分と比べると、ずいぶん成長したことが実感できるのではないでしょうか。
動物園で見た象を表現する際、今回見た象と、去年、上野動物園で見た象を比べたりすることで、表現が広がると思います。
何かと比べることで共通点、相違点を見つけ、それを書いていけば、具体的に記述することができます。

「ぐ」=具体的に

「具体的に」というのは、場面を描写する際、数字や色、大きさなどの情報を書くということです。

例えば、「長い行列ができていました。」ではなくて、「子どもやお年寄りら約30人が行列をつくっていました。」と書いたり、「大きな石がありました。」ではなくて、「私の背丈より大きな石がありました。」と書いたりした方が、読み手により伝わるということです。五感もフルに働かせて、音や匂い、味、時には触感なども書くといいでしょう。

感情を表現する場合も、ただ「楽しかった」「悲しかった」と書くのではなく、「楽しかったので、今度は弟と一緒に来たいと思いました」とか、「涙が自然とこぼれてきて、親友の言葉も耳に入りませんでした」と書いた方が、筆者の気持ちがより伝わります。

「り」=理由を書く

「理由を書く」ことは、比較的子どもが実践しやすい方法です。その書き方を教えてあげる必要はありますが・・・。

例えば、「友達に鉛筆を貸してあげた。どうしてかというと、その友達は筆箱を忘れて来たから です。」とか、「家の中で遊びました。雨がふりだしたからです。」といった具合です。慣れてくれば、毎回、2文に分けるのではなく、「雨が降ってきたので、家の中で遊びました。」と1文にしたり、変化をつける練習をしてもいいですが、最初は文章の巧拙には目をつむり、とにかく理由を書いていればOKと判断しましょう。

「た」=たとえ(比喩)をいれる

「たとえ(比喩)をいれる」と、より状況や考えが読み手に伝わります。「まったく動かず、両手を広げているA君は、まるで案山子のようでした」とか、「まるでバレリーナになったかのように、B子は部屋中を跳ねまわっていました」といった具合です。

「か」=書き出しに結論を書かない

最後の「書き出しに結論を書かない」というのは、かなり難しいかもしれません。また、結論から書き出しては、絶対だめ、ということでもありません。

ブログに作文・読書感想文の書き方の助言を書いています

小学生の作文の書き方の留意点は、私のブログで詳述しています。

以下の「運動会」の作文の例をご覧になってください。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今日、運動会がありました。
私は、玉入れと100メートル走に出ました。
玉入れは、まあまあ、うまくでき、赤組に勝つことができました。
100メートル走では3番になりました。
来年は、1番になりたいと思いました。
疲れたけれど、楽しかったです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
パーン。
ピストルの合図とともに、私は、かごの下に走りました。
お手玉をひろっては、かごに向かって投げました。
1つ、2つ、3つ。
最初は、いくら投げても、かごに入りません。
どうしてかというと、わたしは、あまりボール投げが
得意ではないからです。
太郎くんが、
「1つずつじゃなく、3、4個、まとめて投げると、いいよ」
と教えてくれました。
言われたとおり、3つまとめて投げると、1つ入りました。
つりざおでは、なかなか採とれない魚でも、
網を使うと、いっぱい採れるのと同じだなと思いました。
今度は、4個まとめて投げてみました。2つ入りました。
私はうれしくなって、玉を両手いっぱいに集め、
えいっと、放り投げました。3つも入りました。
まわりの友だちも同じように、まとめ投げを始めました。
かごには白い玉がどんどんとたまっていきます。
パーン。
終わりの合図がなりました。
先生が玉を数えた結果は、白102個、赤76個。
白組の大勝利でした。
私は太郎くんに「教えてくれてありがとう。やったね」と言い、
思わず飛びはねてしまいました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
最初の文章は、「今日は、運動会がありました。私は、玉入れと100メートル走に出ました。」で始まっています。このように書き出しても、もちろん、2つ目の例文のような「場面」を書いていくこともできます。

そのような展開ができるようなら、結論から書いてもいいでしょう。
また、複雑な話題を書く場合は、最初に結論を書いた方が、分かりやすい文章になることもあります。

ただ、読む人に興味をもってもらって引き込もうと思えば、場面から展開して、結果(結論)は後ろにもっていった方がいいと思います。面白い場面を記憶し、思い出しながら、ていねいに書くことを毎日繰り返していれば、日常生活の中で観察眼が鍛えられるという効果も期待できます。

以上、作文を書く際に、留意すべき7つのコツを挙げました。
小学生が(中学生でも)、1つの作文で、これらをすべて網羅するのは難しいと思います。
ただ、1つでも、2つでも、意識的に実践すると、作文の幅が広がることは確実です。

7つのコツを簡単に整理したPDFファイルは、ここからダウンロードできます。

作文は、書き方(文章の技術)も大切ですが、作文にとりあげようと思う体験をした際、体験した事柄を必要な形で記憶することの方がより大事かもしれません。

作文を書くために記憶するというわけではありませんが、いろいろな体験を血肉化するためには、体験している最中にいろいろ考え、感じる必要があります。結果として、考えたことや感じたことを思い出せば、 作文を書く際にも役立つことになります。

日記帳を前にして、「きょうは書くこと(素材)がない」とお子さんが言えば、「授業のことでも、休み時間のことでも、給食のことでも、 学校の行き帰りの出来事でも、ささいなことでいいのよ」と、保護者は励ましながら、いっしょに考えてあげる機会も多いでしょう。

うまく日記が書けるにこしたことはないですが、もっと大切なのは、子供が毎日、どんな体験をして、どんな気持ちになっているかを、知ることです。書くのが苦手なお子さんからは、色々、話を聞き出してあげることの方が重要かもしれません。


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