噛めば噛むほど美味しい恋
わたしにとっての恋は、好きの感情が芽生えた瞬間がピーク。
相手を知れば知るほど、好きじゃなくなるのがわたしにとっての恋だった。
好きになるのは、その人自身に対してではなく、その人の理想像。知らないところは、自分の理想で埋めていき、少しでも現実とずれれば、恋のピークから落ちていく。
多くの人はこれを読んで、これを恋とは言わないだろう。
わたしもそう思う。
でも、わたしにだって、恋はあった。
知れば知るほど好きになる。あの感覚を、わたしも感じた。
初めは嫌悪感だった寝落ち電話のイビキも、緊張すると瞬きが以上に多くなることも、話した内容を覚えていないことも。全部愛しく思えてしまったら、たぶん、それは恋だった。
まだわたしは若いから、これから色んな恋を知るのだろうけど、やはり、あの人は特別に感じるのかも知れない。
知れば知るほど好きになる。
噛めば噛むほど美味しい、みたいな、
そんな恋だったから。