すべて手放すことにした、春
5月初日。今まで持っていた夢ややりたかったこと全て、一度手放すことにしました。
人生を通じて前に進むために私を支えてきたのは、「絶対にこうしたい。」という目標たちでした。私は、やりたいことのためには手段も選ばないし、努力も惜しまない。その結果自分が決めた目標、行きたかった大学、仕事、留学も全て手に入れてきました。
この2年間の間に私を支えていた目標は、
「アメリカ社会の中で、0からデザイナーとして国籍や人種問わず一緒に働けるようになって、実力をつけること。」
「アメリカにあと2〜3年はいられるようにビザを得ていること。」
「1〜2年以内に結婚したい。海外で出会う人の方が感覚が合うから、できればアメリカにいる間に結婚したい。」
という3つでした。私の中でこの3つは絶対的なポジションにあって、おかげで仕事を日本とアメリカの会社からゲットできたり、久々に心が穏やかにいられる外国人のパートナーができたりもしました。
しかし、今のビザは今年末で切れてしまいます。別のビザに更新しないといけないものの、企業がスポンサーをしてくれるか、アーティストビザという賞やメディア掲載歴などで自分の実力を示すビザにするのか、はたまた学生にもう1度戻るかという、どれも難ありな選択肢に迫られています。
諸事情で会社からのビザが出せない可能性が高いため、今はアーティストビザを狙おうとしていたのだけれども、そんな賞歴やメディアに載ったことなどない中で、どうすればいいのか不安に駆られていました。
そして、この不況の中で仕事が見つかっただけでもとてもありがたい話なのですが、2つの仕事を掛け持ちする中で、朝早くから夜遅くまで、週末も含めて作業することも増えたり、「私なんのためにこんなに働いているんだろう」というもやもや感、リモートであるゆえの孤独感にさいなまれるようになりました。
さらに、離れてしまったらやっていけるのかという不安や、将来のことなどをパートナーに話したところ、「人生について考えるペースが違うし、僕自身は将来もまだ見えていない。将来が見えたとしても、自分と同じ文化の人と一緒にいたいと思う。」と言われてしまい、結局別れることになってしまいました。
仕事、ビザ、結婚。すべてのパズルのピースを上手く合わせようとしたけれども、自分だとどうしようもできない力学が働いていて、全く合う気配がない。世の中には上手く物事が進む人もいる中で、どうして私はこんなに苦労するんだろう、と涙が止まらなくなり、4月の1ヶ月で食事がのどを通らず、体重が一気に2~3kg落ちるぐらいストレスで、久々に精神的に完全に参ってしまいました。
この全てが起こったのが先月の話なので、まだ正直完全に立ち直れていませんが、全部が暗礁に乗り上げて、気づいたことがあります。
将来の不安よりも、今を楽しむこと、今できることだけに集中すればよかった。この先いいパートナーがいても、いい仕事があっても、結婚・出産しても、不安はどんな時も付きものだと思います。だけれども、今しかできないことだってある。だから、今楽しめることを見た方が最終的には幸せなのではないか、と思うようになりました。
そして、自分の執着や夢にこだわりすぎると、自分を苦しめてしまうことがあるということ。努力だけではどうしようもならないことがある。頭ではわかっているのですが、今まで努力で全てを解決してきた自分としては、自分を支えてきたものが自分にとって重荷になっていることを、どうしても認められなかったです。それを認められるように考え方を変えようと思ったのは、自分の中では新しい動きでした。
ちょうど嵐の中にいた時に行ったヘアサロンで、美容師さんに髪を切ってもらいながらそんな話をしたところ、
「青春ですね」って言われたあとに、こう言われました。
「暗闇の中で見えたものこそ、本物なんだと思いますよ。」
今はまだ最低限の仕事をして、寝て、起きて、食べてという最低限のことしか自分の気持ちを持っていけていない。少しずつ自分が好きなことで生活を埋めるようにしていますが、それでも気を抜くと、どうしようも深い闇の中に沈んでしまいそうになる時があります。いつ立ち直れるのかわからないし、希望も持っていない。
それでも、淡々と前に進んで、流された結果、「あの時あれだけ苦しんでよかった」と思える日が来れることだけは信じたいなと思っています。
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