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あなたにあなたでいてほしい

今日、映画「PLAN75」を観てきました。
余韻がすごいです。
まだ胸がざわついています。

監督の早川千絵さんの言葉です。

「ここ数年の間に『自己責任』という言葉をたくさん耳にするようになって、社会的に弱い立場にいる人への風当たりが強くなってきているなと思っていたんです。政治家や著名人が差別的な発言をする様子を目にして、憤りを感じていました。」
「私が子供の頃は長生きがよいことであると教えられたんですが、ここ最近は歳を取ることに対する不安ばかりがメディアであおられるようになった。高齢化の問題が解決に向かわない憤りが政府に向かうのではなく高齢者に向かっている。若者と高齢者が分断されている危機感があったんです」

「PLAN75」という架空の制度からみれば、
ここからは価値がない、と年齢で線を引かれるようなものです。
映画では年齢が一つの線となっていましたが、年齢で言えば、みんながそこへ向かっているのです。
生きている限り、それは75歳へ向かっていることだから。
この瞬間も必ずそこへ向かい続けているから。
そうしたら、誰もがいつか「価値のない人間」となるのか。
そんなことは考えたくもないです。

この映画が、僕にこんなにも余韻を残しているのは、
「お前もそこへ向かっているんだ」
と、言われているような気がしたからかもしれません。
もっと言えば、「向かっている」よりも、
「もうそこにいる」
「価値ある、社会に役立つ人間でなければ死を突き付けられる」

と、言われている感じです。

人の価値、ってどこにあると思いますか?
スキル、能力、社会に役立っているか。
そんなことで人の価値が測られている場面が多いように感じています。

役立つことは、確かに「価値」であるのかもしれません。
でも、それが「人の価値の全て」として測られていいのか、と問われれば、僕はNOと言います。

以前、岸見一郎さんの「絶望から希望へ」という本を読んで、こんな記事を書きました。

「何かを持っているから」「何かをしたから」「何かができるから」、自分に価値があるという考え方から脱却しないといけません。

生きているだけで価値があります。
ーーー
ただ生きていることで、誰もが価値があります。

役立つよりも、
「あなたにあなたでいてほしい」
そんな願いが生まれました。

これを読んでくれている、あなた。
役立つことは、確かに大切で素晴らしいことだけれど、
それだけで人の価値が測られるわけではありません。
あなたはあなたでいてください。
あなたがあなたでいること。
それが何よりも、かけがえのないことだから。



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