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勝浦・色川の旅【3】ー面白い形の岩の上での日記ー

勝浦・色川の旅【0】
登場する場所と本

勝浦・色川の旅【1】
色川での日記

勝浦・色川の旅【2】
勝浦駅までのハイエースの中で

面白い形の岩の上での日記

岩の上でPCを開くのは初めてかもしれない。
今日も気持ちのいい、あたたかい日。
ここの岩たちの形が面白い。

昨晩まで今日の予定を決めていなかったが、結局昼過ぎの特急にて帰ることに。
熊野のめざめで昼食をいただくと決めた。
朝は市場でいただき、少し歩きたくなったのでここまで来た。
途中、神社があったのでお参りする。
今年厄年だという女性がお祓いをお願いしていた。
神社へ参るときは、「ありがとうございます」と心の中で言うようにしている。
何にありがとうなのかというと、多分今までは、「今ここにいること」への感謝だったように思う。
でも、未来に対するありがとうも、先に言っておくようにした。
運がいい人というのは、先に感謝しておく人のことらしい。
デヴィッド・ボウイが「僕らの望みは、もっと感謝したいということ」と言っていた。
その対象の一つとして神社というものはあるのかもしれない。
もちろん、目の前の人、もの、出来事に対しても、ありがとうございます。

場所を少しだけ移動。
潮が、ただ満ち、引いていく。
岩たちは一様に沖に対し斜め上を向くような形になっている。

釣りをしていた人たちが帰っていった。
ここでも寝そべってみる。
ゴツゴツした岩の上なのに、本当に気持ちいい。

日々へ帰っていくこと。
それが嫌だというわけではない。
いや、本当は嫌だと思っているのかもしれない。
でもそれは、自由ではなくなるからという理由ではない。
自由とは、自分に由ること。
そう思い知ってから、いつでも、どこにいようともそれは体現できるものだと信じている。
だから、どこにいるかというようなことは自由とはあまり関係なくなった。

夜中、何か書き残しておきたいという気持ちと共に何度か目覚めた。
iPhoneに頼りないメモだけが残っていた。
この町での娯楽は何なのだろう。
娯楽など必要ないのかもしれないけれど。
「お手軽な娯楽で満たせるようになると、本当に自分のやりたいことが見つけられなくなる」
さくらももこさんの言葉。

風が強くなった気がする。
と思えば、また静かになる。

フォーマットというのはありがたくもあり、迷惑でもある。
行き着く先のことが見えすぎてしまっているのは、あまりにつまらないというか、絶望すら感じることだ。
未来はわからない。
それは確かに不安なことかもしれないけれど、明確な未来が見えてしまえば、そこへ向かおうとする意志が消えてしまう気がする。
それは、未来が暗いということではない。
「わからない」ということが歩を進める源になってくれる。
さらの紙を一枚、そこには何でも書くことができる。
でも、書き方を知りたがる人が多いだろう。
あなたにとってのさらの紙がある。
どんどん紙はさらになっていける。
岩の形、近くで見えれば見るほど面白い。
脆そうな見た目にふれれば、確かに硬い。
長い長い年月の流れ。

【4】名古屋への特急の中で

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