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「同じ方向を見る」ということ

「すごい雲だね」

週末に久しぶりに帰省して、同じ車の中、父と母が言い合いました。


「同じ方向を見られる人」という言葉。
「パートナーに対して」、「採用広告の募集要項」、色んな場面で使われる表現ですよね。
いい言葉だけれど、抽象度も高い表現だと思います。

「方向」というのが曖昧なものですよね。
「方向」って、点じゃないですし、
人は点だけを見ていることって少ないように思います。

右の方、とかざっくりした方向もあります。
あとは、「北極星を見て」と言われたとき、
実際に見ているのは「北極星を含んだ周りの星空」だと思います。

「人は見たいものを見たいようにしか見ない」
そうも言われる中、
「同じ方向を見る」って、簡単じゃないです。

やっぱり北極星のような「強く輝く点」をもってして、「同じ方向を見る」ということができるのかなー、とも思います。

でも、自分が見ている景色を、そっくりそのまま相手に伝えることなんてできないですよね。
相手がどんな風に世界を見ているかも、全てまるっとはわからないものです。
自分が見ている景色と、相手が見ている景色。
その重なりを信じることが、「同じ方向を見る」ということなのかなー、と思いました。

そして、その重なりは思っているよりも広がっているのかもしれません。

「すごい雲だね」

父は窓の左側を、母は右側を見て言い合っていました。
そうやって「同じ方向を見ながら」、40年近く共に暮らしてきた2人がいます。
2人がケンカしているところも何度か見かけたけれど、
大体仲良く、そして年を重ねるごとにさらに仲良く、暮らしているように思います。

方向って、曖昧かもしれないけれど、
その曖昧さがあっても大丈夫。
曖昧だからこそ、大丈夫。
そこに広がりを見出せるから。
あなたと全く同じ景色を見ることはできないかもしれないけれど、
「同じ方向を見つめること」はできるから。

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