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過食嘔吐体験記⑤ ダイエット開始と過食の再来

私は希望した高校へ無事合格した。

入学後はほぼ帰宅部のような部活に所属し、あとは勉強に没頭することにした。

勉強の成果はわかりやすく発揮されて、学年1桁、クラスでは5位以内の順位を保つことができ、2年生では特進クラスに入る。


勉強面は順調だったが、相変わらず食生活は変えられず、私はさらに太っていった。

身長149㎝で、50㎏は超えていただろうか。
中学1年生のころから比べると、10㎏程度は増えていたと思う。


食事制限や運動など、様々なダイエットを試していたけれど、続いた試しはなかった。



だが高校2年の春頃、突然「朝スムージーダイエット」に目覚める。
朝スムージーダイエットとは、朝ごはんをグリーンスムージーに変える方法だ。

1年ほど前、太っていく私を心配した母が、私を痩せさせようとスムージーを作って飲ませたことがある。

私は当時、その味を受け付けず飲まなくなってしまったが、その時買ったであろうミキサーが戸棚の奥に眠っていた。


それを使って、朝食をパンやフルグラからスムージーに変えた2日目、一気に体重が0.8kg落ちる。

これに歓喜し、私はダイエットの波に乗った。

こんなに効果があったのは初めてで、効果が目で見て分かることに喜びを感じた結果、モチベーションが上がった。


そこから半年ほどかけて、10㎏近く痩せていくのだが…




今でこそ言えるけれど、食事制限だけのダイエットは良くない。

代謝が落ち、痩せにくく太りやすいがために食べなくなるといった、負のループを作り出す身体になってしまう。

そんな当たり前のこともうすうすと分かっていたが、目で見て分かる効果=数字の変化を得るのに必死で、食事制限のダイエットを続けた。

カロリーを気にし、食べる量はどんどん減っていったし、母の手料理も食べなくなっていった。


最初の目標は44㎏だった。

これを達成すればダイエットは終わろうと思っていたけれど、実際に44㎏になってみると、自分の体形に納得がいかない。

次の目標を42㎏に変える。

これも同じ結果だった。
私は40㎏を切ってみたくなった。


朝と夜に体重計に乗っていたが、最初は寝ると0.5㎏は落ちていたのが、この頃になると0.1㎏しか落ちなくなっていた。

代謝が落ちていたのだ。



40.0㎏になった朝。
何かが崩れた気がした。


私は普通に母の手料理を食べた。
とても美味しくて、美味しいというと、母も嬉しかったのだろう「好きなものを食べていいんだよ」と言った。


でもそれで止まらなかった。

今まで抑えていた食欲が爆発するように、私は隠れて冷蔵庫の中をあさり、減ったのが気づかれない量を少しずつ口の中に押し込む。


1回だけ、と言い聞かせながら、手が止まらない。

それが過食の再来だった。



あの時1日に暇さえあれば体重計に乗り、ダイエットのことばかり考える私は、周りからどう見えていたのだろうか。


私がどんどん痩せていくと、いつのまにか周りから友達が遠のいた。

顔はやつれていたし、もしかしたら怖いと思っていたのかもしれないなんて、いまさら考える。




次回「過食嘔吐体験記⑥ 自殺未遂」

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