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【腸活革命】酪酸菌で病気知らずで健康100歳の秘訣


長生きの秘訣はこれ!はじめまして、薬剤師の宮本です。
今回は、「健康長寿に必須!腸内細菌の酪酸菌」を紹介します。
日々の健康に必要な情報が詰まった内容なので、楽しみにしてください。

腸内細菌の善玉菌と言えば「ビフィズス菌」や「乳酸菌」がありますが、近年もっとも注目されているのが「酪酸菌」です。
酪酸菌は、腸にとって大切な「酪酸」を作り出す腸内細菌です。

最新の研究では、がんや糖尿病の予防・筋力向上・花粉症の改善、さらには新型コロナの重症化予防などさまざまな驚きの作用をもたらすことがわかってきました。

そんな酪酸菌とはいったい何なのか?
なぜ健康長寿者の腸には酪酸菌が多いのか?
について紹介していきます。

それでは本題に入ります。

ここ数年前から、健康・美容で話題になっている「腸内細菌」は、「腸内フローラ」と呼ばれたり、腸内細菌に注目したセルフケアの「腸活」も世間に広がっています。

生死に直結する心臓や脳だけでなく、腸が注目を集めてきているのです。
実はこの腸こそが私たちの健康に大きな影響を与えているのだと、だんだんわかってきました。

■1000種類以上も存在する腸内細菌

日本人の腸は小腸が長さ平均6~8m、大腸が約1.5mあります。
内部の総面積を計算すると、なんとテニスコート1面分に相当する広さになります。

これだけのものがお腹のなかにあって、生きていくうえで大切な働きをしているのです。
そして、この腸内の環境を左右するのが、1000種類以上、100兆個以上も存在すると腸内細菌です。

これらの細菌は、宿主であるヒトと共生関係にあり、ヒトが毎日摂る食物の栄養素をエサにして増殖し、さらにさまざまな代謝物を生成することで、私たち人間の体に大きな影響を与えます。

腸内細菌は腸壁の粘膜にびっしり生息し、その総重量は約1.5kgです。
腸内にさまざまな種類の細菌が生息している様子を腸内フローラ(腸内細菌叢)といいます。

この腸内フローラを正しくコントロールし改善するのが腸活です。
世界中の研究者から近年、腸内フローラには熱い視線が送られており、研究論文の数も直近10年ほどで急激に増えています。研究者たちの努力や成果もあり、腸内細菌の理解は大きく前進しました。

■有用菌(善玉菌)の役割の違い

今回紹介する、酪酸菌の内容にいく前に、有用菌として有名な乳酸菌とビフィズス菌についても紹介しながら、その違いを比較してみましょう。

私たちの腸に棲みついている有用菌は、食物繊維をエサにして健康維持に欠かせない「酸」を作り出します。
この酸が腸内を弱酸性に導くことで有害菌の発育が抑制され、有用菌の棲みやすい環境が作ります。

・乳酸菌

小腸下部から大腸にかけて存在しており、乳酸を作る細菌の総称のことで、腸内を酸性環境にすることで有害菌の発育を抑制します。
食品としては、ヨーグルト・チーズ・漬け物・日本酒など発酵食品に含まれます。

便通の改善だけではなく、コレステロールの低下や免疫機能を高めがんを予防するなど、さまざまな働きが確認されており、最近ではピロリ菌を排除するなどが確認されています。

他にも酪酸菌を増やす際に、乳酸菌と共にいることで増殖しやすくしてくれるのです。

・ビフィズス菌

大腸に存在しており、乳酸、酢酸を作り出すことで有害菌の増殖を抑えます。
酸に弱いので経口摂取によって生きたまま腸まで届けることが難しい細菌です。

食品としては、ヨーグルト・みそ・漬け物などあまり発酵食品には含まれていません。
こちらも便通の改善だけでなく、感染症予防効果、好アレルギー作用などが確認されております。

・酪酸菌

大腸に存在しており、酪酸を作る細菌の総称です。
酪酸や酢酸を作り出し、有害菌の発育を抑制します。

また、酪酸は大腸の主要なエネルギー源であり、酪酸により酸素が消費されることで、大腸内がビフィズス菌や他の有用菌が棲みやすい環境になります。
食品としてはぬか漬け、臭豆腐などに含まれています。

それでももう少し酪酸菌について詳しくみていきましょう。

■酪酸菌の「酪酸」とは

100歳を超えても病気知らずで、例え病気になっても重症化せず、すぐに回復する人がいます。

そのような健康長寿の人の便を調べると、ある種類の腸内細菌がたくさん見つかりました。
それが「酪酸菌」です。

酪酸菌は、大腸まで届いた食物繊維やオリゴ糖、レジスタントスターチなどの難消化性炭水化物を消費し、最終的な代謝産物として酪酸を産生します。

酪酸は口から摂取しても、胃や小腸で吸収されてしまい大腸にはほとんど届きません。
そのため、大腸に存在する酪酸菌から産生されることが大切なのです。

酪酸は、腸内細菌の酪酸菌が食物繊維を発酵・分解して作り出す「短鎖脂肪酸」の1種です。

短鎖脂肪酸には、酪酸のほかにも先ほど紹介した乳酸菌の「乳酸」、ビフィズス菌の「酢酸」などがあり、体内の代謝や免疫・メンタルなどの働きをサポートしています。

短鎖脂肪酸のうち、酢酸やプロピオン酸の一部は大腸で消費され、大部分は大腸の粘膜から吸収されます。

そこから血流にのって全身に運ばれ、筋肉や肝臓、腎臓などでエネルギー源や生存するために必要な脂肪を作るための材料となるのです。

一方、酪酸はそのほとんどが直接、大腸の粘膜上皮細胞のエネルギー源になることがわかっています。

大腸の粘膜上皮が必要とするエネルギーの約60~80%は、酪酸でまかなわれているのです。

一般的にヒトの細胞は血液中の栄養素をエサに生きているため、ちょっと変わった栄養の摂り方をします。

■酪酸菌が多い高齢者は長生き

京丹後市の65歳以上の高齢者の腸内細菌を研究調査したところ腸内細菌の種類の1つである「ファーミキューティス門」の割合が高いことが判明しました。

さらに、腸内細菌の構成を個々に詳しく調べていくと増えていたファーミキューティス門の多くが酪酸を産生する酪酸菌が占めていました。

このことがきっかけで、酪酸菌が作る酪酸こそが足腰を強くして寝たきりを防ぎ、腸の粘膜を健康に保ち、寿命を長くすることに関係することが分かってきました。

■酪酸が免疫を調節する

健康長寿に酪酸が関係する理由の1つ目が、免疫のバランスをとるのち大切な役割を担う制御性T細胞を誘導する働きがあります。

制御性T細胞はTregとも呼ばれ、異物の排除機能をもつエフェクターT細胞の働きを抑えて、食物アレルギーや炎症の原因となる過剰な免疫応答が起こらないように調節します。

それだけでなく、がん化した細胞のアポトーシスを促して大腸がんを予防したり、抗炎症作用によって腸管の炎症を抑制したりするなどの働きもあります。

■大腸を正常に機能させるのが酪酸

2つ目は酪酸が大腸の機能を正常化させることにも関係しています。
酪酸は大腸上皮細胞の主要なエネルギー源となって、大腸が正常に機能するのに欠かせない物質です。

腸には、有害な菌や物質などが体内へ侵入しないようにするバリア機能がありますが、この機能を修復して強化する役割を担っているのも酪酸です。
例えば、大腸の粘膜層の成分となっているムチンの産生を促進することで粘膜層を強化します。

これによって、腸のバリア機能や腸粘膜の維持と修復に寄与するムチン関連ペプチドの発現を増加させます。
また、大腸上皮細胞の細胞間の結合のタイトジャンクションを促すことで、体内に有害物質が細胞の隙間から入るのを抑制することなどが分かっています。

■酪酸を増やすには

酪酸を増やすと言っても、酪酸を作り出すことができる腸内細菌は酪酸菌だけです。
そのため酪酸を増やすには、酪酸菌の働きを促し、腸内の酪酸菌を増やしていくことが重要となってきます。

しかしながら酪酸菌を食事から摂取するとなると、酪酸菌を含む食事はぬか漬けや臭豆腐など、非常に少なく限定されてしまいます。

食事で補うことが難しい場合は、酪酸菌入りのサプリメントなどを摂取する方法もおすすめです。
または酪酸菌を腸内で育てることは食事内容を工夫することで充分可能です。

・水溶性食物繊維

酪酸菌のエサとなる食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取することで酪酸菌の働きを活発にし、酪酸を増やすことができます。

食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、水溶性は海藻類、果物類に多く、不溶性は穀類や豆類に多くあります。

特に腸内細菌のエサになりやすいのは水溶性の食物繊維です。
腸活を意識するなら水溶性の食物繊維を意識して摂取しましょう。

食物繊維は成人男性で1日あたりおよそ20g以上、成人女性で1日あたり18g以上摂取することが目安とされています。

・ビタミンD

他にもビタミンDを摂取しすると、腸内細菌の多様性が高くなるのですが、この中でも酪酸菌が優位に増えるという報告があります。

ビタミンDは紫外線を肌にあたることで、自分で作ることはできます。
しかし、日本人のビタミンDはほとんどの方が不足しているとされております。

サプリメントの形でビタミンDを摂取して、酪酸菌も増やしてみるのも良いでしょう。

・運動

食品だけでなく運動でも酪酸菌を増やすことができます。
定期的な運動をしている方は、運動不足の方と比べると、酪酸菌が優位に増えているという報告があります。

具体的には、1日60分の有酸素運動を週3回行うと、酪酸菌が増加とされております

今回ご紹介した酪酸菌からの恩恵を受けるためには、腸内環境が崩れてしまうディスバイオシスを引き起こさない生活習慣を心がける必要があります。

そのためには、食物繊維などが豊富でバランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動、前向きな精神状態などが効果的です。

このように皆さんが健康な毎日を迎えるために、酪酸菌だけでなく自分の栄養状態を正確に理解し、生活習慣を見直すことも大切です。

それではまとめです
・酪酸菌の役割と効果
酪酸菌は大腸で酪酸を生成し、その効果として免疫調節や大腸の機能正常化が挙げられます。
特に高齢者の健康長寿者の腸内に多く存在し、酪酸が寿命延長に関与していることが研究で示されています。

・酪酸の免疫調節と大腸機能
酪酸は制御性T細胞を誘導して免疫のバランスを取り、大腸の機能を正常に保つ役割を果たしています。

・酪酸を増やす方法
水溶性食物繊維を摂取し、ビタミンDを補給し、定期的な運動を行うことで、酪酸菌の増加が期待できます。

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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