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サンタになってみた日

noteさんと19の出版社さんとで合同開催された『#読書の秋2021』で、ライツ社さんから『人生を狂わす名著50賞』を頂きました。

この賞を頂いたことで一番嬉しかったのは、出版社の方が素敵なコメントをくださったことです。

『人生を狂わす名著50』の作者である三宅香帆さん、ライツ社さん、こんなに素敵な本を出版してくださって、本当にありがとうございました。
そして、noteさん、noteで出会った多くの方々、本当にありがとうございました。

『人生を狂わす名著50』は、当時京大院生として文学の勉強に励まれながら、京都天狼院で書店院として働かれていた三宅香帆さんが、『正直、これを読んだら人生を狂わせられちゃうよね』と感じられる本を50冊選書されたものです。
『狂う』ということを、三宅さんは『世界の規範から外れる』と定義されていて、本書では、どうしても社会や世界に流されることのできなくなる本たちを選ばれたとのことです。

私がこの本の読書感想文を書いたのは、まだnoteを始めて間もない、昨年秋の同コンテストの締切日でした。今回、本書が再び課題図書になっていたため、昨年応募したものを読み返したところ、読書感想文なのか良く分からない粗いものに見えました。
ただ、一年経ってこの本の中で紹介されているものに直接触れて、この本から飛び出してもっと読書の範囲を広げ始めた私には、既に書けない文章で、これはこれでちょっとだけ光るものがあるようにも見えました。
現在は、三宅さんのいう『狂い』が人生に生じ始めていて、この本を読んだ感想という視点では書けなくなってしまっているのです。

そもそも、本書に出会った頃の私は、何の本を読んでも面白いと感じない時期でした。そんな中、居住地では全くないところにあった、天狼院という何とも不思議な書店に迷い込んでしまいました。そこで本書に偶然出会ってしまったことをきっかけに、私の読書に対する視点が徐々に変化していったのです。

世の中には、答えが明確には出ないものが山ほどあります。法的には全く問題がなくても悪いこともあるし、法を犯していても、致し方ないことだってあります。
本書はもっと柔軟な視点でものごとを捉えて、本の食わず嫌いをなくしてみようよ、という入門書だと私は思いました。多分、本に対して柔軟に向き合う姿勢は、人間関係も寛大なものに変えてゆける力を持つのではないかと思います。

本書は、読書に苦手意識を持たれている方に是非読んで頂きたいです。そして、人生の壁にぶちあたったときにそっと開いて、自分にあった処方箋を探してもらえたらと思います。

今年は、本当にnoteをとおして様々な方々から色々な幸せを頂きました。

ライツ社さんのnoteで『ブックサンタ』という活動が紹介されていました。

この活動はNPO法人チャリティサンタが実施されているもので『様々な事情で困難な状況にある子どもたちへ、(書店で本を購入して)本をプレゼントしよう!』というものです。

少しでも、頂いたものを循環してみたいと、参加することにしました。
ワクワクしながら書店で、岩波少年文庫から4冊選びました。
ミヒャエル・エンデの『モモ』、メアリー・ノートンの『空飛ぶベッドと魔法のほうき』、チェコの昔話の『火の鳥ときつねのリシカ』と、フィリパ・ピアスの『まぼろしの小さい犬』です。
『モモ』以外は読んだことがないのですが、私が読みたいと感じた本に旅にでてもらうことにしました。

出港前の本たちの記念写真


レジで「ブックサンタでお願いします!」と店員さんに伝えて、支払いが完了すると、ステッカーとサンクスレターをもらえます。

ステッカーとサンクスレター

この本たちが、どこかの誰かの心に、そっと残る本になってくれたらいいなと思います。
なんだかとっても楽しかったので、これからも継続していきたいです。

ライツ社さんは、様々なジャンルの素敵な本を出版されています。今後は、小説や絵本の出版もされるそうなので、ライツ社さんの本も贈りたいと思います。

私の中で、最も温かい思い出として記憶に残っているクリスマスイヴは、幼稚園の頃です。
私は、カトリックの幼稚園に通っていたのですが、イヴの日の夜は幼稚園でミサがありました。
ミサの前に『木を植えた男』というフランスが舞台の短編映画が流れていました。この映画の内容は、当時の私には難しく全く理解できなかったのですが、なぜか強烈な印象が残りました。
中学生くらいになって、絵本を読んでようやく意味が理解できるようになりました。

この映画を選んだのは、幼稚園の園長だったフランス人のレオン神父でした。
フランスが舞台だからという点もあったのだとは思うのですが、そうではなく、関りを直接持つことがあろうとなかろうと、未来の誰かを想って木を植え続けなさいということが言いたかったのではないかと思います。
この男の姿は、幼稚園児という幼木を、愛という栄養を与えて育み続けたレオン神父の姿と重なることに、ようやく今になって気付きました。

それから、クリスマス当日の朝にはサンタからのプレゼントが来ました。その中に、必ず本が一冊入っていました。その本たちも温かな記憶に残っています。

子どもを育むのに重要なものの一つは、本なのです。
そして、その本の制作に携わられている方々も『木を植えた男』なのだと思います。

この度は、本当にありがとうございました。

(了)


本記事は、下記の本について記したものです。

その他本文中に登場するものは、下記のとおりです。


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