【短編小説(?)】 『タイムリミット』 vol.4

突然ですが皆さん、ご自身はあと何年生きると思いますか?


周りからは「若い」と言われているけど、それは果たして「時間がたっぷりある」という事なんでしょうか。


平均寿命というものが存在しますが、決してそれはあくまで平均。「その年齢までは生きる保証」ではないのです。
もしあなたが神様から「あと1年であなたは死にます。」と言われたらどうします?


これは、もし生まれる前に誰かから、「あなたは◯歳で死にます」と言われてから生まれてくる世界があったら・・・という物語です。

*登場人物

私・・・17歳の可もなく不可もない女子高生。75歳で亡くなると生まれる前に知った。

兄・・・22歳のサラリーマン。妹の私をとても可愛がっているが、いつ死ぬのかは教えてくれない(vol.2参照)。

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この世界では私たちは死をコントロールする事は出来ません。

先日のB君の一件以来、私はその事を常に考えながら毎日を過ごしていました(vol.3参照)。

死にたくても寿命が来るまでは死ねません。何らかの形で生き長らえ、何かを失ってその後を生きていく可能性もあるので、リスクしかないのです。

ある日の昼休み、気づいたら私は学校の屋上に来ていました。風が心地よく吹いて光の一番当たるこの場所は、ここ最近凄惨な出来事に出くわして来た私にとって数少ないリフレッシュ出来る場所でした。

私は手を柵にかけて下を見下ろしました。


”もしここから飛び降りたとしても、生き延びる”

そう考えていると思わず身を乗り出していました。慌てて私は体を引っ込めました。

「何考えてたんだろう私、、、」

今、間違いなく私の中に2人の人間がいた。

突然の事に怖くなった私は逃げるように屋上を後にして教室に戻りました。


昼からの授業は家庭科でした。今日は調理実習です。クラス内でグループを作ってお菓子作りをします。

私たちのグループはフルーツポンチを作る事にしていました。私は果物を切る係になり、早速リンゴやバナナ、キウイ達を切ろうと作業に取り掛かろうと包丁を手に取りました。


”これで自分を刺しても助かる”

思わず私は包丁を床に落としてしまいました。

「大丈夫?怪我してない、、、?」

班員の女の子が私の元に来てくれました。私は大丈夫とだけ言って落ちた包丁を取りましたが、親指を切っており、結構な量の血が出ていました。

「指切ってるよ、私がやるから絆創膏貼ってきて」

女の子に言われて私は消毒と絆創膏をもらいに保健室へ行きました。


やれやれ、流石に精神的にもまいってるのかなあ、、、

保健室で手当てしてもらい、戻って来てからの私はシロップを作ったり、盛り付けをしたりと、女子だというのに男子のような働きしか出来ませんでした。

情けないけれど、また刃物を持って同じ状態になったら困るしなあ。

あとは無事に実習も学校も終えて私は特に何も考えないようにして下校していました。

学校から最寄りの駅までのいく間、一個だけ大通りを渡るので信号待ちをしています。


”今飛び出して、どんなに車に引きずり回されたとしても、お前は助かる。きっと優良な医者がお前を治してくれる”




私は今どこにいるんだろう、、、?

どこか煩い声がする、、、



「おい、邪魔だ!死にてぇのか?」


私は横断歩道の真ん中にいました。信号は赤のままです。

車は全部止まっています。

暫く頭が整理出来ていなかったのですが、正気を戻して向こう側へと走って行きました。

待ってよ、どういう事、、、

私に何が起こったっていうの、、、?

何も分からないまま、私は家へと帰るのでした。




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