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きもべつ的ステップ移住のすゝめ

みなさんこんにちは。初めまして。札幌とニセコの間にある喜茂別町で移住コーディネーターをしている加藤です。私自身、2017年に喜茂別町に地域おこし協力隊として移住してきました。いまは、町内でシェアスペースを運営しながら移住者・移住検討者の伴走をしています。

私がこの活動を始めたのは2020年。きっかけは運営するスペースに来るお客さんからの相談でした。

喜茂別に移住したいなぁと思うんだけど、誰に相談すればいいんですか?

そんな声を役場や地域の方たちに相談しながら立ち上がったのが関わりかた相談窓口でした。

このとき、「移住相談」にせず「関わりかた相談」としたのには、私なりのちょっとしたこだわりがあったからでした。

喜茂別町は人口1900人の小さな田舎町です。周りに札幌やニセコ・ルスツなどの世界的にも人気なエリアに囲まれています。ただでさえ“埋もれがち”な町で「移住しませんか?」というアプローチで選ばれる可能性はあまり高くはありません。そこで、「移住だけではなく、喜茂別はいろんな関わりかたができるんですよ」というスタンスを取ることにしました。

関わりかた相談を始めて2年以上が経ち、地域との関わりかたにはステップがあるんだということがわかってきました。そこで今回は、喜茂別での取り組みをご紹介しつつ、関わりかたのコツをお伝えしたいと思います。

まずはユルくつながりながら、地域のいまを知る。

まず始めたのがオンラインコミュニティの運営でした。地域の現状や日常を知ってもらうためにも地域の方たちと接点を持つことが大切です。しかし、実際に地域に訪れるのもハードルが高く、私と話すだけでも偏った情報しか受け取ることができません。そこで、チャットツールを活用し、地域の方たちとオンライン上で交流するキッカケを作りました。

そんな交流をきっかけに生まれたプロジェクトをいくつか紹介したいと思います。

特産のアスパラから地方創生を真面目に考えるポッドキャスト。

この番組は、東京に住む会社員の方とはじめました。この方とは普段から定期的にオンラインでお話をさせていただいており、喜茂別を面白くするアイデアを雑談していたのですが、「これってそのまま配信してみたら面白いかも」と始めたものでした。とても真面目な内容ですが、地域に関わるうえで耳にするであろうキーワードでお話をしているので、参考になることも多いのではないでしょうか。

旅行途中に喜茂別で立ち往生してしまったペンギンのお話。

最近始まったばかりのこの連載も東京在住のイラストレーターさんが企画してくださりました。仕事の有給休暇を使って訪れた北海道で、たまたま喜茂別を通過中にトラブルに遭遇したペンギン。滞在中に地域の人たちと交流するなかで魅力的な“食”と出会っていく…というストーリー。続きが気になります。

このように、まずは自分の暮らしている場所からリモートで関わっていくのもオススメです。

地域のイベントに顔を出して、接点を作る。

リモートでつながりを作ったあとにオススメなのが、小さな一歩を踏み出すこと。ある程度地域のいまを知ることができた方たちには「地域のイベントに参加してみませんか?」とお誘いすることがあります。

不定期ではありますが、交流イベントなども実施しています。オンラインコミュニティですでにつながりがある方もいることもあり、「はじめまして」感があまりないのも特徴です。

この日は、町内外の20名くらいの方が参加。

そんなイベントに参加してくださった方のなかには、地域活動にも参加してくれる方もいます。

町内中心地にある河川敷の草刈り活動を行なったときの様子。この日は4名の移住検討者の方にお手伝いいただきました。

少しずつ地域の方との交流を増やすことで、より具体的に地域での暮らしをイメージしやすくなります。

具体的に移住準備をされている方には、喜茂別で実現したいことと近いプロジェクトを一緒に立ち上げることもあります。

林業を生業にしたいと相談にこられた方。登山道整備の活動中の地域おこし協力隊と一緒に活動してもらっています。

もちろん、移住後にも関わりかたは続きます。

これまでご紹介したプロジェクトは、移住前の関わりかた。地域に移住したあとも、関わりかた相談は続きます。実際に喜茂別に移住された方たちも面白い関わりかたをしてくださっています。

喜茂別の自然と向き合いながら、アートに触れる。

今年の4月に喜茂別町に鋳金作家のご家族が移住されてきました。この方、とても面白いのが期間限定の移住ということ。お子さまの成長の過程で、これまで暮らしてた地域とは別の体験をさせてあげたいと相談にきてくださりました。そんな彼女が喜茂別で生活を始めてまず感じたことが「自然の偉大さ・雄大さ」だったそう。それを地域の子どもたちにも感じてほしいと始めたのが、これまでの経験を活かしたアートのワークショップでした。

「喜茂別の自然に“目”をつけて、新しい生き物を作ろう」というワークショップでの作品。

地域DXを推進。オンラインコミュニティを引き続き。

最近は民間企業も多く地方創生に関わりを持ちたいと考えています。相談のなかには個人だけではなく、企業として継続的な関わりを持つケースもあります。そんな事例もひとつご紹介。

今年、東京のIT企業の若手社員の方が喜茂別に移住されました。彼がいま取り組んでいることは、地域DXです。そのひとつとして、これまで私が運営していたオンラインコミュニティの運営をお任せしています。試行錯誤しながらの運営ではありますが、ご興味ある方はぜひご参加ください。

関わりかた相談は、ライフプランの棚おろし。

移住を検討される方のなかで大きな不安要素のひとつが、「地域にうまくなじめなかったらどうしよう」ということ。そこで、私は相談にきてくださる方には、段階的に関わりを深くしていくことをオススメしています。

移住にはリスクがあります。ですので、私は「逃げ道を用意してくださいね」というお話を必ずさせてもらっています。新しい環境で仕事も住居も人間関係もすべて変わる可能性があるなかで、ひとつでもうまくいかないことがあると、歯車が噛み合わなくこともあります。実際に、それでうまくいかずに他の地域に行ってしまう方もみてきました。

なので、私は「移住してきてください」ということをあまり言わずに「まずはちょっとだけ関わってみませんか?」とお声がけをしています。そして、その方の“想い”の整理と、理想的な暮らしを実現するためのライフプランの整理をお手伝いする気持ちで相談を受けているつもりです。

その気持ちは私だけではありません。北海道移住のすゝめは、道内19市町村の移住コーディネーターが連携しながら活動をしています。メンバー全員が同じようにさまざまな相談と向き合っています。北海道に関わりを持ちたいと考えてくださっている方たちの伴走者として、私たちに気軽にご相談いただければと思います。

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