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お金について「冒険物語」から学ぶこと ~桃太郎に足りないもの

冒険物語には、世代や時代を越えた普遍性がある。お金に関しても、冒険物語から学べることがある。それはあなたを応援してくれる「仲間」や「賢者」の存在である。そのような応援者は、どこにいるのだろう?


▶娘との会話

先日、娘と「ドラゴンクエスト3」のリメイク版発売の話題で盛り上がりました。私は大学生の頃、ファミコンでドラクエをやりこんだ世代なので、いまから楽しみです。娘が小さい頃は、いっしょにポケモンで遊びました。娘が大人になってからも、ゲームの話で盛り上がれるのは幸せなことです。
 
ドラゴンクエストのような「冒険物語」は、世代や時代を越えた普遍性があります。太古から、さまざまな冒険物語が語り継がれてきました。「冒険」そのものが私たち人間にとって、なくてはならないからなのでしょう。先人たちは、大事なことを伝えるために、冒険物語という形式をつくりあげてきました。冒険物語を通して学べることがたくさんあります。ではは、お金について学べることは何でしょうか?

▶冒険物語の構造

ドラマ、映画、小説、ゲームといったさまざまなかたちで、無数の冒険物語があります。しかし、ほとんどの冒険物語は同じ構造を持っています。『物語の法則』(クリストファー・ボグラー&ディビッド・マッケナ著)を参考に、物語の中で主人公がとる行動を6つのステージにまとめました。
 
① 旅に出る
② 賢者*と出会う(*メンターや師匠)
③ 仲間に出会う
④ 試練に耐え、乗り越える
⑤ 敵に勝利する
⑥ 故郷に帰る
 
人類滅亡の危機が迫り、主人公が救済のために立ち上がる。当初、強力な敵との戦いは、勝ち目のない絶望的な戦いに思えたが、賢者や仲間の力を借りて、最終的に敵に打ち勝ち、平和を取り戻す。主人公は故郷に帰り、愛する人たちと平穏な日々を取り戻す。
 
かなり雑ですが、だいたいこんな感じです。
それほど間違ってはいませんよね(笑)

▶最重要のステージとは

この6つのステージの中で、最も重要なポイントはどこでしょうか?
もちろんすべて重要ですが、物語の転換点という意味では、「①旅に出る」と「④試練に耐え、乗り越える」の2つのステージが特に重要です
 
「①旅に出る」ということは、未知の世界に足を踏み入れること。できればしたくないことです。それをあえて「やろう」と決意することは、物語全体に関わってくることです。
 
「④試練に耐え、乗り越える」とは、主人公が変化すること。特に内面的な変化が重要です。敵は強力なので、これまでの自分では勝てません。自分だけの力では乗り越えられない壁を、賢者や仲間の力も借りて、乗り越えます。そのとき、主人公は以前とは違う自分になっています。敵との戦いという外からの試練に向き合うことで、主人公の内面が変化します。全体のストーリー上、この場面をどう描くのかが、作品のよしあしを決めるといっても過言ではありません。

ストーリーのイメージ

▶お金と冒険物語の関係

例をもとに、お金と冒険物語の関係について考えてみましょう。
 
身近な人が病気になったことをきっかけに、あなたは生命保険への加入を考えます。保険に入るのであれば、本当に安心のできるものを選ぼうと思います。
 
この時点で、あなたは旅への準備ができています。保険への加入を考えるという「旅に出る」決意をしたのですから。では、最終的なゴールである「本当に安心できる保険」にたどり着くために、あなたは何をしないといけないのでしょうか。
 
冒険物語の主人公が旅に出かける瞬間をイメージします。ドラクエでいえば、お城や家から外に足を一歩踏み出した瞬間です。そこはモンスターだらけの世界です。あなたは敵を倒しながら前に進みます。敵はどんどん強くなります。ひとりだけは倒すのが難しい敵も出てきます。そんなときは仲間の力を借り、賢者から授けられた武器や魔法を使って、パワーアップします。
 
さて、ここで問題です。
保険の世界では、敵は誰ですか? 仲間や賢者は誰ですか?
保険会社や保険のセールスマンは、敵ですか、それとも味方?
 
ここが物語と現実世界のちょっと違うところです。
現実世界では、敵は敵の姿をしていません。
 
見た目は、誰もがあなたの味方です。けれども、実際はどうでしょう?保険会社や保険のセールスマンは、保険を売って手数料を稼ぐのが仕事です。敵と言うのは言い過ぎかもしれませんが、警戒しておくに越したことはありません。保険会社やセールスマンが、仲間や賢者であることは、かなり珍しいケースだと思います。
 
では、あなたの仲間や賢者はどこにいるのでしょうか? 

▶ひとりぼっちの戦い

実は、どこにもいません。
 
ほとんどの場合、お金全般に関して(保険を含む)、あなたのことを本当に大切に思って、一緒に戦ってくれる人はいないのです。重要なのは、敵と向き合い「④試練に耐え、乗り越える」ときに、あなたの内面に変化を起こすことです。それは一人では、なかなかできません。保険の話でいえば、売り手側(敵)からの提案に対して、あなたのことを思い、さまざまな角度から対案を示すことができるサポート役が必要です。
 
もちろん家族や友人が金融の仕事をしていれば、あなたの味方になってくれることもあります。けれども、そのような人は多くはないでしょう。お金の世界では、ほとんどの人が「一人で」「素手で」戦っているのです。考えてみれば、不思議なことですし、ちょっと怖いことでもあります。
 
それでは、どうしたらよいのでしょうか?
いちばんよいのは、「自分が力をつけること」です。自分で納得するまで学ぶことです。ただし、ふたつ問題があります。一つは「時間がかかること」、もう一つは「自分を客観的に見つめるのは難しい」ことです。プロのアスリートには必ずコーチがいます。知識や技術があったとしても、サポート役がいたほうが、確実にゴールにたどりつけます。
 
最も現実的なのは、あなたのためのサポーターを見つけることです。具体的には、金融商品を取り扱わない専門家を味方にすることです。ファイナンシャル・プランナー(FP)はひとつの候補です。大事なのは人を選ぶことです。実務能力も大事ですが、人柄のほうが大事です。専門家Pの選び方については、別の機会に書こうと思います。誰でもよいというわけではありません。

 

▶桃太郎に足りないもの

実はちょっと不思議なところあり

冒険物語のゴールにたどり着きたければ、仲間や賢者の存在は必須です。私たちはそのことを知っているはずなのに、なぜ現実の世界に活かせないのかな、と思います。そんなことを考えていた、「桃太郎」が気になりました。桃太郎に仲間はいるけど(さる、とり、いぬ)、賢者っていたかな?
 
調べてみたら、いなかったです(笑)
桃太郎は、師匠なしで強くなったみたいですね。本当は、師匠は大事だと思うし、練習も大事です。描いてないだけかも知れないけど、努力しないで成果が出る、というのはあまりよい話ではないですね。勘違いする人が増えそうだし。
 
おしまい。

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