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訪問看護転職マニュアル

訪看転職の相談を受けることが増えてきたので、纏めたいと思います。

訪看といっても色々な訪看がありますので、
これも読めば、事前に何を確認したらよいか。何を調べたらよいか。
明確になると思います。
訪看に転職する方々に読んで欲しいです。

まずはご自身がどんな組織で、どんな働き方で、どんな疾患をみたいか明確にされることをお勧めします。

今回は書きたいこと書いていきますので、流し読みをお勧めします。

知っていて欲しい項目13項目。
一つ一つみていきましょう!

①組織の種類
訪問看護ステーションは医療機関ですが、医療法人の他に営利法人(株式会社)が運営していることがあります。近年営利法人が50%以上が占めるようになりました。
ここが転職者に影響する点としては、組織の安定性と自由度の違いです。

医療法人の多くは、母体である病院やクリニックを持っていると思います。
その為、院内のルールがそのまま訪問看護ステーションにも反映されます。
一方、営利法人は社長・オーナーの考え方によって就業規則や社内制度が大きく左右されます。
売上に重きを置き、カンファレンス等一切なし。ある一定の売上を出せば、インセンティブが支給される事業所もあります。
一方、社内イベントなど積極的に行い、アットフォームな運営をしているところもあります。

本当にさまざまなので、組織の種類から簡単にイメージだけ出来ると良いと思います。

②就業規則
就業規則は小規模組織では必ずしも必要ではありません。しかし、就業規則がないと、全て社長相談案件となってしまい、社長のその時の判断となってしまいます。入職前にはその社長の人となり、考え方、価値感はなかなか分からないですよね。

そのためも必ず就業規則があるところをお勧めします。
出来たら見せてもらうと良いと思いますが、そこまでは難しいと思いますので、下記の項目について確認しておくと良いでしょう。

・労働時間
・給料、昇給制度
・賞与制度
・退職金制度
・忌引きなどの特別休暇制度
・看護介護休暇制度(無給有給の確認)
・労災制度
・休職制度

③理念・価値観を知る
上記に出てきましたが、訪問看護事業所には、色々な理念・価値観を持っている事業所があります。その為、自分の価値観と合わないところで働かなくてはいけない可能性もあります。価値観が合わないところで働き続けることはとてもしんどいですよね。
そのためにも、理念、ビジョンなどの把握は必ずしましょう。ホームページなどにも載っていると思います。

また転職先にどんな部署があって、誰が意思決定しているかを知ることも必要です。部署の有無で、実務レベルで何を大切に動いているかが分かります。こちらはホームページ確認すると同時に直接聞いても良いかもしれません。

ここからはちょっと具体的にみていきましょう。

④教育体制
訪問看護に就職する方の多くは、訪問看護未経験だと思います。
最初は皆さん不安だと思います。
もちろん病院などの経験により基本的な手技やアセスメントは問題ないと思います。しかし、生活の場にお邪魔する訪問看護は、社会的なマナーなどが必須となります。
その辺りもしっかり指導してもらえる組織が良いと思います。例えば、名刺の渡し方、電話の仕方、FAXの書き方などビジネスマナー分からないですよね。

ただ教育といっても幅広いので、考え方として、【業務面】【看護面】と考えてもらえると良いと思います。
【業務面】では、通常業務をする際の決まり事です。車の使い方や小口精算方法など教えてくれる方がいるのか。その教育方法どうなのか?その辺りは確認してもらうと良いと思います。

【看護面】については、病院とは違い、最新の医療の勉強会や最新の医療機器に触れる機会が少ないです。その為、看護知識技術を磨くための社内制度があると良いと思います。それがカンファレンスや社内勉強会でも良いですし、外部研修の補助費が出るなど色々な形があると思いますので、確認しておくと良いと思います。

⑤一日の訪問件数、ノルマ
訪問看護ビジネスは、時間売りビジネスです。
訪問時間、訪問回数によって売上が変わってきます。
その為、売上を求めている組織は一日7件、8件訪問するように求めるところもあります。平均一日何件なのか。ノルマなどはあるのか。確認しておくと良いでしょう。
では具体的何件ぐらいなら良いのでしょうか?

かなりアバウトですが、
8時間勤務であれば、1日5時間訪問に行くぐらいが一つの目安ではあると思います。訪問件数でいうと5~6件。
(全て居宅(施設を除く)場合)

ただ移動時間、訪問時間によって変わってくるので本当にアバウトです。
移動時間5分なのか、20分なのか。によって変わりますし、訪問看護の時間も30分、1時間、1時間半と様々です。

そう考えると、5時間が目安かなと。
ちなみに弊社4時間とかなり少ないですが、売上も低いので色々なところでコストカットしています。。。

⑥休憩時間
⑤1日の訪問件数、ノルマでも話の延長ですが、訪問看護ビジネスは時間売りです。その為、8時間の勤務時間以内で何時間訪問に当てられるかが重要になってきます。そうすると、結果的に休憩時間がとりにくい環境になってしまうことがあります。
その為、休憩時間は何時から何時なのかは確認するだけでなく、どこで休憩を取るのか?
移動時間は休憩時間から省かれているかが重要になります。

組織によっては、昼は事務所に帰ってこなくても良いところもありますが、午後一番の訪問までの移動は業務時間になりますので、その辺りも把握が出来ると良いです。

面接等で確認する場合は、一日のスケジュールを教えてくださいと確認すると良いでしょう。

⑦書類業務
時間売りビジネスである訪問看護ビジネスには、保険ビジネスですので、たくさんの書類業務があります。
【関係各所との情報共有】【計画書報告書】【サマリー】【ケアプランの確認】【訪問看護指示書の依頼】などたくさんあります。
多くの訪問看護は、書類業務が多くて残業しているといっても良いでしょう。

その為、書類業務をどのように行っているか。が重要になります。
例えば、訪問看護の売上を維持したい事業所では、見込み残業をつけ、自宅や空き時間で行ってくださいと決めているところもあります。

ご自身がどのように働きたいかでこの辺りの評価は変わると思いますが、
業後でやるのか。
業務時間内に処理時間を設けているのか。
それとも他にやってくる事務員などを置いているのか。
またまた、システムを入れているのか。
など、確認してもらえると良いと思います。

⑧情報共有方法
情報共有方法も事業所によってさまざまです。
病院では、朝礼、終礼、ミーティング、カンファなど定期的に行っていたと思いますが、ご利用者様の生活の場にお邪魔する訪問看護は、スタッフの時間を合わせることがとても難しいです。

その為、
・全くカンファなどは行わない事業所
・カルテやSNSツールなどオンラインの文字だけで行う事業所
・ZOOMなどを使ってオンラインで行う事業所
・事務所で時間を作ってオフライン行う事業所

と事業所によってさまざまです。

また普段からオンラインツールを駆使するところも増えておりますので、その辺りのアプリなども確認するとよい思います。

ご自身がどのように情報共有したいのかによっても違うと思いますし、SNSツールなどによっては、多少得意不得意があると思いますので、その点で検討されても良いでしょう。

⑨残業、出退勤時間
先ほどから何度もお伝えしておりますが、訪問看護は時間売りビジネスです。時間とは切っても切り離せない以上、残業時間はとても組織の色がでます。
また訪看は中小企業がほとんどですので、サービス残業などもまだまだありますし、見込み残業などでよりこの辺りは見にくくなっております。
残業については必ず確認しましょう!

サービス残業、見込み残業などで見にくいところは、出退勤時間の確認をしてもらえると良いと思います。

「みなさん何時ぐらいに出勤し、何時ごろに退社されていますか?最後に帰ら得る方は何時ぐらいに退社されますか?」
との確認で良いと思います。

また自宅で仕事をする持ち帰り残業もあると思いますので、
「持ち帰って仕事されたりしている方はいらっしゃいますか?」と聞いてもらえると良いと思います。

この辺りはライフワークバランス、ご自身の価値観になると思いますのでしっかり確認してもらえると良いと思います。


⑩待機・オンコール体制
この辺りは看護師になりますが、まず待機のイメージがつかないと思いますので、簡単に説明します。
待機・オンコールは、業務時間外の緊急対応する当番の看護師が自宅にオンコール用の携帯を持って帰り、日常生活をしながら電話対応、必要に応じて緊急訪問するという制度です。
電話が鳴らなければ、特に仕事はありませんが、電話が鳴った場合は何時であろうと起きないといけません。

その為、確認しておきたいポイントは、待機の翌日の勤務は基本日勤が普通ですが、呼ばれた翌日などはお休みにしてもらえたり、遅出が出来たりします。その辺りの確認してもらえると良いと思います。

また、もちろん手当も確認してください。
・待機当番をする手当
・出動する手当
・残業手当(出動時間のみか、移動時間も残業出るか)

金額的には地域によっても様々ですが、
待機当番だけで1日5000円もらっていれば、十分多い方だと思います。

また、待機当番の回数は結構重要です。
待機当番は基本翌日の営業時間前まで対応をしないといけません。
その為、翌日の朝まで遠くに行ったり、お酒を飲んだりできないなど少し拘束されます。

その為、月に何回までなら出来るのかは、ライフワークバランスを考えた上で決めてもらえると良いと思います。

私の経験では週2回が限度かなと思います。
月10日は多いですね。
理想は週1回、月4回が理想だと思います。

⑪希望休日数、急なお休み
ライフワークバランスにとってお休みは重要ですよね。
特に訪問看護ステーションでは、夜勤や土日勤務を減らしたい看護師が働きやすさを求めて、就職されやすいので、事業所によっては力を入れて行っているところも多いです。

まずは、希望休日数の条件を聞きましょう。
病院などでは希望日数3日とか日数に制限がありましたよね?
訪看でもあるところがありますので、確認は必須です。
また、その希望が通るかどうか。子育て世代が多いとイベントも被ることが少なくありません。
被った時どうするのか?も確認しておく良いと思います。

お子さんがいる方は、急なお休みを取るときの対応も確認しておきましょう!
急なお子さんの熱発ありますよね。
事業所によっては、病児保育を使うように勧められるところや、自社に病児保育が対応できる保育所を持っていたりしますので、そこも確認してもらいましょう。

ちなみに弊社は、「子供の体調不良の時ぐらい一緒にいてあげてください。」という価値観がありますので、病児保育預けず休みで良いですよという感じになります。もちろん本人が希望して出勤してくる場合がありますが。。。

あとは、時間休などがとれるかも確認しておくと、面談や授業参観など抜けられるかもしれませんよ。

⑫賞与、評価制度
この辺りは、ざっくりのところも多いのでしっかり聞いておくと良いと思います。そもそも評価制度がないところもあります。

まずは、賞与の評価制度が明確化されているか確認すると良いと思います。
・必ず出るのか?
・ノルマのクリアなどなんらかの条件があるのか?
お金のことなので、あまり聞きにくいかもしれませんが、
「評価制度がありますか?」ぐらいは、聞いてもらっても良いと思います。

また昇給に伴う階級などその辺りの制度も確認しておくと良いでしょう。
教育体制とセットになっているところがありますが、一事業所のみの訪看ではあまりないかもしれません。


⑬担当制
訪問看護ステーションによっては、完全担当制(自分のご利用者様は自分しか基本訪問しない)と、複数担当制(チームなどで複数のスタッフが訪問する)があります。

どちらも良いとは思いますが、新人訪問看護師にはリスク管理の観点から複数担当制がおすすめです。
訪問看護には複合的な視点が必要ですので、チームで入り、情報共有し、看護計画を進めていくべきだと思います。

一方で、情報共有が多くなったり時間がかかることもありますので、自身の看護能力に合わせてもらえれば良いと思います。


いかがでしたでしょうか。
13項目にもなってしまいましたが、私が独断と偏見で必要であろうことを書きました。

長らく訪看で経営運営をしてきた集大成であります。
よければ、ご参考にしていただければ幸いです。

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