【歌詞を読んでエッセイを書く】浜田省吾 いつわりの日々

いつわりの日々 浜田省吾

俺は一回り年下の子と一緒になった

取引先の事務員だった子だ

声をかけてきたのは あの子の方からだった

デートといえばもっぱらドライブが多くて

『どこに行きたい』と聞くと

いつも『大黒ふ頭』と答えて

青で縁取るベイブリッジを見上げているのが好きだった

一年後ハワイのチャペルで式を挙げた

それから

俺も役職に就いて 出張も多くなり
家に帰れない日々も続いた

横浜のはずれに一戸建ても買い 子供も授かって 仕事も順調だった

たまに帰って娘の寝顔を見るのが幸せだった

しかし幸せの日々は永くは続かなかった

彼女はあまり口を利かなくなり

俺を避けるようになった、

ある日

娘を連れてどこかへ行ってしまった

今でも理由はわからない

家族のために仕事を一所懸命にして

金を稼いでくるのが男の役目だ

大切な物から目を背けて 逃げ出したお前に
かける言葉はひとつもない

もし何処かで すれ違ったとしても

あの時のように微笑んでおくれ

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