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『ほいくじん』の使命について

こんにちは、『ほいくじん』編集長の市川です。

今日は、『ほいくじん』の使命と役割について、
考えていることを書いていきたいと思います。

「保育と社会をつなぐWEBメディア」になる


それが『ほいくじん』をスタートする目的です。

保育関係者ではない私たちでも、
「保育」という仕事について、興味を持って知ることができるようにする、
そんな媒体になりたいと考えています。

しかも、子どもを通わせている「保護者」という立場の人だけでなく、
自分たちが住む社会について知識を得たいと思っている人すべてにとって、
興味を持ってもらえるように、伝えていきたいのです。

保育について私たちが知っている2、3の事柄


私たちが一般的に保育園や幼稚園について、
知ることができる情報源は、
今のところ、テレビ・新聞・ネットなどによる報道が大半ではないでしょうか?

ですが、報道で取り上げられる保育園や幼稚園の情報というのは、
とても一面的なものだと私は感じています。

報道で目にする、保育関連の代表的なテーマと言えば、

・保育士不足

・保育士の給料のこと

・保育園に入れたくても入れない待機児童にまつわる事情

そしてなんと言っても、一番強く印象に残るのは、
事故や虐待事件にまつわる報道です。

もちろん、これらの報道が必要ないと言っているわけではありません。
当然ですが、
保育園や幼稚園にまつわる、現実(実態)の一部であるのは間違いないですし、
特に子どもの命に関わるようなことは、
しっかりと報道してもらわないといけません。

個人的にも一児の親として、子どもを守るために必要な情報だと思っています。(余談ですが、そういう意味で信頼できる団体は「保育を考える親の会」です。)

ただ、それらの報道だけで「保育」という仕事や、
保育者のことを知ることができているかというと、
それは、ちょっと違うと思うのです。

「監視カメラ」を保育室に設置するべき?


例えば、今、監視カメラを保育室に設置すべきだという議論があります。

誰もが心を痛める事件や事故があって、
「子どもの命を安全に守りたい」と思うのは当たり前です。

でも、だからと言って、
保育室に監視カメラを設置する、というのはどうなんでしょうか?

「それって根本的な解決策になるの?」という疑問もありますが、
それ以上に、監視カメラを設置しようという発想自体、何かがおかしい、と感じます。

もし自分が保育者の立場だったらと想像すると、、、
監視カメラなんて絶対に嫌です。

たとえ「プロなんだから監視カメラに映って困るようなことなんてないでしょ?」と言われても、「嫌だ」の一点張りで抵抗したい。

この抵抗に合理的な説明が必要でしょうか?
だって、一日中カメラに監視されていることを気持ちよく受け入れられる人なんていないはずです。

たしかに、一部の保育園や幼稚園で、
実際に事故や事件は起こっているのだから、何かの手は打つ必要は絶対にある。
ですが、それが監視カメラの導入、というのはちょっと短絡的だと思うのです。

私たちの中で、そういう短絡がなぜ起こるのか、
一つには、保育という仕事、保育者という人たち、
のことを私たちがあまりに知らないから、
ではないかと感じています。

私たちは「監視カメラ」で何を見ようとしているのか?


そもそも、私たちは監視カメラで何を見ようとしているんでしょう。

おそらく、私たちが普段あまり見ることができない、
「保育」という仕事の現場で何が起きているのか
ではないでしょうか?

もう少し具体的に言うと、こういうことかもしれません。
「子どもたちは日々そこで何を体験しているの?」
「保育者っていうのは何を考えて、どういう仕事をしている人たちなの?」

でも、それって本当に、監視カメラに映るのでしょうか?
映ったとしても、私たちは監視カメラの映像から理解できるのでしょうか?

監視カメラはあくまで「抑止力」を目的として設置する、という意見もあります。
ということは、監視カメラの映像は、何かが起きたときにだけ事後的に見られるものということなのでしょう。
だとしたら、通常時に、保育という仕事の現場で起きていることは、
相変わらず、誰も知らないままです。
それでいいのでしょうか?

もし私たちが、普段から、保育という仕事の現場で起きていることを、
見たり、聞いたり、知ることができたら、
少なくとも「すべての」保育園や幼稚園に、
監視カメラを設置すべきだとは思わなくなるのではないか、と思ったのです。

保育者は、何を守ろうとしてくれているのか


私はそうでした。
直接会って、話を聞いたり、見せてもらって、
保育という仕事の内側を少しだけ知り、
一部の保育者に出会って感じたことは、
私たちは保育という仕事について、
保育者という人たちについて、あまりに知らなすぎる、ということでした。

そして、保育者という人たちが、
「何を守ろうとしてくれているのか」
その一部を垣間見て、
これは私たちが知らないといけないことだ、と思いました。
それが「何なのか」は、ほいくじんの記事をお読みいただければ分かります。

もちろん私が知っていることなんて、まだまだほんの一部です。
きっと、見たいこと、知りたいことだけではないとも思っています。
良いところだけを切り取って伝えたい、なんてこともしたくありません。
わざわざ、そんなことをしても何の意味もありません。

でもまずは、
監視カメラで遠くからこわごわのぞくようなことをしないで、
ただ、近くに行って見てみませんか?

そのために、『ほいくじん』はトンネルのような役割を担いたいと思っています。

『ほいくじん』の記事を読んでくれれば、
保育関係者や保護者ではなくても、
「保育の風景」が見えてくる、
しかも、誰かに手を引っ張られて、無理矢理に見せられるのではなく、
「なんとなく面白そうだな」「入ってみようかな」と思えるような、
そういうトンネルでありたいと思っています。

そして、『ほいくじん』というトンネルは、開通工事中です。
完成したトンネルを披露するのではなく、工事のプロセスも見せていきます。

なぜなら、私たちにも「保育の風景」がまだ見えているわけではないから。
だから、時に間違った掘り方をしたり、不要な迂回をすることだってあると思います。

ただ、見えない、見えてくる、という「間」も大切にしたい、
そういう気持ちでスタートします。

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