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きのこのみらい。


前髪がだいぶ伸びてきたのでいつものように自分でカット。少しずつカットします。

あ…!

うまくハサミが使えずにつるっとすべってしまいザックリ斜めにいってしまいました。
まぁでも、これはよくあること。
ただ…今回はなかなか斬新な前髪。
なんとかいろいろ微調整しながら、ふと。

「美容院がトラウマになった時のことをnoteに書いてみようかな」…なんて思いつつ。ひとまず、なんとかそれなり?の前髪になりました。

よし。これで大丈夫。



***

美容院。
小学生までは、母が通っていた美容院に一緒に行き、母と一緒にカット等をしてもらうパターンでした。
とてもアットホームな美容院で、美容師さんはご家族ではないのですが、かなり長く一緒にやっていらっしゃるのでチームワークが完璧。とても雰囲気の良い素敵な美容院です。


でも。
中学生になると、『おしゃれな美容院』に行きたいなぁと思うようになります。
背伸びしたいお年頃。笑


そこで。駅のそばにある、素敵なビルにあるおしゃれな美容院に行ってみることにしました。
おしゃれ美容院デビューです。
(おしゃれな美容院、というワードが若干ダサいような気もしますが…背伸びしたいお年頃の中学生の発想です。この後も『おしゃれな美容院』で進んでいきます。笑)


***

ドキドキ。お店のドアを開けると、たくさんの美容師さんから声がかかります。

「こんにちは!」とか「いらっしゃいませ!」とか、そのような感じだったと思いますが、なんとなーく…ここじゃない感を瞬間的に感じた背伸び中学生。でも、もう戻ることはできません。

とりあえず受付をし、しばし待ちます。


名前を呼ばれ席に案内されると、とても優しそうで『素敵なお姉さん』という感じの美容師さんが担当として来てくださいました。
お名前は、サトウさん(仮名)です。

とても丁寧にヘアカットについてカウンセリングしてくださり、ものすごく安心したのを覚えています。


「では、まずは軽くシャンプーだけしますね。」

シャンプースペースへ移動するときに気付きました。


(あれ?あの人誰だろう??)

サトウさんの後ろに誰かいます。いかにも『わたしは新人です!』という雰囲気。新人さん風ということでこの方を仮にシンさんとします。

お勉強中の人なのかな?と思いながら、サトウさんにシャンプーをしていただきます。

シャンプー中もなんとなくシンさんの気配を感じる。サトウさんのシャンプーを勉強しているのだと思いますが…どうも気になる。とても気になる。



***

シャンプーを終え先程の席に戻ると、サトウさんからシンさんを紹介されます。カットはシンさんがしてくださるそうです。

雰囲気的には良い感じの人でしたが、中学生のわたしから見ても「この人、めちゃくちゃ緊張してるけど…大丈夫なの??!?」と感じるほど。

なんとなーく嫌な予感。
でももう逃げられません。


ケープをとーっても丁寧に着けてくれたシンさん。そして濡れた髪をブラッシング。


丁寧にブラッシング。
しっかりブラッシング。
ひたすらブラッシング。
徹底的にブラッシング。


シンさんはブラッシングにとても力を入れているようです。


なんだか嫌な予感。嫌な予感しかしません。

なんて思っていると…


ちょきん……


突然の控えめ1ミリカット。


(え…?怖い。怖すぎる。)



サトウさーーーん!!!

戻ってきてぇーー!!!!!



大人ならばきっと、もう少し広い心と大らかな気持ちでシンさんを見守ることができるかと思うのですが…そこは、おしゃれ美容院デビューの中学生。

もう不安しかありません。


ただ、こちらの不安等一切気にすることなくひたすらマイペースに進むシンさん。
…なんて思っていたら、突然ちょきん・ちょきん・ちょきん。とてもリズム良く切り始めました。急な展開に驚きつつ見ていると。

右側をチョキン。
左側をチョキン。

右側をチョキチョキ・チョキン。
左側をチョキン。

右側をチョキチョキ。
左側をチョキチョキチョキ。


左右のバランスがなかなかうまく取れない。

もうこれはエンドレスなのでは?

このまま髪の毛がどんどん短くなってしまうのではないか…という恐怖しかありません。



わたしはサトウさんとの最初のカウンセリングで「肩につくくらいの長さ」という大事なワードをお伝えしています。

サトウさんは「全体的に10センチくらいカットする感じになりますね」と言っていました。
でも。もはやもうギリギリなのでは?!??という雰囲気。

そこで意を決して、「長さは肩に少しつくくらいでとお願いしているのですが…」と改めてシンさんにお伝えしてみました。


実は…もうこの時点で、肩にはつかない長さになっていました。
カットする時のケープがとてもふわふわっとした感じだったので、わたしも感覚的に自分の緊急事態に全く気付いていませんでした。



***

わたしの言葉に、明らかに動揺するシンさん。

そこからなんだかものすごーく素早く全体をチョキチョキ調整するかのようにカットし、ささっとブローして整えてあっという間に完成。

そして「できました」と言いながら、ケープを丁寧に取り…さらっと一言。


伸びたらこのように(最初にカウンセリングしたヘアスタイル)なりますので。



は???


意味が分からないままさっとケープを取られ…

鏡に映ったのは、きのこ。


雑にブローされたふわふわきのこ。


『マッシュルームカット』とか、そういう可愛らしいおしゃれな感じではなく、きのこ。どこからどう見てもきのこ。鏡の中にはきのこがいる。きのこが座っています。

そもそも髪の長さもとても短くなっていますし…状況が飲み込めません。


あのぉ……長さが……。

意を決してシンさんに確認します。

すると。カウンセリングの際にサトウさんが用意してくれたヘアカタログを指差しながら…



伸びたら

このように(最初にカウンセリングしたヘアスタイル)

なりますので!!




(え…??この人逆ギレしてる???!)

この力強い気持ちはどこからくるのでしょうか。
明らかに失敗です。
右側を切りすぎて左側切ったら、また切り過ぎて。それを繰り返して大失敗。

でもそれを認めることなく『伸びたら』とか…なんだかよく分からないことを言っています。
シンさんは…本当にプロの美容師さんなのでしょうか。

ショックでした。立ち直れない。

きのこ中学生。状況が飲み込めないままお会計。


実は。この辺りの記憶がほぼありません。あまりに強い衝撃で記憶から抹消されてしまったのかもしれません。

ただ。受付で会計をした際、「1週間以内であれば無料でお直し等できますので」という感じで言われたような記憶はあります。そして、「絶対に!もうここには来ない!」と心に誓ったことはしっかりと覚えています。



***

さて。
きのこ中学生。
帰宅して鏡を見てさらに衝撃を受けます。(美容院の鏡って、なんだか『良い感じ風』に見えますよね?)


わたしの髪の毛は、部分的にすこしだけクセがあり柔らかめなのでペタッとなりやすいのですが、変にブローしすぎると(ブローの仕方による)より一層、髪の毛全体がペタンコになってしまいます。


きのこ中学生。
改め、日本人形感満載おかっぱ中学生です。


祖母の家にあるアノ日本人形みたい。ちょっと怖いアノお人形。(そんなことは今はどうでも良い。)

ふんわり感が一切なくなったことで、ペタンとつぶれてしまった髪の毛。日本人形のような…典型的な和髪というのか…これぞ、おかっぱ!という感じ。

美容院の鏡マジックも解かれた今。

なんだかもう…とにかく受け入れられない髪型。


号泣。
ひたすら泣く。

母が心配して、「もう一度行って直してもらおう」と言ってくれたのですが…


いやだぁーーー!!!
もっと短くなるぅーーー!!!泣

ショートきのこになるのはいやだぁー!!泣泣泣


いっぱい泣きました。

大号泣。
たくさんたくさんたくさん泣いて…。


ふと冷静になり、気付きました。

学校どうする??これで行くの????



ダメだ。泣いている場合ではない。

とにかくなんとかしなくては!とハサミでチョキチョキ。チョキチョキ。
あれこれカットしてヘアピンで止めてみて…とりあえずなんとか?日本人形感満載状態からは脱出。

よし。これで大丈夫。(自分に言い聞かせる。)

それからはさまざまなヘアピンを買い、それでごまかす日々。なかなか伸びなくて…ヘアピンコレクションがだいぶ増えました。



***

この一件で、完全におしゃれな美容院がトラウマになり、母が通う美容院に再び通いはじめました。次におしゃれな美容院・再デビューするのは高校生になってから。
これもまた、いろいろ…なのですが。笑

とりあえず。『おしゃれな美容院』にはいろいろなタイプの美容師さんがいるということを学びました。



ちなみに。きのこが伸びても『このように』はなりませんでした。

ですよね。

最後までお読みくださいましてありがとうございます。 あたたかいお心遣いに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。