子どもたちを非行少年にしないためにできること
こんにちは!
保育士ベビーシッターの小西なつきです。
この本は何回も読んでいますが、読む度に考えさせられ、私たち大人や保育者、教育者が子どもたちにできることを模索させられます。
著者は児童精神科医の宮口幸治先生。
様々な事情を抱える子どもたちと向き合ってきたそうです。
想像にも及ばない壮絶な幼少期を過ごしてきた子どもたちの話を真正面に受け止めてこられたと思うと、このような方が子どものケアをしてくれていることに安堵する思いです。
※内容についてはネタバレありなので、本書で楽しみたい方はご遠慮くださいm(_ _)m
___
非行少年は反省できない?
とても衝撃的だったのは、宮口先生が非行少年と面談を行った際、非行理由について尋ねても「どうしてその行為に及んだのか」という明確な理由を難しくて答えられない子が多いということでした。
なぜ答えられない?
そもそも、「悪いこと」すら理解できていない可能性があることに気がついたそうです。
そこでrey複雑図形の課題を非行少年にやって見てもらったところ
このような図を描いたそうです。
これだけ見本の図形と相違があるということは、見る力がかなり弱いということ。
彼らにとって世の中のこと全てが歪んで見ている可能性があると気づいたそうです。
面接、検査で見えてきたこと
その後の面談や検査を通して様々なことが分かってきました。
非行少年たちに共通して見られることが
・簡単な足し算、引き算ができない
・漢字が読めない
・簡単な図形が写せない
・短い文章すら復唱できない
ということでした。
サインの出し始めは大体、小学校2年生だそうです。
周りからバカにされたり、いじめにあったり、先生から不真面目な生徒と言われ「厄介な子」という立ち位置になってしまうこと。
子どもは正直で時に残酷です。ストレートな表現のために心の傷を深くし、更にはその傷は強く残ります。
ケーキが切れない殺人少年
凶悪犯罪に手を染めた少年たちは驚くことにケーキを切れなかった。
「丸いケーキがあります。3人で食べるとしたら?」
「5人で食べるとしたら?」
こんな簡単な問題ですら、非行少年たちには頭を悩ませるのです。
このような切り方は小学校の低学年の子どもたちや知的障害のある子に見られるそうです。
しかし、中学、高校の少年たちがこのような切り方をしている。
このような子たちに反省を強いること、被害者の気持ちを考えることは到底難しいことが伺えます。
こうした面談や検査から見えてきたのは、非行少年の中には軽度の知的障害や発達障害の特徴が見られたのです。
彼らが社会で理解されずにストレスが溜まり、犯罪に手を染めてしまう、という負の連鎖です。
非行少年に共通する特徴とは
非行少年に共通して見られる特徴が5点あるそうです。+1は当てはまらないケースもあるのだそう。
・認知機能の弱さ・・・見たり聞いたり想像する力が弱い
・感情制御の弱さ・・・感情コントロールが苦手。すぐにキレる
・融通の利かなさ・・・思いつきでやってしまう、予想外のことに弱い
・不適切な自己評価・・・自分の問題点が分からない。自信がありすぎる/なさすぎ
・対人スキルの乏しさ・・・人とのコミュニケーションが苦手
+1 身体的不器用さ・・・力加減ができない、身体の使い方が不器用
生きていく上で様々な弱さを抱えていて、非行少年の95%が過去にいじめにあっています。
相当なストレスを抱えて生きてきた彼らは、ストレス発散のために犯罪に手を染めているのです。もちろん、犯罪を犯すことは許されることはありません。
それでも、きっと周りに理解してくれる環境があれば彼らの生きる世界は変えられたのでは、と思わずにはいられません。
障害に気付かれない非行少年たち
サインの出し始めは小学生の頃からあるものの、周りには気付かれない非行少年たち・・。
先生や周りの友達、理解してくれる人もいない、そして保護者にすら理解してもらえず「手のかかる子・・・」と評価されるのです。
分かりやすく知的障害があれば特別支援を受けられるものの、軽度の障害は気付かれにくいために社会の中では理解されないのです。
私たち大人ができることとは
非行少年はどうしたら減らせるのでしょう。
私の甥も自閉症スペクトラムです。
彼は今9歳ですが、今まで家族にも周りにも理解してもらえませんでした。
唯一、保育者である私は彼の生きにくさに気付いてあげられました。
障害があると生きずらい。
彼を見てて思ったのは言葉にできないモヤモヤを常に抱えているようなそんな感じでした。
私は彼に理解を示して、寄り添うことを常に意識していたので彼は私によく心を開いてくれていました。
誰か一人でも理解してくれる人がいると、表情が和らぐんですね。そしてリラックスできるんです。彼を見てて思いました。
一人でもいい、理解してくれる人がいれば救われるんだ、ということを。
サインを気づいてあげられるのは、保育者や教育者、常に子どもを見ているプロの視点です。
プロでなくても、きっと周りにもちょっと変わっている子や気になる子がいるな、と感じる方もいるかと思います。
他人であってもそういった子に目を向けてあげること、理解を示してあげることがどの時代も大切なのかと思います。
私たちは社会の中で支え合って生きています。
少しでも生きづらい子に手を差し伸べられる社会であってほしいと願います。
↓甥っ子について書いてます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?