マガジンのカバー画像

読書日記。

22
読書日記集です。
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

読書日記その553 「小村寿太郎 近代日本外交の体現者」

読書日記その553 「小村寿太郎 近代日本外交の体現者」

小村寿太郎も陸奥宗光と同様に、不遇な時期での人との出会いが転機となる。陸奥にとっての転機は坂本龍馬と伊藤博文との出会いだったが、小村はその陸奥宗光と桂太郎であろう。

翻訳局という閑職にいた若き日の小村は、陸奥によってその才能を見いだされる。小村の卓越した語学力と豊富な知識が陸奥の目にとまり、公使館参事官として清国への勤務を命じられる。これは小村にとって初めての外国勤務となり、そして飛躍のきっかけ

もっとみる
読書日記その552 「陸奥宗光 日本外交の祖の生涯」

読書日記その552 「陸奥宗光 日本外交の祖の生涯」

陸奥宗光の出身は紀州和歌山。幕末明治維新の中心が薩長土肥のなかで、紀州藩出身の陸奥は異端な存在だったにちがいない。それは海援隊での陸奥は、ほかの隊士から嫌われる存在だったことからもわかる。まぁ、陸奥の性格も多分にあるのだろうけど。

しかし坂本龍馬だけが陸奥の才能を見抜き、自分の右腕として抜擢する。これが陸奥の人生での最大のターニングポイントとなるのだ。まずは陸奥の存在が龍馬の目にとまることがなか

もっとみる
読書日記その551 「文化大革命 上巻」

読書日記その551 「文化大革命 上巻」

毛沢東というたったひとりの人間のエゴで、中国全土が大混乱をきたし暴徒化する。その規模と激しさにはおどろきを隠せない。

それにしても共産主義というのはじつに聞こえがいい。平等・財の分配・格差のない世界。「これは革命だ!我らに正義あり!」「旧社会をぶっ壊せ!」「ブルジョワ階級をぶっ潰せ!」毛沢東をはじめその取り巻きは、このような言葉で若者たちを煽動していく。

とりわけ信じがたいのが、子どもや学生の

もっとみる
読書日記その550 「フェルマーの最終定理」

読書日記その550 「フェルマーの最終定理」

最初に本書を手にしたのは10年くらい前。レビューでは数学がわからなくても大丈夫とあったので購入した。しかし当時のボクは本を読み慣れてないこともあって、聞き慣れないカタカナやワードに戸惑い、すぐに断念した。

それからだいぶ年月がたち、今年の夏ころになんとなく読め始めた。がしかし、思った以上に数式の説明が多くてちんぷんかんぷん。またまた断念。

ところが先日、なに気にYouTubeを観てたら「中田敦

もっとみる
読書日記その549 「明治維新の正体」

読書日記その549 「明治維新の正体」

本書は表紙に徳川慶喜の写真が使用されているように、どちらかというと徳川幕府寄りの内容だ。世の小説やドラマはどうしても勝者である薩長寄りのものが多いなかで、本書の内容はとても興味ぶかい。

著者は、幕府が条約をむすんで開国したことによって、日本の独立と平和が守られたという。確かにそうである。日本と列強との力の差は歴然で、ここで突っぱねていたら戦争となり、アヘン・アロー戦争での清国と同様にボロボロにさ

もっとみる
読書日記その548 「ロシアについて  北方の原形」

読書日記その548 「ロシアについて 北方の原形」

これは司馬リョウ先生のロシア評だ。そして現在のロシアにもあてはまるようにも思える。本書を読むと、これらロシア人の性質の根底にあるのは、遊牧民族や西洋人による侵攻・虐殺という歴史の積み重ねからきてることがよくわかる。

ロシア人が東方シベリアの遊牧民族を制圧したのは16世紀に入ってから、イヴァン4世の時代だ。きっかけは小銃の発達である。それまでは馬上から弓を放つのが主流だったのを、イヴァン4世は小銃

もっとみる