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読書日記。

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2023年9月の記事一覧

読書日記その547 「アヘン戦争から解放まで」

読書日記その547 「アヘン戦争から解放まで」

著者はポーランド人のジャーナリストだが生まれが北京で、生涯の多くを中国で過ごす。そんな本書はやはり中国側の視点で書かれている。しかし反日のような感情論ではなく、冷静な視点で書かれているので、中国側の史観を知るにはとてもいいと思う。

中国は清朝後期のアヘン戦争からおよそ100年という長い間、列強の侵略に脅かされてきたことがわかる。人口も多く、文明も発達し、眠れる獅子と恐れられていたアジアの大国も、

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読書日記その546 「桜の森の満開の下・白痴」

読書日記その546 「桜の森の満開の下・白痴」

新潟出身の坂口安吾の作品集。坂口安吾の作品に登場する女性は、どれも妖しさを秘めていてどこか影のある女性ばかりだ。とりわけ「桜の森の満開の下」にでてくる「女」は、妖艶と残忍さを併せ持つ魔性が強烈な印象を与える。

しかしボク個人的には「続戦争と一人の女」が印象にのこる。戦争が題材の作品はだいたい戦争の悲惨さをものがたるものだか、本作の主人公の女は戦争をよろこぶのだ。これがおもしろい。「夜の空襲はすば

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読書日記その545 「ワグネル プーチンの秘密部隊」

読書日記その545 「ワグネル プーチンの秘密部隊」

著者は2019年までワグネルに所属し、シリアの内戦でワグネル傭兵部隊の指揮官として活躍した人物だ。当時のワグネルは極秘の部隊で、戦線での取材や映像にも映ってはいけない徹底ぶりだったようだ。

ワグネルは基本的には、いわくつきの人間の集まりだ。しかし中には著者のようにしっかりと軍事訓練を積んだ者もいる。そんな軍事を知った者が指揮をとる命知らずの集団は、戦場ではかなりの戦果をあげたようだ。

本書でも

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