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[場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)・緘動(かんどう)・発達障害・不安障害・不登校などの生きづらさ]への理解 第21話 「動けなくなった瞬間」

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(ご理解、ご賛同いただけたら、周りの方に伝えたり、この投稿をシェアしていただけるとうれしいです。)


長女は4歳の時、幼稚園入園をきっかけに場面緘黙症・緘動(※1)を発症しました。
二女は8歳の時分離不安障害(※2)と診断されました。
※1:家庭などでは話すことができるのに、社会不安のために、ある特定の場面、状況では話すことができなくなる疾患。強い不安により体が思うように動かせなくなる「緘動(かんどう)」という症状が出る場合もある。
※2:分離不安障害とは愛着のある人物や場所から離れることに対し、過剰な不安と苦痛を感じる精神医学的障害のひとつ。我が家の3人の娘たちは園や学校に行かず(行けず)家庭を中心に過ごしています。

症状のでかたや困難さはそれぞれかと思いますが、娘の場合を伝えていきます。

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長女は4歳の時、幼稚園の年中クラスに入園しました。

それまで母親と離れて過ごすことには強い不安を感じ、音や気配、変化や視線に対しても過剰に意識したり怖さを感じていました。

私は、いずれ就園・就学する娘がうまく母子分離できるように、小さな頃から公園や児童館に頻繁に出向き、同じ年のお友だちを積極的に作り、他の子供たちと極力過ごすようにしました。

娘は相変わらず不安や恐れは強いものの、幼稚園に入ることをとても楽しみにしていました。

入園前には機会あるごとに園の行事に参加し、事前に先生方にも娘の状態を相談。

私にできそうなことはやってみた。
あとは、慣れるだけ。

そして迎えた、初登園の日。

意外にもすんなりとお迎えのバスに乗り、照れくさそうに小さく手を降る娘。
心配したけど、なんとか無事幼稚園に行けるようになったと胸を撫で下ろしました。

母親と離れ、初めて過ごす賑やかな幼稚園。

娘はそれから毎日泣きました。

しかし、4歳くらいの子どもなら、珍しくはない。
時が解決してくれる。

そう信じ、私の首に巻き付けた腕をはがし毎朝見送りました。

そのうち、お休みの日を惜しむくらい幼稚園で過ごす時間が楽しくなるはず。
だって、幼稚園では大好きなお友だちや先生と思い切り遊べる。
大好きな工作やお絵かき、運動ができる。
おいしい給食、楽しみな行事もたくさん!

しかし、入園から程なくして、娘は体を動かすことができなくなりました。

その日のことを、長女は、12歳の頃に書いたブログでこのように表現しました。

~ある時、幼稚園のトイレでお友達に、「○○○ちゃんは教室に戻っちゃダメ」
と言われて、一人取り残されてしまった時から、突然体が動かなくなりました。

さっきまで、普通に動いていたのに急に動かなくなったので、先生は私がわざと動いていないと思って、私を注意したり、教室の外に置いたままにしたりしました。

私に何が起きたのか、先生にも自分にも誰にもわからなかったのです。~

娘は初めて登園した日から、幼稚園で声を発することは出来ていませんでした。
しかし、動くことはできていました。

緘動という症状が娘に現れたのはその時だったと、娘は教えてくれました。

座る、立つ、歩く、靴を履く、脱ぐ、飲む、食べる…動きを伴うことは、まるで人形を操るように誰かに動かしてもらわなければなりませんでした。
手を引いてもらえば、つられるように前へ進みますが、その手が離れればその場所にたたずむしかありません。
一人になることや置いていかれることが、幼い頃から恐怖でしたが、誰かが動かしてくれなければ一人の教室や廊下でもそこにいることしかできません。

発症から四ヶ月ほど過ぎた頃、娘を心配してくれた先生から、ひょっとして…と告げられたのが初めて耳にした「場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)」という病名でした。

現在娘は14歳になり、小さな菓子工房でグルテンフリーのお菓子を作り販売を始めました。


まだまだ抱えているものはたくさんありますが、自信の種を大事に育て、大きなプレッシャーやストレスに負けない、小さくても強く、優しい花を咲かせてほしいと願います。

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長女が12歳の頃に綴ったブログはこちらのマガジンにまとめています。


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例は、娘のケースです。

(注)私たち家族は長女が診断されて以来、下の二人の娘も含め、療育、相談、医療の機関に定期的にカウンセリングに出向き、登校できなくても、在籍する学校の先生と連携を取っていただいています。

いただいたサポートは今後の活動にきちんといかしてまいります! ありがとうございます♡