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柴田 歩兵
2022年9月24日 00:06
片山有紗と吉川弘美が、肩を並べてこちらに向かって歩いてくる。片山は少し茶色がかった肩までの短い髪、吉川は肩甲骨位までの長い黒髪を揺らして。傾いた放課後の日差し浴びて、片山は一際輝いている様に見えた。僕の中で警告音が鳴り響き、混乱が度合いを増す。取り乱してはいけない。勤めて冷静な対応をするように自らに言い聞かせ、深く息を吸い込んだ。「遂にバンドやるんだね」そんな僕の心の内を知ってか知らずか、片
2022年9月24日 00:23
橋本が向かった先は校庭を取り囲むように並ぶ運動部の部室棟。その一角にあるラグビー部の部室だった。 様々な部活のジャージやTシャツが所々に干され、それが砂埃にまみれている。乱雑とした劣悪な環境と、それをものともしない生命力。まるでどこかの国のスラム街の様だ。 落書きと傷だらけの薄汚いドアを開けると、目当ての高田が折良くソファに座り踏ん反り返っていた。「なんだお前ら、何しに来た。」百キロに