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インターネットサービスのマネタイズにおける「7つ」の観点

過去は大手プラットフォーム上に多くのユーザーが集中していましたが、昨今、インターネットサービス大きなシフトが起きている中、特定の領域や用途に特化したサービスに、熱量が高いファンが集まる時代へと変化していると考えます。このようにネットの経済圏やユーザーの行動自体が更に分散化を深めている中、いかに既存客から効率よくマネタイズができるかは、とても重要なテーマ―となってきているでしょう。

本稿を通じて、マネタイズフェーズに入っている知っておきたい観点について紹介できればと思います。世界の面白マネタイズ事例についても次回以降紹介していきたいと思います。


ユーザー体験を最優先に

まず一番大事なのは、マネタイズよりユーザー体験が先ということです。マネタイズはあくまでもユーザー体験を補足するか、一環として考えるべきだと思います。

以下のダメなInterstitial広告の事例ですが、そもそも利用中のアプリのコンテキストと全然関係のない広告がでてきて、画面全体をブロックし、挙句の果てにどうすれば広告を閉じればよいかも、わからないケースがあると思います。一画面ハイジャックしてごクリックを誘導して広告から収益を得ることで、マネタイズとしては結果が出たかもしれませんが、果たしてユーザー体験という観点からはどうだったでしょうか...?

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では、どのようにマネタイズをユーザー体験の補足、若しくは一環として導入できるのでしょうか。

広告でマネタイズをする場合は、広告主や広告パートナーを、自社ユーザーが興味ある分野に絞ることが重要です。広告でない場合は、プライシング・価格設定を、無料ユーザーから有料ユーザーに切り替えやすくすると同時に、様々なセグメントユーザーに有料版に切り替えた方が魅力的に見えるように、機能面を含めプロダクトをうまく訴求していくことが求められると思います。

また、収益化のために必要はユーザーに関する情報を、ユーザーが提供するようにインセンティブを十分与えるプロダクトになるような設計に心がける必要があります。例えば、ユーザーの連絡先データを事前に共有するように強制する代わりに、ユーザーがアプリ内の情報やコンテンツなどを他の連絡先と共有したくなるようなプロダクトを作る要することがポイントだと思います。


提供するものやサービスのターゲット顧客を知る

今自社のポテンシャル顧客やユーザーが、すでにどのような他社サービスを利用していて、どの程度の利用料を支払っているかを調査することがとても重要です。いわゆるベンチーマークを調べるということです。

一般消費者向け(B2C)であれば、類似サービスで、過去からすでにユーザー課金をやっているビジネスを調べてみることが可能と思います。例えば、社会人を対象にオンライン教育コンテンツを提供するビジネスを展開する場合、Udemyやスタディサプリに対して、ユーザーが平均いくら支払っているかを調べます。また、必ずしもこれだけを調べて自社サービスのポテンシャルを決めるのではなく、そもそも既存のオフラインのサービスとの比較、一般ユーザーが自己研鑽ために年間いくらを教育に支出しているかを調べた方が、本当の意味でもマネタイズのポテンシャルが把握できるようになると考えています。

企業向けビジネス(B2B)についても、類似サービスの調査に加え、自社が担う機能については、対象となるクライアント側での出費の現状や予算について把握することをお勧めします。すでに人力や古いシステムなどで対応をしている場合、そこにはどの程度のコストをかけているか、その組織機能のデジタル化にどの程度予算を立てているかを、リサーチや顧客インタビューなどで調べておくことで、マネタイズの可能性がイメージしやすくなるでしょう。


提供するものやサービスに希少性を

ユーザーや顧客が、自社にサービスに対してお金を払ってまで使ってくれるかどうかは、自社が提供するサービスやモノの希少性にもよると思います。ユーザーが必要とされるサービスということが大前提になりますが、他では利用できない価値や機能、体験が提供できていれば、それに比例して課金の可能性と規模が、高く、大きくなります。

良い事例として、2016年に創業し、去年年間約100億円の収益をえていまる、Cameoというスタートアップがアメリカにあります。有名人が短尺動画を販売するマーケットプレイスを運営しており、一本当たりの動画(2~3分)が数万円で販売されているなど、かなり高い価格帯に設定されています。

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https://www.cameo.com/


流行るIP(知的財産)に乗っかる作戦

上記の希少性のところとも、少し重複する部分はありますが、Tipsとして売れるコンテンツに乗っかてマネタイズをしていくことも一つ戦略として考えられます。スポーツ選手や芸能人、漫画のキャラクターなど、そのもの自体に一定の価値をユーザーが感じているため、比較的にお金を支払うことに対するメンタルの壁が低いです。
物販の領域において、有名な漫画やアーティストのグッズの販売で、収益を得るビジネスが古くから存在しますが、デジタルの領域でも十分活用できる戦略と思います。

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有名な漫画やアニメを題材にした、ゲームやオンラインコミュニティも存在しており、エンタメ領域でIPをうまく活用してマネタイズを図っているビジネスの裾野が広がっています。
ポケモンGOが、良い事例ですね。また米国で「NBA Top Shot」というNBAの試合の動画売買のマーケットプレイスサービス最近急成長をしていて、参考になる事例が生まれてきております。

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https://nbatopshot.com/


マネタイズは想像力・独創力勝負

マネタイズ戦略は、創造力が求められる、プロセスであることを忘れないことです。自社のプロダクトをマネタイズするにあたり、競合や既存のマネタイズ方法を意識しすぎるあまり、簡単に競合を同じモデルを適用するケースが多々あります。

製品の収益を生み出すための創造的で革新的な方法はたくさんあります。顧客ファーストの観点で、顧客観察と顧客の意見をしっかり行い、自社プロダクトにベストな方法を見つけることがとても重要ですし、逆に大きな差別化戦略にもつながります。

Slackの課金方法が面白い事例です。Freemiumモデルで始まることができ、ユーザー数に応じて課金されることまでは、他のSaaSプロダクトと似てはいますが、14日間以上使用していない非アクティブユーザーについて、料金が自動的に使わなかった日数分ディスカウントされる仕組みになっており、クライアントは使った分のみ支払いをするという非常に合理的な仕組みを作っていますね。

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また、アマゾンプライムのように、複数のサービスをパッケージすることで新たなマネタイズプランを作ることも可能だったり、自社内のエンジニアによって内部でのみ使用されているAPIがあり、意外とマネタイズができたりすることもあります。


長期的な視点を忘れない

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予算を達成するために短期間の取引と収益目標を追いかけるのは簡単ですが、スマートなマネタイズ戦略の鍵は、自分自身に長期的な考えを強いることです。

スタートアップにとってこれは難しいかもしれません。製品の一部をマネタイズできる機会に直面した場合、短期的に現金を受け取って成長を続けることが理にかなっている判断に見えるかもしれません。ただし、その判断が主要なKPIに長期的な影響を与える可能性があることにいつも留意をする必要があります。


マネタイズ開始の適切なタイミング

マネタイズを開始する、適切なタイミングというは、判断がとても難しいです。プロダクトによっては、Day1から課金が可能なものもあれば(SaaS領域など)、一定成長をしないとユーザーに対する課金すること自体があまりインパクトがないところか(オンラインメディアなど)、むしろ上記のユーザー体験を悪くしてしまうプロダクトも存在します。

改めて認識しないといけないのは、マネタイズ戦略は、プロダクトのライフサイクル/ビジネスのステージにリンクしているということです。ここで重要になってくるのが、事業計画の作成です。将来どのような収益源を検討できるか、どの程度ユーザートラフィック・エンゲージメントが積みあがった時に、課金開始をすれば意味のある規模の収益を生み出せるかなど、事前にある程度予想をしてみることで、適切なマネタイズのために必要な規模とプロダクトの成熟度のイメージが具体的になってきます。加えて、今後の投資/成長の目標を設定にも大変役に立つでしょう。


最後に

いかがでしたでしょうか。少し長文にはなっていますが、実際上記の観点意外にその場その場でいろいろと考慮すべき事項に遭遇すると思います。最初のPMFが完了して、ユーザートラフィックや主要KPIを成長させるのとは、また違う悩ましさが多くあると思います。多くの企業のマネタイズ開始を手伝っており、少しでもお役に立てればと思います。このNoteを書きました。
マネタイズでいろいろ気になる方は、個別にTwitterでDMいただければまた相談にものれます!

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