# 15 外へ繰り出せほげお君
今日の晩御飯に担々麺作ろうと思ってたのに母いわく練りごまが見つからないらしい。
担々麺に練りごまは欠かせないものだ。
どれだけ入れてやったってかまわない。
昨日、約1か月半ぶりに学校へ行った。
もうすごかった。
感動。
全部想像より上で刺激的な一日だった。
まずは久しぶりの俺を優しく受け入れてくれた友達たちに盛大な感謝を伝えたい。
学校へ行く日の朝。
10時に起きてゆっくり準備していた。
もう準備の時点で楽しかった。
白血球が減少しているから電車には乗れなくて車での登校になるので、準備をそんなに急ぐ必要はなかった。
授業が始まる1時間前。
家を出た。
車に乗っていたらなんかだんだん緊張していくのがわかった。
約1か月半ぶりに坊主頭のがん患者が友達に会いに行くのだから、当然っちゃ当然だ。しかも校内の知らない人にも自分の姿を見られるわけだし。
このときの自分は、
「教室に入るときにボケるか否か」
で結構真剣に悩んでいた。
「そういえばあいつら昼飯食ってるやん」
途中で気づいた。
飯食ってるところに突入するのやりづらいなぁとか思っていた。
学校に着く直前はもう心臓がバクバクだった。
入ってもみんな無反応だったらどうしようとか、思ってたよりもリアクション薄かったらどうしようとかいろいろ考えていた。
とりあえずノーリアクションで教室に入る戦法でいくことにして、車を降りた。
意外と人いないなーと思ったら校内マップの看板の裏から黒い何かが3体ぐらい出てきた。そしてこっちに走ってきた。
まさかと思ったら制服を着た友達だった。
どうやら車から降りてきた俺のことを待ち伏せしていたらしい。
「まじかこいつら!やったぜ!!ハグしよ!!」
と思って小走りで向かったら奥からゾロゾロとほかのやつらも出てきて、最終的には10人ぐらいでこっちに走ってきた。
そんなにいるとは思わずにさすがにびっくりして立ち止まった。
おそらく突進してくるやつがいるだろうから衝撃に備えるためにかまえた。
そして大人数で全力のハグ。
幸せすぎてそのまま魂が抜けそうだった。
ちょっと見ないだけだったのになんだかみんなでかく見えた。
それはみんなから見た俺も一緒だったらしく「身長伸びた?」っていろんな奴に聞かれた(気がする)。
久しぶりに友達とハグして肩組んでこの上ない「幸せ」に浸っていた。
元々自分は友達とのスキンシップが多く、友達にベタベタくっついていたタイプだった。寮生だし友達との距離は限りなくゼロだった。
ただ、治療が始まって学校には行けなくなった。さすがに年頃の男子が母親とスキンシップするわけもなく、スキンシップできる人は気づいたらいなくなっていた。
どうしようもなく人恋しくなっていた。
でも久しぶりに友達に会っていろんなことを思い出せた。
放課後教室に残って数Bの課題をみんなでやったり、教室で友達の誕生日パーティをやってチーズケーキのかけらをもらったり、寮で友達に激辛やきそばを食わされて親にラインで怒られたり、寮の友達10人ぐらいが俺の部屋に遊びに来て部屋の主である俺の居場所が追いやられたり、それはもういろんな思い出だ。
思い出させてくれた友達たちには感謝しかない。
教室に入ると、みんな相変わらずって感じで安心した。
前まではスマホゲームはツムツムがクラスの中でブームだったが、今はポケポケ(ポケモンカードをスマホでも遊べるやつ)とブロスタのブームがきていた。
あと俺がいない間に一人消えていた。
教室でみんなといろんな話をしていると、ほかの学科のやつらもチラホラ顔を出してきて、なんだかすごく懐かしい気持ちになった。
そして”ヤツ”に会いに行くために大軍を連れてほかの教室へ向かった。
”ヤツ”とは常にインスタのdmでやりとりしているイノシシみたいな顔をしたクレイジーなやつのことだ。
廊下へ出ると教室の前にいたカップル(自分がいない間にくっついたらしい)がまず目に入った。
校内にいると嫌な目立ち方をしていることに気づいた。
なんせ医療用のケア帽子と医療用のガチマスクを装備していたから。
でもそんなのは気にせず”ヤツ”のもとへ向かった。
が、”ヤツ”は不在だったので教室へ戻ってみんなで話していたら"ヤツ"がうちの教室に来てお姫様抱っこされた。
いつもは肩にかつがれるけど、このときは俺のことがお姫様に見えたらしい。
授業も特に支障はなく受けれた。
ただ、化学の授業に関してはもうなに言ってるのか全く分からなかったので退屈っちゃ退屈だったけど、久しぶりの学校だったので、なんでも楽しかった。
授業中に先生とめっちゃ目が合ったのは気のせいだと信じたい。
その日は英語のテスト返し(受けてない)もあって、点数がやばいやつが叫んでるのを見て、何点か問い詰めたりした。
全部楽しかった。
この日は大満足で1日を終えることができた。
みんなありがとう!
_____________________to be continued______
ほげおの戯言
今日でやっとベン・E・キングの「Stand by me」のベースラインがギターで弾けるようになりました。
もうすでに左手の中指と人差し指の先の感覚がなくなってきました。
でもめっちゃ楽しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました!