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行政法を攻略する一冊:新人弁護士カエデ、行政法に挑む

私みたいな初学者が人間が行政書士試験を受験する時、鬼門は「行政法」ではないでしょうか。

※ここでいう「私みたいな人間」は社会学部卒、法学は教養として履修したがほぼ記憶にない、丸暗記は苦手を指します。

例えば民法は、身近な生活にあてはめたり、仮のケースを想定したりしやすいので、比較的理解がしやすいと思います。

しかし、行政法は身近なケースに落とし込むことが難しいため
理解して覚えにくい科目だと思います。

特に行手法、行審法、行訴法にある聴聞・弁明や不服審査、行政訴訟など、
処分に対抗する手段が混ざってしまうことがあるかと思います。

そんな方にお勧めなのがこの一冊です。

新人弁護士カエデが、一癖あるベテラン弁護士のもとで、取り扱う事件を通して、行政法を学ぶことができます。

特に物語の大半を占める「ジュエリーショップに対する営業停止処分」の事件。

「どのようにすれば依頼者を救えるか?」というストーリーが進むので、法律(制度)の存在理由が非常にわかりやすくなっています。

例えば行政不服審査について、このようなセリフがあります。

「審理員意見書や答申に法的拘束力はない。
(中略)過去のニュースによればX県知事は行政不服審査会による違法性を
 指摘する答申結果に従わないで原処分の結論を維持したことがある」
楓はX県知事の強面の顔を思い浮かべる。リーダーシップが強く地元からの指示は強いが、強権的な手腕でも有名な知事だ

P80 それでも行政庁は止まらないー行政不服審査制度ー


なかなか身近に感じられない行政法ですが、こういった血肉が通った表現をされると理解しやすいのではないでしょうか?

また業務停止処分が下された際の風評被害を考えると差止訴訟を事前に提起する方が良いのではないか、といったエピソードがあるのですが、
私はこれで初めて「自由選択主義」が取られている意味を理解しました。

行政書士試験の場合、訴訟選択が論点となる問題が出題されることがありますが、「カエデ~」は一つの事件を追う中で、どの方法がベストかを考察していくことになるので、記述試験にも非常に役に立ちます。
(私が受けた年度ではまさに記述ででました;)

試験の参考書籍としてだけではなく、普段知ることがない、けれど生活や事業に関わる行政法。そんな行政法と仲良くなるためにもお勧めの一冊です。


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