私のハハは46歳。
私はアラフォー。
でも、私のハハは46歳。
私がハハと最後に会ったとき、彼女は46歳だった。
今現在、実際には還暦を超えているはずだ。
今日は都会まで診察に行く。
お化粧をする。
ハハと瓜二つな顔に。
どうしてここまで似るのか…
罵声を浴びせてきた人と同じ顔を持つ私。
いつも複雑な気持ちでお化粧をしている。
ただ、瓜二つでも表情筋のクセ付き方が全然違うため、私はいわゆる恵比寿さまで、ハハは毘沙門天である。
私の眉はハの字型で目は弓なりになり、下がっている。
恵比寿さまのそれと同じように。
ハハは常に眉間にシワを寄せ周りを睨み散らしていた。
武人のように。
最近はすっかりナメられキャラの自分に疲れ、眉をキリッとさせて描いている。
眉頭を下げてキリリと上がり眉になるようにしている。
ただ、それもやりすぎるとハハの顔のコピーになるため力加減が難しい。
昨日は母の日だったらしいが、私は今ハハが何処にいるのか、生きているのかも知らない。
それでも鏡の前の私は刻々と歳を取り、46歳に迫ってゆく。
瓜二つゆえの虐待だったが、この瓜二つの顔を「恵比寿さま似」にしたのは私自身の力。
この顔を見て、ハハを思い出さなくなれるかどうかはわからない。
でも、私の心と共に歳を取っていくこの身体を大切にしてやりたいと思う。
私にとってハハの日は特別なものではなく、日々の暮らしに染み込んでいる地味な闘いと抗い、そして「忘れることができない自分への許し」なのだった。