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《毒親育ちの手紙》〜妹へ〜

実名は出せないので。
いまどこにいるかわからない妹。
母と共依存だったサエへ。

サエの好きなように生きなさい。
『好きなように』がわからなかったら、
サエの気持ちが穏やかになるように生きなさい。

サエはわかっていたよね。
自分の両親はおかしいって。
わかっていたけど、
『悪口すら思いつかない』って
涙声で話してくれたね。



サエ?
まだ『オカアサン』と一緒にいるの?

サエは『オカアサン』いなくても生きていけるからね?

サエはサエを護るんだよ。


正直、おねえちゃんはサエのことまだ怖いから会わないし、連絡取れるようにしたりはしないけど。

だけど、サエが穏やかに暮らしていてくれていたら嬉しい。


サエは何にも悪くない。
サエは何にも悪くないんだよ。



『おねぇ、そんなことわかってるって』

そんな返しがあれば、いいんだけど。


サエはもう30は超えちゃったね。
私の中で、サエの姿は二十歳くらいのままなんだ。
色白で、黒目勝ちな、綺麗な髪のサエ。
私と違っておっぱい大きくて、ちょっと憎たらしかった(笑)。

ねぇちゃんさ、歳とったのもあるけど『オカアサン』そっくりの顔になっちゃってさ。
気ぃ抜いてる時に自分の顔見ちゃうと「ビクッ!」ってなるんだ(笑)。
バイト先でたくさん食器落としちゃったこともあるよ。

『オカアサン』美人だったけど、眉を吊り上げた怒りの貌(かお)か、壁の一点を焦点の合わない瞳でじーっと見てるかのどっちかだったからさ。

私には怖い顔だったよ。

そんなそっくりな顔でもさ、私はよく笑うから『綺麗な人だね』とか『素敵な人だね』って褒めてもらえてるよ。
結局、人間は表情なんだよな〜って実感してる。


サエ。
サエは生きてるの?

サエのままに生きなさい。
サエは何にも悪くない。

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