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なぜ成人式で粋がるのか

伝家の宝刀「若気の至」を使える最後の場所。

それが、成人式。

「大人になる式典なんだから、そこで馬鹿騒ぎする奴らの意味が分からない」と、思う人も多い。

そう硬くならずに、「結婚する前に他人とファックしまくるカップル」を見るくらいの感覚で、生暖かく見守るのも良いと思う。

私も成人式には参加したけど、「結婚前のファック」的気持ちで挑まなかったせいで、良い思い出でも、悪い思い出も特にない。

でも、私自身もちゃんとは覚えていないのだけど、こんな事があった。

私は「写ルンです」みたいなカメラを持っていった。

たぶん、あまり使う場面がなくて、だいぶ枚数が余った。

なので、ファック的思想を持った、面識のない派手な男集団に声をかけて、記念に何枚かパシャりとした。

皆んな喜んで、撮影に応じてくれた気がする。

それを現像した写真が、少し前まで私の家あった。

そこに写っている男たちは、皆んな、すごくいい顔をしていた。

社会と婚姻関係を結ぶ前の男たちは、非常に健やかな表情をする。

「今日がピークかもしれないな」と、少し心配してしまうくらいの、良い表情。

特に、衣装と髪型に財産を多く投じた人ほど、それに比例して表情も晴れやかになる傾向にあるようだ。

もし、今彼らに、この時に写真を渡すことができたら、昨今のアラサーになったアイドルのように、SNSに「自分の成人式の時」というタイトルで、アップしてくれることを期待する。

思っていた程の「イイね」は付かないけど、「全然変わらないですね」と、外見を褒めているのか、内面を皮肉っているのか、分からないコメントはもらえる。


成人式は、スクールカーストの上位グループの方が、活躍しやすい構造になっている。

理由はいろいろあるけど、一つの理由としては、「学生時代の力関係を維持できるから」だと思う。

二十歳頃なら、学歴や知力よりも、足の速さや手の速さの方が、ギリでちやほやされる時期。

成人式が20代後半に行われるようなら、こうはならない。

学歴や知力が、経済力との結束を固め始める時期であり、手足が早かった奴の体は衰え、自慢の最大の長所である身体の俊敏性は、息を潜めだす頃。

そもそも、多くの人の評価が手足の早さよりも、出世のスピードに向けられるお年頃。

その時期に成人式が行われれば、スクールカーストのパワーバランスは逆転して、「大貧民」の革命のような出来事が起こるかもしれない。

3が一番強くなっている可能性もある。

でも、9とかのヤツは、ずっと9。


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