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情景162.「坪庭に降る寂光」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「坪庭に降る寂光」です。

実、落ちれば育つこの風土。
なんて、格好いいことは言えないけれど、そんな風に思えた夕暮れの庭。

世間では、ぼんやりと庭を眺める、という行為自体が最近はレアというか、あんまりやらなくなっているのかもと感じます。

実家に和室(畳の部屋)があって、そこからちっさいちっさい庭をよく眺めているのですが、普段暮らしている福岡市内のマンションには庭なんてありませんし。

ただ、

 越してきたばかりの頃は何本かの竹が刺さっているだけの坪庭だった。それも数年のうちに小木が育ちはじめ、土に根と種が残っていたのか、実や芽をつけはじめた。
 越して数年。それでこんな風情を纏う。妙に感心してひとり、満足げに頷いた。

坪庭に降る寂光

こういう風に感じてしまう瞬間というものは、えてしてあるものだと、そんな実感を私はなんとなく持っています。

物寂しさとも、郷愁とも違う。
静かに充実感、みたいな。

余情を探すなかでの楽しみですね。
お楽しみください。


あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話のあつまりです。

どこからでも何話からでも好きなところから読みはじめて大丈夫。
気になったタイトルをひらいてみてください。



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