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掌編小説マガジン 『at』

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掌編小説マガジン at(あっと)。 これまで、ななくさつゆりがwebに投稿した掌編小説を紹介していきます。 とりあえず、100本!
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2023年8月の記事一覧

情景120.「夏野。風の踊り場」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「夏野。風の踊り場」です。 夏野とは、そのまんま夏の野原のこと。 草原が風になびく音が好きなので、書いてみたかったんです。 わがコトながら、過去や昔の類をつい「在りし日」と書いてしまうのはナゼなんでしょうね? 過去や昔で済ますのは安易だから?  →平易な表現も大事だと思います! なんとなく詩情が織り交ざっている気がするから?  →まァ、まァ……そうかも。 既存作品でなんか影響うけた?  →そういえば、ゼノブ

情景259.「朝の感度」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「朝の感度」です。 朝がきて、 起きる? 起きない? そんな情景。 スマホが手からするりと。 重力にしたがって、 のしかかり。 アレ、意外と痛いですよね。 鼻梁(びりょう:はなすじ)とかに当たったらもうたまりません。 ご用心を。 ※※『あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話のあつまりです。※※ どこから読んでも大丈夫。 ぜひ、目次から好きな情景をえらんで読ん

情景139.「目覚まし風時計」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「目覚まし風時計」です。 週末までがんばって、疲れた体を投げ出して寝て、次の日の朝。 風が額をやさしく撫でてくれました。 疲れて帰宅して、だらりと寝てしまって。 そのまま翌朝を迎えてしまった女性のワンシーンです。 でも、朝の風がきもちいから。 だから、今日は何をして過ごそうかと思ってしまう。 おたのしみください。 ※※『あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話の

情景72.「薄く伸びる雲の筋」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「薄く伸びる雲の筋」です。 白い雲の筋を目で追って。 どうやら飛行機雲らしい。 ただ、なんとなく気になって、眺めてみようと思った。 晴れ渡った日に空を眺めたひとの情景です。 飛行機雲をみかけると、つい先まで追ってしまうのですが、みなさんはいかがでしょうか。 では、たゆたいながら浴びる海と空がかさなるひとときをお楽しみください。 ※※『あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ち

七夕の風が坂を下る【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『七夕の風が坂を下る』です。 「でもほら、今日は七夕だから」 学校の帰り道。 夕暮れどきにふたりで坂を下る同級生のひと幕。 そんな掌編です。 彼はいつもそばにいたから、私がここにいる限りはコイツもきっといるのだろう。 そう疑わずにいられたあの頃。 当たり前だったこと。 当たり前でなくなったこと。 自分の心に整理をつける暇もなく、ただ目の前の現実があっという間に「当たり前」をそうでなくしてしまった。 それでも、 「ほら、七夕だ

情景71.「碧海の底」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「碧海の底」です。 なだらかな海の底に寝そべって、空を見上げてみる。 そこから太陽のきらめきを眺めていたいと思った。 一見してファンタジーですよね。 でも、情景は自由だからいいんです。 海に光が差し込む様子を下から思いっきり見上げる。 ファンタジーですが、昔から夢のように憧れる情景です。 水面に光が差し込んで、海底は穏やかで、明るくてしがらみを感じない場所。 ふわふわしていて好きですね。 実はこの情景、

情景284.「湯けむりと夕の陽」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「湯けむりと夕の陽」です。 夕方に入るお風呂っていいよね、といった感じの小さなお話。 外はまだ明るいけど場は穏やかで、ゆっくりできてなんともゼータク。 それが明るいうちに入るお風呂のひととき。 まァそれはそれとして、みたいな情景。 湯気がたちのぼってムワッとした浴室にするりと吹き入ってくる夕方の風とか、私は超好きですけどね。 では、夕暮れ時のお風呂の気ままな感じをお楽しみください。 ※※『あなたが見た

情景116.「夜の底を歩く」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「夜の底を歩く」です。 ネオンを遠巻きに夜の街中を歩くようすを描いたワンシーンの情景。 次の情景117「記憶のうるおい。ラーメン屋夜話」につながります。 あわせてご覧ください。 コロナ禍以降で値上げしたお店もありましたが、本当にあるんですよ。 280円のラーメン屋。 いまは値上げしちゃって320円になっちゃったお店も多いんですけどね。 そこは時代の流れです。 ※※『あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺

大樹に立ち、青空を天に。【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『大樹に立ち、青空を天に。』です。 大樹から地べたを見下ろす誰かが、ひとり。 かすれていく記憶を胸に秘めたまま、眼下の在り様をありのままに捉えたショートショートです。 ……なんて、上記のような紹介の仕方だと、正直よくわからないですね! なんか、煙に巻かれてるような、わかるようでわからないような、でも、ホントそういうショートストーリーなんです。 読んでください! 「あとがき」にもこの旨をちょっと(いやかなり)率直に白状したのですが

情景28.「空を見ずに空を知る」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「空を見ずに空を知る」です。 目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける文章。 そんなものを考えながら記していった、ちょっとしたお話のあつまりです。 どこから読んでも大丈夫。 目次から好きな情景をえらんで読んでみてください。 西日の感じ。ページをめくる音。 直感的に抱いた日の移り変わり。 読み耽りながらそれらを楽しむワンシーンの情景です。 ご覧ください。

薄れゆく夏の陽【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『薄れゆく夏の陽』です。 都会を「向こう」と呼び、故郷(こちら)に戻ってきた青年・染谷修司。 彼はそこで、女子高生の涼香と再会します。 都会を「向こう」と呼び、向こうでがんばってきた青年が、故郷(こちら)でのひとときを過ごすショートストーリーです。冒頭で、夏の夜の情感を味わってください。 実は、ほぼ4000字で〆ることを最初から決めて書いた掌編です。 なので、今こうして振り返ると、もうちょっとじっくり長めのお話にしてもよかったか

言葉が焚きつけてくる【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『言葉が焚きつけてくる』です。 焚きつけてくる、とは。いったい、何が何を? ぜひ、読んでみてください。 これは、創作活動を続けるとあるふたりのショートストーリーです。 創作をつづけていると、自分以外の誰かが手がけたものを、必ずどこかで見ることになりますよね。 時には自分の意思と関係なく、巻き込まれ事故のように、他人の成果や鮮烈な創作物を目にしてしまうこともしばしば。 自分が踏み込んだ分野で。 はたまた自分とは全く違う領域で。 奮

そばにいる彼は空気のようで【掌編小説 at カクヨム】

【カクヨム掌編小説】『そばにいる彼は空気のようで』 今回ご紹介する掌編小説は、カクヨムに投稿している『そばにいる彼は空気のようで』です。 いつもふたりでいるときの落ち着いた雰囲気がすき。 ふたりでいる時間が経つほどに、目新しさも新鮮味も薄れていくのかもしれない。 それでも、それは失くしてしまいたくない。 そんな彼と彼女の思いが穏やかに交差する、大人の恋愛掌編です。 なお、こちらの掌編ですが、ありがたいことに大変ご好評いただき、2021年に新潟のキャスdeわらしべ企画様の

あのひとを追う僕は【掌編小説 at カクヨム】

【カクヨム掌編小説】『あのひとを追う僕は』 今日もあっづいですね。おはようございます。 今回ご紹介するのは私がカクヨム(※)に投稿している掌編小説『あのひとを追う僕は』です。 (※カクヨム:KADOKAWAさん運営の小説投稿サイトで、私もそちらに色々小説を投稿しています。) あのひとを追っていた「僕」のひと幕。 するっと読める恋愛掌編です。 ぜひ読んでみてください。 小さなころはきっと、こうしてお姉さんに手を引かれていたこともあったのだろう。 こういうことって、たぶん