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2024年日向坂日記

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はじめて、みとめる、(2024年9月①)

はじめて、みとめる、(2024年9月①)

神田神保町が本の街だと言って通じる世代というのは、もう限られるのかもしれないな。カレーの街と言ったほうが、もはや通りがいいのかもしれない。そんなことを考えながら地下鉄半蔵門線の駅から地上に出ると、辺りは思ったより暗くなり始めていた。スマートフォンの地図に目を落としながら、亀が泳ぐ街をふらふらと歩くと、ほんの数分で目当てのギャラリーにたどり着いた。

金村美玖 写真展『みとめる』

日向坂46のメン

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指のかかりが良い(2024年7月①)

指のかかりが良い(2024年7月①)

いつの間にか、パリオリンピックまで2週間を切ったらしい。

先日、TV番組の中で、バスケットボール日本代表の渡邊雄太選手が、漫画『スラムダンク』における名言のひとつ「左手は添えるだけ」について、「かなり昔なので。今は少し違うんですよ。」と話していたのを見た。僕も小中高と部活はバスケ一筋だったが、たしかに、今はと言わず、昔から「左手は添えるだけ」が正しいシーンは限られる。あの夏(だったはず)、桜木花

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歪むので慣れてください(2024年5月①)

歪むので慣れてください(2024年5月①)

自虐の意を込めて「おじさん」と自称するのが普通になってきているが、我ながら少し嫌になるくらい「実は、そうでもないでしょ?」なんて自惚れて考えていた。5年くらい前までは。同じような歳の面々で、俺たちアラフォーだね、なんて言ってる頃はまだ余裕があったのだ。もちろん、腹は出てくるし、白髪も目立ってきた。それでも意外と土俵際、いや生え際で粘りを見せる前髪に勇気づけられ、「仕事柄、意外と若く見られるんですよ

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29人いる! (2024年4月①)

29人いる! (2024年4月①)

例えば、こんな設定で始まる小説があったとしよう。

桜咲く季節。引っ越し業者のトラックを見送った若者が、段ボールに囲まれた部屋で田舎の母親と電話をしている。言いつけを守って両隣に挨拶に出向いたが、両方とも不在だった。だから都会では引っ越しの挨拶なんていらないって言っただろう、そんな生意気なセリフで電話を切る。そういえば1日何も食べていないことに気づいたが、不案内な新しい街で外食するのも億劫なので、

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紡ぐこと、織りなすこと (2024年3月②)

紡ぐこと、織りなすこと (2024年3月②)

東京メトロ日比谷線の六本木駅で降りて地上に出る。首都高の高架下道路と三本の道路が交わる交差点は、実際に訪れたことがない者でも、「よく見る」東京の風景かもしれない。今は、年に1回も訪れるかわからないこの場所だが、実は僕にとって、20年ほど前は毎日のように足を運んでいた懐かしい場所だ。

20代後半で最初に興した会社のオフィスは六本木だった。見栄だけで借りた猫の額ほどの雑居ビルの一室。灰皿の置いてある

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僕はnoteが書けない (2024年3月①)

僕はnoteが書けない (2024年3月①)

ここ数年、異常気象が異常じゃなくなって、2023年は果たして四季があったのかさえ自信がない。新年は禄にお屠蘇気分にもなれなかったし、今はとにかく花粉がすごい。人は大地震にも、花の雄しべが撒き散らす粉にも難儀するのだから、ただ、生きていくだけで息が切れる。

日向坂にも風が強く吹いている。追い風かと思えば向かい風、足元の砂埃を巻き上げて視界を邪魔してくるようなこともあるのだから、前を向いて足を運ぶこ

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