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「恋」を言い換えるなら、「初めてのこと」だと思う。

「めんどくさいんだよね、人の気持ち考えるとかそういうの。」

コロナ騒ぎが始まった頃だから、ちょうど1年くらい前か。彼がそんなことを、本音めいたことをちょこちょこと言っていたことを思い出す。

リモートワークが始まって、社内の託児所に子どもを預けないと仕事ができない私は、例外的に1人だけ出社することになった。

とても小さな会社だ。

年齢は同じだけど、会社の立ち上げメンバーである彼は、言わば幹部で。

会社のPCじゃないとできないことがあるから、という理由で毎日出社していた。

狭いオフィスで、日がな一日ただカタカタとキーボードを叩いて、お迎えの時間は毎日あっという間にやってきた。

言葉も交わさないのになんだか居心地がいい相手、とかいるけど

私たちは全くそんなんじゃなくて、時にはその場から逃げ出したい、そう思ってしまう程の独特な空気感だった。

でも、例えば今のように。私が書きたい本当のことを、私が思う本当のことを見せたいと思ってしまう。

本音を抱えたまま、毎日きっかり17時半に「お先に失礼します。」を言う。

ただその繰り返しの、ひたすらどうしようもない

圧倒的な幸福感だった。

彼が私に話してくれたいろんなことが、壊れた機械みたいに頭の中でループしてた。

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