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初期の新海誠映画2作

初期の新海誠映画を2本鑑賞したので感想を書いていきます。


『秒速5センチメートル』(2007/日本)

なんだろうか、この感覚は。
普段よく知らない人と胸の内に秘める共通の趣味を見つけたような感覚。
『君の膵臓をたべたい』を観たときも思ったんですが、
「君もハルキストだったんですね!」という喜びでいっぱいです。

現代をときめく作家の皆様にハルキイズムが沁みわっているようで、ハルキストとはしくれとしては嬉しい限りです。
そういえば大衆迎合に舵をきった新海誠監督の『天気の子』の主人公は村上春樹翻訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んでいましたし、映画の内容も『海辺のカフカ』のような描写もありましたし、ハルキリスペクトを思いっきりだしてきているわけです。
『秒速5センチメートル』のときは照れながらも好きを隠せない感覚がたくさんでていましたが、その初々しさも悪くはありません。

『君の名は。』は村上春樹でいうところの『ノルウェイの森』にあたると私は思っています。『ノルウェイの森』の元となった短編小説の『蛍』はちょっとインパクトには欠けるけど非常に芸術的な作品です。『秒速5センチメートル』も『蛍』です。なんか胸に残る、むずがゆくなるような芸術性。でもそれだと大衆に刺さらないから『君の名は。』で大きく路線変更した(と思っている)。新海誠氏もハルキストだったんだなと確信できたことは収穫であり、ハルキスト作家として今後も注目していきたいですね。

(採点:★★★★★★★☆☆☆)

『言の葉の庭』(2013/日本)

『秒速5センチメートル』と続けて鑑賞して思ったことがあります。
「小説だったら好き、アニメになったらきつい」ですね。
小説だったら内容が気色悪くても文学として受け取るのですが、アニメになるとその気色悪さを音楽と映像の美しさで覆い隠すことができるので、余計に変な感じになってしまいます。

『秒速5センチメートル』とともに気色悪い内容なんですが、「小説なら好き」という心がありますので、その気色悪さも私は好きではあります。
※気色悪い気色悪いと連発してますが、これは褒め言葉です。

ただ『秒速5センチメートル』よりも気色悪さは軽減しており、突き詰めるなら気色悪さをもっと突き詰めて、もっと美しい映像と音楽で突き抜けてほしいという思いがあります。
この方向で進んでも大衆には受けないと踏んだのか、このあと路線変更しちゃいますが、『秒速5センチメートル』の路線でやってほしいなあと思っちゃいますねぇ。

(採点:★★★★★★☆☆☆☆)

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