「おいしい!」を自分のコトバで伝えたい!【食レポ】ちょいアゲ☆ヒント
グルメ番組の制作にちょいちょい携わっているのですが、味をどう表現するか、は、リポーターさんと毎度悩みます。
リポーターさんたちも自己流で表現に磨きをかけているのですが、正解はなく。常に手探り。
コメント終えて、ディレクターからカットの声がかかったら、
「大丈夫だった?」と目配せが送られます。
最近は、より解析度の高い「おいしい」の表現を求められています。
しかし、食レポのセンスは、料理の知識や味を表す言葉を
どれだけ持ち合わせているか、
で磨けるんじゃないか、と思います。
実際に感じた味わいを
口のなかで食材や調理法、味などで分類して、
それぞれを解説する。
味についての言葉を収集することで、食レポの表現が広がるのでは、と思いました。
ということで、
今回は料理の感想をいつもより少しだけ、豊かに表現するためのヒントに
なるような言葉ついて書いてみます。
料理は多重構造でできている
料理は多くの手順をえて完成します。
料理する人なら、ある料理をイメージとその材料や手順も浮かんできます。
しかし、料理をしない人には、それが想像できません。
例えば、かけうどんが頭に浮かんだ、とします。
そのかけうどんが出来上がるまでの、調理工程を書き出してみます。
料理をしない人にとっては、かけうどんは簡単な料理と思われるかも、
ですが、これだけ工程があります。
①出汁の材料を選んで、(昆布、いりこ、かつお節、干しシイタケ、など)
②出汁をとる。
③別の鍋にお湯を沸かし、うどんをゆでて、
④ざるにあげて、流水で洗う。
⑤出汁に味付けをして、うどんを入れて煮立てる。
⑥同時進行で、具を用意する。
かまぼこ、天ぷら、ホウレンソウ、キノコ、卵など。
⑦丼にうどんを入れて出汁を注ぎ、
⑧具をのせて、
⑨薬味(ネギ、しょうが、七味、ゆず、など)を添える。
料理をしない人が思い描いた工程は、
ゆでたうどんに、インスタント出汁をぶっかける。
かもしれない。
それも、おいしいんだけどもさ。
誰かに食べてもらうなら、そうはいかん、と思っちゃうのが、
料理する人の心意気なのです。
あ、話しがそれました。
何が言いたかったか、というと、
うどんのおいしさの正体は、
・うどんそのものの味
・うどんの食感
・出汁
・温度
・具
・うどんと具と出汁のバランス
・薬味によるアクセント
・出汁や薬味の香り ・・・
これだけの要素が複合的に相まって、脳内で「おいしい」が発動されるのだと思います。
「おいしい」の正体
つまり、おいしいの正体はひとつではなく、さまざまな要素、
食材
調理法による特性(うどんなら、かけ、ぶっかけ、鍋、つけ、など)
食感
温度
味
香り
アクセント
余韻
などの組み合わせで構成されている、ということ。
味の基本
この要素のなかで、最も大きな「味」について。
味の基本は5つ、と言われています。
甘味
塩味
酸味
辛味
旨味
そして、補足するもうひとつの味がありまして、それは
苦味
食レポとはどういうことか?
素材単体、例えば、甘味だと「砂糖」の甘さだけでは「おいしい」とはいいがたいと思うのです。それは、「甘い」であって、「おいしい」ではない。
塩だけだと、「しょっぱい」であって、「おいしい」ではない。
おいしい、と感じるのは、「甘味」が強くてそれをひきたてる「塩味」がある。
あるいは、「甘味」が強くて「酸味」も感じる。
「塩味」にレモンの「酸味」がきいている。
など、2種類以上が組み合わさり、
それぞれ強弱や主従があり、
そのバランスが絶妙だと「おいしい」に昇華するのではないか、と
思います。
その料理が、どんな工程を辿って完成されたのか、どんな食材が使われているのか。その謎解きをしていく過程が食レポなのかもしれません。
「味」について表す言葉
さて、この6つの味について、仲間の言葉を集めていきましょう。
参考にしたのは、角川類語新辞典です。
①甘味
甘い・甘ったるい・甘気・甘口・甘味(かんみ)・甘美(かんび)・
甘露(かんろ)
②塩味
塩っぱい(しょっぱい)・塩辛い・塩気・鹹味(かんみ)・薄塩・
甘塩・塩加減
③酸味
酸い(すい)・酸っぱい・酸味(すみ)・酸味(さんみ)・甘酸っぱい
④辛味
辛い・辛味・辛目・辛口
⑤旨味
美味しい・美味・滋味・顎が落ちそう・良い・優しい
⑥苦味
苦い・苦味・ほろ苦い・えぐい・え辛い(あくが強いかんじ)渋い・
渋み・渋い・苦渋
「味」を表す言葉を集めてみましたが、それほど多くないな、という印象です。これにもうひとつ言葉を足すことで、具体性が増します。
それは、「程度」を表す言葉です。
「程度」を表す言葉を足す
程度とは、
その味がどのくらい感じるのか?弱いのか強いのか。
その味がどの辺から感じるのか?最初に感じるのか、後から感じるのか。
その味がどのくらい長く続くのか?一瞬なのか、ずっとなのか。
ほんのり甘い。
わずかな苦味が。
一瞬、レモンの酸味を感じて。
あとからじわじわとかつお節と昆布のうまみが。
肉と香味野菜でじっくりとった深みのあるスープの味が。
など、具体性が出てきて、聞いている人の脳内で、味が再現されていきます。
それでは「程度」を表す言葉を集めてみました。
濃い・濃厚・深い・こってり・薄い・うっすら・ほんのり・浅い・淡い・
淡泊・薄口・味加減・塩加減・塩梅・後口・後味・くどい・脂っこい・
ちょうどいい・同時に・一遍に・一度に・一気に・次第に・
最初に・はじめに・先に・一瞬・ちょっと・あっさり・わずかに・ほんの・儚い・絶妙・微妙・繊細・深い・深み・奥深い・各段・独特・特有・特別・あとから・エッジのきいた・徐々に・だんだん・どんどん・じわじわ・
じっくり・新鮮な・熟成された・・・
食感はオノマトペ
歯ごたえや歯ざわり、喉ごしなど、口の中で感じる食感は、オノマトペがあります。思いつく限り、書き出してみました。
ちなみに、日本語には「味」を表すオノマトペは、
まだないんだそうです。
さくさく・さくっと・ざくざく・ざらりと・ばりっと・ぱりぱり・
かりかり・がりがり・こりこり・ぽりぽり・しゃりしゃり・しゃりっと・
ごろごろ・ぴりぴり・ぴりっと・とろとろ・とろとろっと・
とろっと・ふわふわ・ふわふわっと・ふわっと・じゅわっと・
つるつる・つるっと・ずるずる・ほろほろ・ほろりと・ぼろぼろ・
ほっくり・つぶつぶ・ぷちぷち・・・
オノマトペ以外の言葉として
滑らかな・まったりした・まろやかな・すっきり・さっぱり・舌にまとわりつくような・・・など
調理法や香りに関することば
フレッシュな・エキゾチックな・スパイシー・スモーキー・燻された・
ローストされた・グリルされた・炙った・自然の・天然の・香ばしい・
芳しい・ふくよかな・海の香りがする・磯の香りがする・ハーブの香り・
揚げたての・・・
「美味しい」を言い換えたい
美味しいものをいただくと、感動します。
おいしいを超えるような味には賛辞を贈りたい。
最高の味に出会えたら、それに感謝したいもの。
「美味しい」を言い換えるさまざまな一言を集めてみました。
素敵・あっぱれ・素晴らしい・最高・至高・傑作・圧巻・上出来・
得も言われぬ・すこぶる・心憎い・出来栄え・とんでもない・
天下一品・無二・無双・抜群・類無い・絶品・デリシャス・顎が落ちそう・
ご飯がすすむ・醍醐味・スペシャルな体験・断とつ・桁外れ・桁違い・
断然・圧倒的・極めて・極上・極み・お腹いっぱい・満腹・満足・幸福・
幸せ・口福・ものすごい・口の中が爆発した・上品な・優雅な・
エレガント・芳醇な・感動的・貴重な・初めての味・・・
食レポの構成
食レポの構成は、
①見た目の印象
②香り
③最初に感じた味
④その由来を予想
⑤食感
⑥料理の土台となるもの(食材や出汁や調理法)
⑦後味、余韻
⑧おいしさを表現
読み手や聞き手に、感動的なおいしさを伝えたい。
味はなかなか伝えにくい、表現しにくいものですが、
少しでも参考になれば幸いです。
これからも、味やおいしさの表現を採集してアップデートしていきます。
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