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自分的サッカー撮影メソッド(3):試合中の2つのポイント

自分がサッカーをどんな風に撮っているかまとめて書いてますが、やっと試合までやってきました(笑)。

今回は、実際にスタジアムで撮影するときにどうしているかを書きます。試合中のポイントは大雑把に言うと2つです。

1つめのポイントは「撮りたい写真」のイメージ

まず1つのポイントは、「どんな写真を撮りたいか」というイメージを作ることです。

ただ、撮れる写真というのは座席の位置で変わります

ゴールラインより奥の席だったら、サイドを切り裂くドリブルを横から撮ることはできませんし、逆にサイドの席だったら、シュートを打つ選手を正面から撮ることはできません。コーナーキックからのヘッドを撮りたければ2階席が最良です。

なので、切符が取れた段階で、「撮れる写真」のオプションはある程度絞られてしまうので、その中で具体的にどんな絵を撮りたいかを考えます。

さらに、出場選手の特徴を考えて、「誰のどんなプレーの写真」を撮りたいかということをイメージします。フロンターレの試合を見るときは、例えばジェジエウのディフェンスなのか、小林悠のシュートなのか、家長のドリブルなのか、といった具合です。

「撮りたい写真」によって撮影設定が変わる

この脳内シミュレーションが大切なのは、「撮りたい写真」によって撮影設定が変わることがあるからです。

例えば、サイドからドリブルを撮るのだったら、動感を表現した流し撮りがオプションになります。

これは去年のルヴァンカップでのアントラーズ戦での長谷川竜也のドリブル。ちょうどバックスタンド2階S席の最前列(3列目)が取れたので、「こういうショットを撮りたい」とイメージして撮ったショットです。

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ただ、通常の1/1000秒の設定だと、流し撮りにはなりません。シャッター速度を1/80-1/100位まで落とさないと、スピード感のある流し撮りはできないのです。


あるいは、ゴール裏からシュートシーンを撮る場合。

この場合、難しいのは、ゴールネットにピントを持って行かれる可能性があることです。なので、その可能性をできるだけ減らすためにAF設定をダイナミックAFやグループエリアAFではなく、シングルポイントAFに設定する必要があります。逆にドリブルを撮る場合は、選手の動きに追従するために、ダイナミックAFを基本にしています。

これはゴール裏南側の席だったときの、トリニータ戦でのダミアンの得点シーン

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こちらは上の一瞬前、ピントをネットに持ってかれてしまったショットです。なんとか決定的な場面で戻ってよかったです。

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こういったことを考えながら、キックオフの瞬間まで、「撮りたい写真」のイメージとそのとき必要な設定についての頭の整理をし続けます。頭の中で整理できてないと、必要なときにすぐに手が動かないので。

ニコンのハイエンド機はほとんどの変更を右手だけでファインダーから目を離さずにできるので、こういうときに本当に助かります。

イメージの修正

その上で、実際の試合が始まってからの両チームの戦術を見て、「撮りたい写真」のイメージを修正していきます。この試合は左サイドを中心にして崩す、ということであれば左サイドを狙っていくし、最終ラインの裏を狙う意図が明確に読み取れれば、裏抜けしそうな動きをしている選手を狙っていきます。

これはサンフレッチェ戦での旗手。右サイドでフリーになっていて、中盤からパスが出てきそうだったので、動き出しからずっと連写で追ってました。連続で21枚撮ったショットのうちの4枚を。

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2つめのポイント:展開の先読み

自分の哲学みたいなものですが、スポーツ写真を撮る上で最も重要なのは、「先読みをする能力」だと思っています。例えばサッカーだったら、中盤の選手がボールを持ったときに、センター方向にスルーパスを蹴るか、サイドにフィードするか、自分でドリブルするか。

ラグビーだったら、密集からハーフバックスがパスで仕掛けるのか、ハイパントか、FWにサイドを突かせるのか。

試合展開を見ながら、このあたりを常に予測しながら、次のプレーの方向にカメラを向けていきます。なので、いいスポーツ写真を撮るためにはその競技についての戦術理解が不可欠だと思っています。

こういうふうに、戦術を考えながらとなると、ファインダーのぞきっぱなしというわけにはいきません。そもそも自分は「撮影」に行っているのではなく、「サッカー観戦」のついでに写真を撮っているので、試合の空気を感じることが一番大切です。

全体の戦い方を見ながら、フォーメーションの特徴が現れているときにはフィールド写真も撮りながら、両チームの戦術を考えていきます。興味深い動きをしている選手がいれば、それはそれで撮っておきます。マッチレビュー書くとき、こういう写真から気づくこともあります。

両目を開く!

もう一つ大事なこととして、試合中、両目を開いてカメラのファインダーを覗いています。ファインダーを右目で覗くとき、左目を閉じている人は多いと思います。自分の場合、プレーが遠い側のコートで行われているときとかは別ですが、基本的には両目開けて、左目で全体を見ながら、右目でファインダーの確認をします。そうすることで、次のプレーを予測しながら撮りたいプレーにファインダーを向けられます


この、両眼視のテクニックは、コーナーキックの時なんかにとても重宝しています。コーナーキックの時は、ファインダー覗いているとどこにボール行ったかわかりません。ゴール前撮ろうとしてたらショートコーナーだった、なんてことよくありますから。そのあたり、左目で全体見ながらボールの方向にカメラを向けていくと、上手くいきます。

これはレイソル戦での家長の先制ヘッド。S指定席二階南。完全な結果論ですが、コーナーキックからのヘッドを撮るには理想的な席で、ちょうど上手く合わせることができました。

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また、ゴール前のFWを追うときにも両眼視は重要です。ダミアンの位置は比較的予測しやすいのですが、小林悠は予想外の場所にいることが多いのです。小林悠とボールの両方をファインダーで確認できない状況はけっこうあり、自分的には、小林悠狙うときには両眼視が不可欠です。


普段無意識にルーチンとしてこなしていることも、こうやって文章にしてみると気づくことがありますね。次回は試合後、レタッチについて書きます。


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