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クローズアップ三笘薫:対北海道コンサドーレ札幌戦(5月16日)<3>

 一ヶ月前になってしまった5月16日の川崎フロンターレ対北海道コンサドーレ札幌戦のレビュー(2-0でフロンターレ勝利)の最後は、いつものように三笘薫にフォーカスしてみる。なお、この試合は三笘は先発だったが78分に長谷川竜也と交代している。

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高い位置でのボールタッチ

 まずは三笘マップを見てみよう。まずはボールタッチの場所から。

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 若干の偏りが観察できる。左サイドの高い位置とハーフライン付近。

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 高い位置でのボールタッチはフロンターレが攻め込めていると言うこと。ハーフライン近くでのボールタッチは、そのエリアでコンサドーレがしばしばボール奪取していることと関連性があるように思われる。

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 ここで三笘へのパスを止めようと強度の高いディフェンスを仕掛けていたと言うことだろう。

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実際、鹿島アントラーズ戦同様、この試合も登里からのパスが少ない(後述)。

 それと、最近は右サイドでのボールタッチが時々見られる。この試合では37-40分までの間だが。家長が左サイドに移動するのと同様、三笘を右サイドに移動するオプションを用意しつつあるのかもしれない。

ゴールに向かうドリブル

 三笘マップ2枚目。ドリブルを加えてみる。

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 左サイドでかなり距離の長いドリブルを仕掛けているのがわかる。しかも、ほぼすべてがゴールに向かっている。

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 ここは、この2週間あとのアントラーズ戦とは大きく異なる。

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 アントラーズ戦では矢印は外向きが多い。距離も短い。対面になった常本佳吾を含め、アントラーズが全体として上手く守れていたことが、この比較からもよくわかる。逆に言えば、このコンサドーレ戦では三笘のドリブルが有効に機能していたと言うことだ。

通常通りのプレー選択

 次に三笘のプレー選択を。

  ドリブル:11(34%、90分換算12.7)
  パス:19(59%、90分換算21.9)
  シュート:1
  デュエルによるボールロスト:2(90分換算2.3) 

 ボールタッチ数は33。90分あたりに換算すると38.1。去年の対戦に引き続いて少ない数字になっている。

 ドリブル:パス:シュートの比率は去年の平均が37:56:7だからほぼそれに近い数字。特にプレー選択上で注目すべき点はなかったと言うことになる。

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登里からのパスの数が少なかった

 最後に、敵陣での三笘へのパスの出所を。

  登里:6
  ダミアン:4
  谷口:4
  旗手:4
  シミッチ:3
  田中:3
  敵ボール:3
  家長:2
  山根:2
  小塚:2
  スローイン:1
  チョン・ソンリョン:1

 一番多いのが左サイドバックの登里なのはいつものことだが、その数が少ない。普通は10を越えることもざらにあるのに、6本にとどまっている。

 このあとのアントラーズ戦で5だが、アントラーズ戦での出場時間は64分だから、ほぼ同じ程度の数だ。コンサドーレが、右サイドのハーフライン付近でのボール奪取が多かったことと合わせて考えると、三笘を直接止めるよりも、三笘へのパス、とりわけ登里から三笘へのパスを警戒して止めにかかっていたことがわかる。

 ただ、谷口からのパスが比較的よく通っている。なので、登里を経由しないで谷口から直接パスを付ける局面が比較的多かったということになる。また、中盤3人からも10本のパスを受けている。

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 あとはダミアンからの4本。ダミアンが右に流れてのコンビプレーが多かったことを表している。

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 こうしてみると、登里からのパスを防ぐことにはある程度成功しているものの、それ以外のパスは普通に機能していたことがわかる。このあたりが、このあとに行われたアントラーズのディフェンスとの違いと言えようか。

(終わり)