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4-4-2ブロックの崩し方:速報レビュー 川崎フロンターレ対清水エスパルス(10月24日)

 今日は等々力で川崎フロンターレ対清水エスパルス戦を観戦。

 10月末のホームということで、試合前イベントの中で子どもたちが一番楽しみにしているハロウィンイベントがある。例えば「お菓子なバッグ」とか「キャンディレイ」なんかを作らせてもらえる。

 ただこれは整理券制。ということで、整理券配布の1時間前に等々力に着いて並んだ。キックオフは17時なのだけれど、整理券配布は13時。つまりキックオフ5時間前に現地に着かなければならなかった(泣)。昨日の大分でのラグビーの日本対オーストラリア戦の遠征を諦めたのも、この行列をしなければいけないと思っていたから(笑)。

 ただ、整理券の購入には「1人何枚」という上限がない。なので1人で大量に買う人がいる。

 「キャンディレイ」は、お菓子を袋に入れて首飾り(レイ)を作る。

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 この行列では、目の前で8枚整理券を買う大人がいた。

 「お菓子なバッグ」は、ロッテの「トッポ」4つと「パイの実」1つを組み合わせてバッグを作り、ガムをつなげてストラップにする。

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 この行列は前に30人ほどしかいなかったのに(整理券は合計96枚)、順番が回ってきたときには残りが3枚しかなかった。

 自分たちは娘と二手に分かれて並び、両方ともなんとか入手できたわけだが、「お菓子なバッグ」は3人あとの子供は手に入れることができなかったことになる。やっぱり1時間近く並んで、整理券が手に入らなかったとなると子供がかわいそう過ぎる。

 川崎フロンターレとして、大人だけで並んで大量に購入するのは禁止すべきではないか。1人1枚ないし多くて2枚までと制限し、大人の参加は禁止すべきだと思う(両親と一緒に4つの「お菓子なバッグ」を作っている家族がいた。参加費400円でトッポ×4+パイの実×1+ガムだから「コスパがいい」とか考えて親も買ったのだろう)。

 ハロウィンは子供のイベントなのだから。というわけで、フロサポのマナーが悪いと感じざるを得ない試合前だった。


練り上げられた4-4-2を崩すのは難しい

 気を取り直して試合に。結果から言うと、1-0でフロンターレ勝利。前後半を通じてフロンターレが優勢に試合を運んだが、エスパルスの4-4-2のブロックを崩しきることができず、完全に崩したのは得点した瞬間くらいのものだった。その意味で、ロティーナ監督のチームらしい、組織的なディフェンスが見事に機能していて、それに挑みかかるフロンターレという図式だった。

 エスパルスの4-4-2に対してフロンターレはいつもの4-1-2-3。アンカーは橘田。最近はコンディションが悪いのだろうか、シミッチはベンチにも入っていない。

 フロンターレのビルドアップに対し、エスパルスは2トップが積極的に谷口、ジェジエウの2人のセンターバックに対してプレスをかけてくる。

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 もちろん、センターバックにプレスをかければアンカーの橘田が空く「はず」なのだが、そうはいかなかった。2トップがプレスをかけるコースを上手く工夫していて、橘田へのパスコースを塞ぎながらプレスをかけたからだ。

 特にパスの精度の高い谷口へのプレスは非常に強度が高かった。一方、ジェジエウに対しては2トップはそれほど強くはプレスをかけない。場合によっては橘田をマークしたままということもあったが、そうしたときには2列目のセンターハーフが上がってきてジェジエウの前進を阻止する。

 そうなるとフロンターレのビルドアップはサイドからと言うことになるが、これはサイドを「崩した」と言うよりサイドに「誘導された」形。

 むしろフロンターレからみたチャンスは、敵陣であればもちろんのこと、自陣であってもボールを奪ったトランジションの瞬間にあった。そして自陣でボール奪取すると、サイドに流れている家長にボールを預ける。そこで家長がゲームを組み立てていく。つまりサイドからのゲームメイクだ。

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 そこから押し込むまでは上手くいくのだが、押し込んだブロックを崩すのが難しかった。

崩した一度のチャンスを決めた

 4-4-2ブロックを崩すには、バイタルでの「間受け」と、最終ラインの裏に抜ける動きを丁寧かつ粘り強く繰り返していかなければならない。

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 後半の立ち上がり(後半2分)の得点場面はそれが上手くいった。

 上の写真は得点の直前。間に立っているのは脇坂。家長から脇坂にパスが入り、脇坂が左サイドのマルシーニョに展開、マルシーニョがドリブルで裏に抜け、中央でフリーになっていたダミアンに折り返して得点する。

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 繰り返すが、この時が唯一、エスパルスの組織的なディフェンスを崩しきった瞬間だった。

 マルシーニョ、得点の時に決定的な仕事をしたが、それ以外でも「サボらない」プレーぶりが目を引いた。

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 必ず左サイドの大外のポジションを取り、何度も裏を突く動きをする。そのときにパスが出てこなくても、またポジションを取り直してまた裏をうかがう。流れの中で中央に寄ったときでもすぐにサイドのポジションを取り直す。

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 とにかくサボらない。それが報われたのがまさに得点した場面だった。

 しかし崩せたのはそのときだけ。ディフェンスの組織をなかなか崩すに至らない。

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エスパルスの原輝綺も粘り強くマルシーニョに対応し、ファウルで止めた場面もあったものの、決定的な突破は二度と許さなかった。

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エスパルスの攻撃を阻止した「強くて速い」2人のセンターバック

 エスパルスは、前半の飲水タイムくらいまでは右サイドのからの攻撃がほとんどだった。

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 飲水タイム後は左サイドも使い始めたが、こちらもフロンターレのディフェンスを崩すには至らない。

 もちろんフロンターレが押し込んでいる展開の中でボールを奪取できれば、カウンターのチャンスと言うことにはなるのだが、橘田や旗手が「即時奪回」に成功することも多く、さらにそこを突破しても、谷口、ジェジエウの「強くて速い」2人のセンターバックにいくつものチャンスの芽を摘まれてしまった。


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 後半になると、ショートパスで細かくレーンを変えながら前進し、シュートレンジにも入ることができた。しかし得点には至らず、1-0のまま試合終了。

シミッチの欠場は大きかったかもしれない

 8月の天皇杯では、フロンターレはシミッチの正確なロングパスでエスパルスのディフェンスを左右に揺さぶり、崩しきった。

 今日の試合のアンカーを務めた橘田の特長はボール奪取能力と機動力にある。特に、2列目からの飛び出しに対してアンカーポジションから付いて抑えるようなプレーはシミッチにはできない。

 しかし、このエスパルス戦について言えば、橘田よりもシミッチの方が有効だったように思われる。

 サイドを変えたり裏を突くロングパスがアンカーポジションから繰り出されることがほとんどなかったので、エスパルスは4-4-2ブロックを崩さずに対応することができていた。

 8月の試合を見れば、シミッチの有効性は明らかなので、コンディション不良など、使えない理由があるのだろう。

 そういったパスは基本、家長から。その意味では得点のきっかけが家長のパスだったことは必然だったとも言える。

Xデーはいつ?

 19時に始まったセレッソ大阪対横浜Fマリノス戦では、2-1でセレッソが勝利した。帰りの電車の中で後半だけ観戦したのだが、Fマリノスも同じく強固な4-4-2ブロックを崩すことができなかった(セレッソもロティーナが土台を作ったディフェンスシステムだ)。その意味で強い既視感を持ちつつ、Fマリノスにシンパシーさえ感じながら見ていた。

 とはいえFマリノスが敗れ、フロンターレが勝ったと言うことは、試合前「10」だった勝ち点マジックが4に減ったということ。さすがにもう秒読みといっていいだろう。決まるのは11月7日の鳥栖戦だろうか。