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チャンスがあったら決めないとねという教訓・・ 〜J2リーグ第39節 レノファ山口FC vs FC琉球 振り返り〜

2019年Jリーグ第39節レノファ山口FC vs FC琉球の試合は,1-2でFC琉球の勝利となりました。今回はその試合の振り返りです。

この試合のプレビューはこちらです。


はじめに

いきなりですが今回の振り返りは今までと少し変わったものにしたいと思います。テーマは「この試合の2回目を観るとしたらどんなポイントに注目して観るか」というものです。今までは試合を2回以上観て振り返りを書いて火曜日に出すというのが一番多いパターンになっていましたが,今回は1回観て書きます。そしてnoteへのアップを早くすることを意識してやります。

これは来年を考えた時の実験としてやってみます。ですから,いつもと異なるテイストになるかもしれませんが,よろしければ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。


注目1.琉球が試合の入りに成功したわけを考える

さて,山口としては金沢戦以来の敗戦,ホームでの連勝記録が4でストップした試合となりました。勝ち点3を掴み取ってもおかしくない試合だったと思いますのでこれを書いている今も悔しさがこみ上げてきます。

試合の流れとしては琉球が先制をし流れを掴み,チャンスをたくさん作るという前半でした。ただ,山口は琉球の再三のチャンスを吉満のビックセーブなどでしのぎ前半36分に同点に追いつきました。その後は山口が盛り返して前半終了,後半は逆に山口が流れを掴み多くのチャンスを作るものの決めきれず,耐え続けた琉球がほぼラストのプレーで勝ち越して試合終了という展開でした。

こういった試合展開だったわけですから2回目を見返す時には,試合の入りに琉球が流れを掴んだ要因はなぜかということと山口が盛り返したのにはどんな修正があったのかという点に注目するのが良いと思います。

では,試合を観て私が感じた琉球が試合の入りに流れを掴んだわけを書いていこうと思います。まず何と言っても大きかったのは先制点でしょう。ゴールシーンの起点となったプレーから見てみましょう。ゴールシーンの前では琉球のビルドアップから山口の最終ラインの裏にロングボールが出たところを菊池がカットしました。そのボールを右サイドで奪われ,その後の切り替えの部分で琉球に上回られた形でした。結果としてはトップ下の吉濱がプレスをかけた流れで右サイドにいたことで琉球の上里と風間宏希がフリーになった隙を突かれてしまいました。それに加えてゴールへの花道が空いてしまいました。誰かがその道を締めたかった…。

ここは相手チームですが琉球の上門の動き出しと風間宏矢のパスが見事でしたのでそれを観ましょう。風間がボールを止めた瞬間に上門が山口のCBの間に向かってランニング,そして上門の足元に正確なパスからの正確なトラップでした。個人的にこれは好きなゴールです。

この得点で1点をリードした琉球がその後も流れを掴みます。その要因としては山口のプレスが単騎追いに近い状態になってしまっていたことだと思います。ボールを奪いに行く強度が高いもののチームとしての連動が少なく簡単に剥がされる状態になっていたのではないかと思っています。

例えば前半4分の河合のシュートシーンに繋がるビルドアップでは,吉濱が風間宏希にプレスに行くも後ろは付いてきておらずフリーになっている岡崎に簡単にパスを出し右サイドをそのまま少し進んで左サイドの徳元へ展開されてしまいました。

琉球の形としては2CBの間に中盤の上里か風間宏希が下りて3枚になり山口の2トップに対して数的優位を作る形でした。特に山口としてはサイドに開いた左CBの福井に規制をかけられずパスを出されるシーンがありました。9分のシーンがそうでした。

これらのシーンは立ち上がりから強いプレスをかけようという気持ちによるもので,その気持ちが裏目に出ていたのではないかという印象を持ちました。

逆に山口のビルドアップに対しては琉球がサイドに追い込むことである程度守れていました。サイドへパスが出た瞬間をスイッチにしてプレスをかける形を見せるシーンもありました(14分)。


注目2.山口の戦い方の変化を追う

そんな展開の中,次の注目は山口がどのように主にプレスのところを修正しようとしていたかということだと思います。私が感じた印象では「いかない」という修正でした。琉球のビルドアップに対して待ち構えてサイドにパスが出た瞬間をスイッチにコースを限定していく形を見せ始めました。最初が14分30秒付近のシーンです。

CBがボールを持ってもむやみに取りに行かず取り行く姿勢だけを見せ,サイドの岡崎にボールが出た瞬間に宮代がチェイス,そして岡崎の縦パスを高がカットという一連のプレーでした。この辺りからボールを奪えるようになってきます。

そして23分ぐらいに守り方の変化が見られました。上里に対して吉濱がマンマーク気味につき,琉球の2CBに対しては宮代が1人で追うという守り方です。これで明確に待ち構える守り方にしていることが読み取れました。こうなると山口の中盤に選手が確保されるので琉球の縦パスをカットできる機会が増え流れを取り戻していったのだと思います。

この上里マンマークの守り方はそう多く見られたわけではなかったと思いますが山口の守り方を捉えるには分かりやすいものだったかと思います。

守備は前からという部分を取り戻し,奪ったボールをミスなく前線の選手,特に高井に届けられるようになったことが流れを取り戻した要因だったと思います。もちろん吉満の再三に渡るビックセーブも不可欠なものでしたが。2回目を観る時には山口の守り方に注目してみるとまた見えてくるものがあるのではないかと思います。これは決して自陣に引きこもるということではないことがポイントです。ただ,これは修正というよりかはタイムマネジメントの中で最初はプレスに強く行く,少し時間が経ったら待ち構えるというゲームプランだった可能性もあります。


注目3.手放した勝ち点から課題を考える

後半の山口は開始直後からまた強めのプレスをかけていましたが,サイドに追い込む形でそのプレスができていたことと福井のポジションが前半ほどサイドに開かなくなったことで強めのプレスでもうまくいっていたように見えました。

後半は52分20秒付近や65分など良い守備が出たシーンが複数あったのですが,私が特に良いと思ったのが69分のシーンです。プレスに行く姿勢は見せながらも無理なら元のポジションに戻ってバックパスの瞬間にプレスに行きサイドに追い込んでサイドから縦パスを狙いすまして三幸が奪うというシーンでした。

このように守備のところがうまくいっていたので琉球にあまり反撃の機会を与えられず攻めることができていました。となると攻撃の部分で逆転ゴールを取れていればという感想になるわけなのですが,ここは正直難しい問題だと思います。なぜなら攻撃の形は作れておりあとは個人個人の質だと思うからです。チームとしてできることといえばもっとその形を作れるようにすることぐらいだと思います。

それよりも先制点を早い時間に与えてしまったことが最終的に大きく響いたのだろうという印象が強いです。なぜならこの試合では山口だけではなく琉球も決めるべきチャンスを決めきれずに相手に得点を奪われるということを経験しているからです。ここだけを切り取ればお互いに全く同じ展開だったとも言えるわけです。この試合はチャンスを作ったら決めないと決められるよねという教訓を山口,琉球ともに得た試合だったと思います。

では同じ展開を経験したのに勝敗が分かれたのはなぜでしょうか。それは琉球は追いつかれる得点を奪われたに過ぎないものの山口はそれが勝ち越しゴールだったということによります。当たり前のことかもしれませんが,琉球に先制点が生まれていたからこそこのような明暗が分かれたのだと思います。

ですから,得点を奪えなかったこと以外に試合の入り方に目を向けることもこの試合では必要だと思います。琉球があの様なボール保持をすることは予想がついたはずなのにプレスを剥がされて流れを掴まれてしまったことを突き詰めることも必要だと感じます。準備の部分なのか,事前の情報と実際のプレーにギャップを感じる部分が大きかったからなのか,気持ちが入りすぎていたのかなど考えられる事があります。

ただ課題があるということはそれだけの伸び代がありそれを楽しむチャンスがあるわけですからあと3試合山口の試合を観ることが楽しみです。それをより楽しむためにはこれまで書いてきたような点に注目して2回目を観るのも良いと思います。2回目を観ることでもしかしたらこれまで書いてきたようなことに気付けるかもしれませんし,私が書いたこととは違う新しいことが見えてくるかもしれません。

今シーズンはあと1ヶ月ですからできる限りのことをして楽しみましょう。


*文中敬称略


*おまけ
上門にやられた・・・来年はどのチームどの舞台でプレーしているのだろうか・・楽しみ


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