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ようやく掴んだ一勝 〜J2リーグ第6節 レノファ山口FC vs FC琉球 備忘録〜

再開後の初勝利です。良かった・・


J2リーグ第6節レノファ山口FCvsFC琉球の試合の備忘録です。


チームに注入されたエネルギー

前節の完敗から中2日での試合ということで心配されたのはメンタル面でした。顔を上げて戦うしかないですが、それを行うのは想像以上に難しいことだったと思います。さらにこの試合も先に先制点を奪われる展開となり「またか」という気持ちが芽生えてもおかしくない状況でした。ただ、そんな状況でも顔を上げて戦い続けることができた点がこの試合の最も大きな収穫なのではないかと思います。

そういった意味ではようやくスタメンでの出場機会を得た選手たちが期待通りのプレーをしてくれたことが大きかったはずです。愛媛戦ぶりのスタメン出場だった川井は、最後の質が足りなかった山口の中で正確なクロスを上げ、同点ゴールをアシストしてくれました。ここ2試合スタメン出場がなかったへニキもCBのポジションで長所を存分に発揮してくれました。そして、初スタメンの選手たち。山田はクロスへの積極的な飛び出しとシュートストップでゴールを守り抜いてくれました。吉濱は序盤に何度かあったスルーパスや先制点の場面では高井と川井を繋ぐプレーでチームに貢献、ただ忘れてはいけないのが守備面で、右サイドから絞ってきて危ない場面を止めるシーンが何度かあり、それは非常に大きなプレーでした。ヘナンは前節途中出場でボランチをやった時とは見違えるように攻守に渡ってチームの助けとなり、3点目のゴールも奪いMVP級の活躍だったと思います。

もちろん今まで出ていた選手もそれぞれにいいプレーを見せてくれましたが、中2日で迎えたこの試合は、途中出場の選手も含め、このように変わって出たメンバーが期待に応える活躍を見せ、チームにエネルギーを注入してくれたことが重要なファクターだったと思います。また、チームにエネルギーを注入するという意味では、ホームのサポーターの前でプレーできたことも大きかったのだと思います。DAZN中継での試合後の霜田監督のコメントの第一声は、かなり本心に近いのではないかと個人的には感じています。


イウリと小松の同時起用に見えた光明

この試合を受けて、今後注目して見てみたいと感じたのはイウリと小松の同時起用です(先程のところで「小松は?忘れてるよ!」と思ったそこのあなた、ここから語りますのでご安心を笑)。愛媛戦や磐田戦では後半同時起用されており、磐田戦では得点も奪ったこのコンビですが、非常にバランスが良い2トップなのではないかと思いました。これまでのイウリが1トップの状況では、彼が「いつ」「どこに」動くのかという点がチームとしても彼個人としてもしっくりきていないように感じていました。例えば、彼がいて欲しい時に真ん中にいなかったり、ロングボールを蹴ろうと思ったけど彼が感じていなかったり、逆に彼が背後を取った時にパスが出てこなかったりしていました。

それが、小松がピッチにいると小松自身が背後を狙ってくれたり、真ん中でもプレーできたりしてくれるので先程の問題がかなりクリアになると思います。イウリがサイドに流れた時にも、小松が中にいてくれれば十分ですし、イウリがプレーをやめていても小松が背後を取ってくれると自動的に手前のイウリにスペースができて、そこにパスをつけることができます。手前と背後、サイドと中とをお互いに補完できて、チームとしても彼ら自身のプレーのためにも非常に良い関係なのではないかと思います。

例えば、3点目のコーナーキックを獲得したシーンでは、琉球のクロスを山田がパンチングしたボールに小松が反応してこぼれ球を作り、それをイウリが拾って個人技で左サイドに展開し、カウンターを発動させました。イウリが競るだけではなく、このような関係でチャンスを作れるのもこの2トップだからだと思います。

1つチームとしての形を見つけたのではないかと思いますので、今後このコンビを継続して起用していくのか、そしてピッチでどのような相乗効果をもたらしてくれるのか注目したいと思います。


今年の琉球の飛躍のポイントと期待したい選手を勝手に挙げてみる

最後に、琉球に対して少し言及したいと思います。今節の琉球の印象は昨シーズンの琉球と似ていて「SBが高い位置を取り、中盤の選手は相手の守備ブロックの間に立ってみんなで攻める」というものでした。これによってカウンターを受けやすくなり、失点を重ねてしまったわけですが、今年の琉球はここからの脱却を図っているのではというのが徳島戦と長崎戦での印象でした。攻撃では上里が下りてIHの2人がビルドアップに関わりながら右サイドバックは高い位置を取り、左は茂木が大外に立ち沼田が内側でサポートをすることもあれば沼田が大外からクロスを上げることもあるなど、立ち位置でバランスを意識しているように見えました。守備では4-5-1のブロックを作り、中を締めて構えるという守り方を基本とし、奪いにいかないことでペースを上げすぎないようにしていると思いました。

ただ、この試合は山口の守備ブロックの間が簡単に取れてしまったことで、無理に縦に突っ込んで引っかかってカウンターを食らっていたシーンがいくつかあったと思います。4失点目のシーンはまさにそうで、李栄直が運んで行って、狭い中のスペースにパスを通そうとしたのが引っ掛かり、彼が戻れないうちにカウンターを決められてしまいました。

今年のチームは沼田の獲得によって、無理に真ん中から行かなくても外からクロスを上げまっせというのが強みだと思いますので、今後はその形での得点を期待したいところです。

それからもう1点気になったのが、ビルドアップ時の慌てぶりです。山口のプレスは確かに勢いがあって圧力を感じるかもしれませんが、局面によっては単騎追いとなっていて冷静に対処すれば逆にその後のスペースを得られるものもあったと思います。ただ、そういった場面で2失点目のシーンのように奪われてしまったり、田口のロングキックがミスになったりして流れを失っていました。特に田口のキックミスは気になった部分で、これが個人の問題なのかチームの問題なのかはこの先に向けて大きなポイントだと思います。田口自身は精度の高いキックでチャンスを演出しているシーンもあったので(77分のシーンですね)、キックが苦手なわけではないと思いますが、少し圧をかけられた時にそれを感じやすいのかもしれません。一方で、チームとしてロングボールをどう使ってプレスを剥がすのかという共通意識が持てていないのかもしれないと感じた部分もありました。プレスに来られた時に「ここに蹴ってこぼれたボールをこうやって拾う」という共通認識が薄いので、来られた時に慌ててしまい易いのではないでしょうか。

後者の面が強いのであれば、琉球らしさとは少し離れるのかもしれませんが、今後に向けて重要な鍵になると思います。その辺りは2回目の対戦に向けて見ていきたいところです。

また今後に期待した選手として池田廉の名前を挙げたいと思います。前節の長崎戦では途中出場からファーストタッチで同点ゴールを奪い、今節も右サイドでボールを引き出しチャンスを演出していました。スペースの取り方が良く、後ろから来たボールでも簡単にターンして前を向けるので内側でもプレーができます。周りが見えているので判断が速くボールを失いません。そして何と言ってもボールを持っている時の姿勢が好きです。これは単純に私が好きなだけかもしれませんが、あの姿勢はいいですね〜。

今後スタメンで起用される可能性は十分にあると思いますので、琉球の逆襲に向けては鍵になる選手だと思って注目していきたいと思います。


さて、再開後の悪い流れをようやく断ち切った山口ですが、真価を問われるのは次節の北九州戦です。以前には山口戦の解説もしていた小林伸二監督のチームは、必ず山口の痛いところを突きながら自分たちの形を表現してくるはずです。そういったチームに対してどんなプレーと結果を見せてくれるのか、遅れた分を取り戻すためにも重要な一戦となるでしょう。


*文中敬称略

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