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パーフェクトデイズ、追記

前回、映画を観た日に興奮冷めやらぬまま (笑)、つらつらと書いて投稿してしまいましたが、今回は少しだけ別の切り口で・・・。


BGMはもちろん
ルー・リード 「PERFECT  DAY」

パーフェクトとは・・・
「完璧」ではなく「満ち足りた」と考えると、
ストンと腑に落ちる気がする。

もともと私は、理不尽とか不条理とか救いようの無い映画が好きな、ネガティブ変態であります。
「ダンサー イン ザ ダーク」、「嫌われ松子の一生」、最近では「万引き家族」等。
観た後にスッキリせず、妙な「わだかまり」や「憤慨」が残るのをエモいと勘違いしている、Mっ気変態野郎でございます。

そんな真性変態 (どんだけ変態やねん) の私とて、だんだんと濃い味付けとか、脂っこいモノがキツくなるお年頃・・・。
カルビよりは、お寿司。
食べ放題は、まったく元がとれず。
たこ焼きは、ソースより醤油が良いかな。
いや違う違う、映画の話でした。

「かもめ食堂」とか、ほんわか穏やか系が胃もたれしなくて、気持ちイイみたいな・・・。 汗
そして、この「パーフェクト  デイズ」、私の中の映画ベスト5 に入りましたね。
なんだろう、めちゃ感動したとか、刺さったとかとは違う感覚。
とっても大切な、愛おしいモノ、壊したくないモノがそこにある、って感じかな。

まぁ中には、「何が言いたいのか、サッパリわからん」とか
「何度も同じような場面を見せられて、話が進まない」等の感想も散見しますね。
と〜ぜん、感じ方は人それぞれ自由なわけで、正解なんてないと思います。
ウチの嫁さんでさえ、最後の表情だけの長回しの場面では、「何か喋れよ!」って呟いてましたし。orz
あそこがキモなんだけどなぁ〜。

この映画、台詞も少ない上に、主人公や登場人物たちの背景描写や説明が、ほとんど無い。
あの人の言葉を借りるなら、10 のうちの3くらいしか教えてくれない。 笑
したがって残る7は、各々の人生経験であったり、価値観や感性と照らし合わせて想像することとなる。

観た人間が、自分で膨らませるのだ。
だからこそ、色々な捉え方の出来る作品ではあるし、点と線が入り混じったりもする。
そもそも毎日の生活に、そんな都合の良い伏線回収なんてないわけで・・・。



んで今回は、私が観た時に感じたコトが、しばらく経った今、少し違う理解になったという、お話です。
(前置きが長いわ)
これはあくまでも、私個人の見解ですけどね。

それは、「影」の解釈です。
「木漏れ日」や、風の「揺らぎ」が重要な映画ですので、この「光と影」が気になるんですよ。

鑑賞中には、この影は主人公 平山のダークサイドなんだろうと。
かつて決別した父親や家、あるいは仕事・・・みたいなモノだと思ってました。
そのしこりが、光と影のモノクロ映像となって悪夢のように出てくるんじゃないか。
また、おっさん2人の影踏みも、お互いのそんな部分の絡みなのかと。


でも今思えば、少し違いましたねぇ。
モノクロの映像は毎日変化する光と影であり、その日だけの残像のようなモノかなぁ、って。
ファインダーを見ずに、撮ってたしね。

そして、おっさん2人の影踏み遊び。
影とは、ダークな部分も含めての人生そのもの、その人が刻んできた年輪のようなものだと思うようになった。
表に見える光の裏側に、その人なりの影がある。

本来ならば、交わるコトのなかったであろう、 2人の人生がほんの一瞬重なる。
「影が重なったら、濃くなるのかな?」
「濃くならなきゃ、おかしいでしょ!」

過去を捨てた おっさんと、過去に会いにきた おっさんが出会い、年輪がまた少し刻まれる。
なんとも、沁みますねぇ。


このシーンで好きなのが、2人で煙草を吸って咳込むところ。
若い頃は吸ってたのに、今は出来ない。
そうなのだ、彼らが生きているのは「今」だから・・・。
昔に想いを馳せても、そこには帰れない。
時は刻々と変化し、新しい表情を見せる。


さて、内容を書いてしまった後で恐縮ですが、まだこの映画を未体験でしたら、ぜひ観て欲しいですね。
ご自身の感性とは違うかもしれないけど、自分なりの「木漏れ日」を感じていただきたいです。

私にとってこの映画は、まるでお気に入りのバーボンような存在感があります。
手元に置いて、たま〜に ちびりちびりと味わいたい雰囲気。
もちろん無くたって、生きてはいける。
でも、あれば少しだけ心が豊かになる。

もう、平山を知る前には戻れない。 笑


では、では、また次回。 ありがとうございました!!

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