日和や

2021年現在24歳になる息子が2歳半の時から15年、絵本を選び自分の子も含め小学校な…

日和や

2021年現在24歳になる息子が2歳半の時から15年、絵本を選び自分の子も含め小学校などで読んできました。その人数は約のべ9000名。深読み!世界名作絵本100というブログに感想を綴ってきましたが、絵本から感じる子育てのヒントを書いていきたいと思います。

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絵本で子育て〜『チムとゆうかんなせんちょうさん』心にいつも憧れを抱くことの大切さ

目の前の海に憧れる。そこに働く船乗りに憧れる。子どもたちは身近な景色から空想を膨らませています。何気ない憧れはいくつもあっていいし変わっていい。大切なのは憧れを心に持っていること。それが原動力になります。 冒険の旅へ まず、この出だしでチムの冒険心に火がつきます。 船乗りになりたいというチムですが、 まだ小さいからと両親には反対されます。 けれど、沖に出るボートがあると聞いて乗せてもらい、 汽船に乗り込むことに成功するのです。 それから船での生活は、てんやわんやの連

    • 絵本で子育て〜『ロバのおうじ』素直な心と目で見ることの大切さ

      先入観というものは知っていることが増えてゆくと自分の中に澱のように溜まってしまうものかもしれません。子どもたちにこの絵本を読んであげている人にこそ、この絵本は必要なのかもしれません。いつもやさしい眼差しと素直な心を持って対象をみることを忘れないでいたいものです。 王子なのにロバ? 先入観で見られること さておはなしは、 平和な国を治めていた王と王妃がおりました。子どもがいないことがただひとつの悩みでした。 そこで、魔法使いと取引し、子どもを授かるよう約束したのです。

      • 絵本で子育て〜『パンはころころ』繰り返すことの意味とは

        繰り返すことで得られるのは一種の安心感なのではないでしょうか。繰り返すことで知っていることが増えてゆく。世界がはじめてだらけの子どもたちは、繰り返し少し変化し生きていきます。 歌うように読むことができる絵本 こねばちの そこ ひっかいて、 こなばこの そこ ひっかいて、 あまった こな、ふたつかみ。 そうして作ったパンが、ころころ逃げ出します。 のうさぎ、おおかみ、ひぐま、とすかし、 最後にきつねにであいます。 きつねは ほれぼれするような うただなあ。 とパンく

        • 絵本で子育て〜『パンやのくまさん』仕事をするとはどういうことか

          パンやさんの1日が朝から夜寝むまでがとても丁寧に淡々と描かれています。その仕事ぶりは誠実・実直・礼儀正しさ。子どもたちはその言葉を知らなくてもパンやのくまさんの姿をみることで理解することでしょう。 やや小ぶりのサイズの絵本は、小学校の教室で20人の読み聞かせで読むより、図書室で数人の時に読む絵本でした。 表紙のどこか懐かしい絵のタッチは野暮ったくさえみえます。 はじめて出版されたのは1979年、アメリカ。日本では1987年に訳されています。 仕事の流れをきちんと知る

        絵本で子育て〜『チムとゆうかんなせんちょうさん』心にいつも憧れを抱くことの大切さ

        • 絵本で子育て〜『ロバのおうじ』素直な心と目で見ることの大切さ

        • 絵本で子育て〜『パンはころころ』繰り返すことの意味とは

        • 絵本で子育て〜『パンやのくまさん』仕事をするとはどういうことか

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        • 絵本で子育て
          11本

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          絵本で子育て〜子どもの行動が不思議だな、面白いなと感じたら『もりのなか』

          子どもの行動を見て不思議だな、と思ったら読んでみましょう。彼らは思いの外、自由で何でも丸ごと受け止めることのできる度量を持っている、とこの絵本で知るかもしれません。空想と現実の間を自由に行き来できる特別な時間を持っているのが子どもです。 エッツの代表作ともいえるこの絵本は墨一色で描かれています。 三角帽子をかぶった男の子が森の中を歩いて行きます。 そこで次々に動物たちと出会います。 動物たちの先頭に立って森を行進する男の子。 穏やかでありながら畏れを感じる絵本。 さてあ

          絵本で子育て〜子どもの行動が不思議だな、面白いなと感じたら『もりのなか』

          絵本で子育て〜夏に読みたい『沖釣り漁師のバートダウじいさん』

          主人公はおじいさんとクジラ、そして海。刻々と変わる状況に見事に対応し生還します。どんな時もユーモア持つ、楽観主義は生きるのを楽しくするコツかもしれません。さて子どもたちはどんなふうに読むのでしょう。一緒にお楽しみください。 海といえば… 海水浴 空が広いところ その先に陸がある 深い 星がよく見えそう 大きい波 生物が棲む 底に沈むもの 想像力貧困な私の発想はこんなものですが、この絵本の作者マックロスキーの想像力たるや痛快なものです。 海の平穏さ、壮大さ、荒々しさ、多

          絵本で子育て〜夏に読みたい『沖釣り漁師のバートダウじいさん』

          絵本で子育て〜きょうだいの気持ちを考える『ティッチ』

          この絵本に登場するのは、3人のきょうだいのみ。 ティッチは末っ子の男の子の名前です。 絵本の画面はいたってシンプル。 ほとんど背景もありません。 3人の関係性だけに注目したとも言えるでしょう。 おはなしはさておはなしのはじまりは、 ティッチは ちいさな おとこのこでした。 ねえさんの、メアリは、 ティッチより ちょっと おおきくて、 にいさんの ピートは、 ずっと おおきな子でした。 小さなピッチが持っているものはいつもメアリや人の物には及びません。

          絵本で子育て〜きょうだいの気持ちを考える『ティッチ』

          絵本で子育て〜やんちゃな子の見守りかた『しりたがりやのちいさな魚のお話』

          まだ世の中(水の中)を知らない、けれど好奇心はあって「なんでも知りたい!」おはなしの主人公スイスイは子どもたちそのもの。やんちゃな子どもは、経験をつんだ大人たちに見守られ助けられ経験を積んで大きくなっていく。そんな当たり前の世界をちゃんと描いてくれている絵本です。 スゥエーデンの絵本作家エルサ・ベスコフのちょっとユニークなお話。読み終えるのに15分はかかる、かなりお話しの量がある絵本です。 日差しが強く感じられ水辺が恋しくなる5月から6月によく読みました。 ちょっとおかしな

          絵本で子育て〜やんちゃな子の見守りかた『しりたがりやのちいさな魚のお話』

          絵本で子育て〜イヤだイヤだ!と言い出したら『ちいさなふるいじどうしゃ』

          何でもかんでも、いやだ!いやだ!と言い出したら一緒にこの絵本を読んで見ましょう。いやだ!のわけが少しわかるかも知れません。安心してずっーーーといやだ!と言い続ける子どもはいません。いやだ!の意思がどこへいく着くのか一つの答えかも知れません。 決めゼリフが好きな子どもたちぼくは いやだ! そんことは おことわりだ。まっててなんか やるもんか!」 この絵本の決め台詞とでもいいましょうか。 とにかくなんでも、いやだ!いやだ! なのです。 運転手さんがちょっと待っていてくれよ、

          絵本で子育て〜イヤだイヤだ!と言い出したら『ちいさなふるいじどうしゃ』

          絵本で子育て〜あたりまえを表現する難しさを知る『あたまをなくしたおとこ』

          見えないものを言葉で説明する難しさと楽しさが存分に描かれています。あらためて自分や子どもの顔を言葉であらわしてみましょう。同じ説明を聞いても人が別々のことを想像していることがわかります。 タイトルから、あたまのない男のお話であることはわかります。読み進むうちにその奇想天外さが当たり前になっていきます。 息子は小学4年生の時に落語にはまって食事中も寝る時も聞いていました。〜ちなみに桂枝雀さんにどハマり〜 このおはなしは落語のようです。 あらすじある朝、目覚めると頭がない

          絵本で子育て〜あたりまえを表現する難しさを知る『あたまをなくしたおとこ』

          絵本で子育て〜おやすみなさいおつきさま

          子どもと親に落ち着きを与える絵本。子どものはじめての絵本としてもおすすめです。変化は閑かにゆっくりと、子育てする時の心構えをこの絵本は教えてくれます。 1979年に日本で出版され今も版が重ねてられている絵本です。 2歳半くらいから絵本に親しむ子どもにとって、はじめての絵本にふさわしいすてきな絵本は、読む親にとっても心休まる絵本です。 “子育て”は“親育て”でもあります。 子どもを育てながら、親になっていった自分を思い出します。 この絵本の落ち着きは、親にこそ必要だと

          絵本で子育て〜おやすみなさいおつきさま

          絵本で子育て〜まよなかのだいどころ

          子どもの考えていることがわかったら、、、子育て中はそんなふうに思うこともしばしば。この絵本を一緒に読んだなら少しはわが子の考えていることがわかるかもしれません。息子が大好きな絵本。自由奔放に振る舞える自由な世界がそこにあります。さあご一緒に! 『まよなかのだいどころ』は 『かいじゅうたちのいるところ』 『まどのそとのそのまたむこう』とともに センダックの3部作といわれる絵本のひとつ。 共通点は、架空世界で思いきり遊ぶこと。 まよなかのだいどころでは、絶対ありえないことの

          絵本で子育て〜まよなかのだいどころ

          自己紹介〜絵本で子育て

          はじめまして。 1961年生まれ、丑年、蠍座、AB型、新潟県出身。 絵本は1997年生まれの息子が2歳半の時に、どんな絵本を一緒に読もうか、と調べ選書して読んできました。それから15年ほど息子と彼が通う小学校を中心に絵本を子どもたちに読んできました。読むことは楽しい時間でした。今も絵本の本棚に300数冊がならんでいます。 たくさんの絵本に感動しました。2012年に「絵本と」という冊子を自費出版、大好きな絵本11冊の感想を綴りました。 子育て最高に楽しく、面白い!  

          自己紹介〜絵本で子育て

          絵本で子育て〜わたしとあそんで

          子育てに求められるのは、なによりも子どもをやさしく見守る眼差しです。この絵本にはそれがお日さまという形で描かれています。世界はやさしい……そんな思いを子どもと一緒に感じてください。 マリー・ホール・エッツが描いた絵本「わたしとあそんで」は、1968年に出版されて以来長い間多くの子どもたちと親に親しまれた絵本です。 この絵本から、 受け入れる、そして見守ること を知ることができます。 さて物語は、柔らかな微笑みを讃えた女の子が楽しげに原っぱにやってきます。そこに様々な

          絵本で子育て〜わたしとあそんで