見出し画像

絵本で子育て〜まよなかのだいどころ

子どもの考えていることがわかったら、、、子育て中はそんなふうに思うこともしばしば。この絵本を一緒に読んだなら少しはわが子の考えていることがわかるかもしれません。息子が大好きな絵本。自由奔放に振る舞える自由な世界がそこにあります。さあご一緒に!


『まよなかのだいどころ』は
『かいじゅうたちのいるところ』
『まどのそとのそのまたむこう』とともに
センダックの3部作といわれる絵本のひとつ。

共通点は、架空世界で思いきり遊ぶこと。

まよなかのだいどころでは、絶対ありえないことの連続!子どもたちは、そこにワクワクドキドキを重ねます。

この絵本を大人が読むことで、子ども時代の自分を思い起こすのではないでしょうか。

子どもってよくわからない、、、そんな時に親こそ読んでほしい絵本です。

子どもの自由な発想が理解できるでしょう。

何も思い悩む必要がないことも知るでしょう。

架空世界に遊んだ自身を思い起こすことで、今が楽になるかもしれません。

子育ても自由でいいと、知るでしょう。

さて、どんなお話かご紹介します。

『まよなかのだいどころ』で起こっていること


ふとんのようにみえるパン(ケーキ)の飛行機に乗り、 ミルクのポットを頭にかぶり、得意顔でご機嫌なミッキー。


星空をバックに賑やかな街並みとパンつくりの材料が並ぶ。 看板の同じ書体がひとつもない文字が特徴的です。


タイトルの『まよなかのだいどころ』の文字がおどります。

ベッドに寝ているミッキーは、


ドーン ドサン ズン パン バン


騒がしい音に、 うるさいぞ しずかにしろ!


ベッドからくるりと落ちながら パジャマは脱げて裸ん坊に

おりたところは あかるい まよなかのだいどころ


同じ顔したコック帽をかぶった男の人が3人。

見事な体躯で、みな鼻の下にちょび髭をたくわえています。

コックさんたちは、ミッキーをミルクと間違えて、 ミッキーを粉といっしょにかき混ぜて…


真夜中の台所の背景は、表紙と同じです。


裸のミッキーはオーブンで焼かれる途中に逃げ出して、
パンの衣装に身をつつみ、 今度は自らパンをこねだします。


こねて、たたいて、かためて、のばす


できたパンの飛行機で台所の天の川へ、ミルクをとりに行きます。


そして、ミルクの巨大ビンに飛び込み、 パンはとけて、裸ん坊となって、 コケコッコーと叫び、


転がり落ちて、自分のベッドへ。

ベッドから落ちてはじまり、落ちておわるおはなしです。


絵本だからいい『まよなかのだいどころ』のよさ

さて、かなり詳細に絵本を文章にしてみましたが、 この文を読むと、支離滅裂…ですよね。

ですが、絵といっしょにみると実にたのしい!!

・ミッキーの表情やしぐさの愛らしさ
・背景が夜空、ビルが並ぶふしぎな台所
・三つ子のコックさんのちょっと不気味だけど、ユーモラスなミッキーとのやりとり

この絵本は、
コミックのようなコマわりで描かれている場面も多く、 ストーリーが進みます。


吹き出しのようにセリフがあります。 マンガの手法ですね。

おはなしの流れがスムーズになって、 場面転換もたくさんあるわけです。

文章だけではなんのことやら、ですが、 絵本ではとびきり面白くなるのです。


絵本でおこる架空世界への記号は、絶対にありえないこと


まよなかのだいどころでは、 ありえないことがたくさん起こります。


・同じ顔のコックさんが3にん
・裸で飛び回るミッキー
・ミルクと間違えられて、こねられる
・オーブンで焼かれ、飛び出す
・パンの飛行機で飛ぶ
・だいどころのあまのがわへミルクをとりに行く
・牛乳瓶に飛び込む
・たくさんの同じ顔…


それは架空世界の記号だと思います。


現実で双子以上の、 同じ顔の人を見るのはまれですからね。


いやいや、オーブンで焼かれるなんて… と思いますか?


中途半端な表現よりは、


絶対ありえない、

これが肝心です。


極端な表現だからこそ、ワクワク・ドキドキするんですね。

知らないうちに進んでいる時間の行方

こねて たたいて かためて のばす


ここはお気に入りのセリフで、 パン作りの楽しさが伝わってくる場面です。


いつも朝起きるとほかほかのパンがあって、 そのパン(ケーキ)はこうして真夜中に作られているってこと。

ミッキー どうも ありがとう これで すっかり わかったよ ばくらが まいあさ かかさずに ケーキを たべられるわけが

 
さいごのページにかかれている文です。


真夜中というのは子どもにとって未知なる世界。


知らない間に進んでいる、
なにかが起こっている、

そんな世界の不思議を垣間見たいと思うのです。

すべての子どもたちにおすすめです。

眠っている間に、


こんな夢みてるかもしれないよ


って、びっくりさせたいのです。


◉◉◉

まよなかのだいどころ

モーリス・センダック作  じんぐう てるお訳
富山房 1982/9発行

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?