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晴れ時々かいご40 「わすれないこと」

 朝起きると、ドアが開いており、父が自室の中でまっすぐに立って一礼していました。父は四男のため我が家には仏壇がないのですが、両親の写真が置いてあります。毎日ちゃんと手を合わせて挨拶しているようです。

 父はレビー小体型認知症ですが、すべてのことを忘れてしまう訳ではなく、症状には段階があります。忘れやすいことと、そうでないことがあります。すでに両親共に20年以上前に亡くなっています。それでも忘れずに続けることもあります。手を合わせる姿に朝からジーンとしました。

 そして、ストーブ問題は解決せずやきもきしていたら、案の定父の体調が悪くなりました。「(ストーブを)いらないって言うんだからいらないのよ!」と母はなぜか怒っています。しかし、私は見かねて電気ストーブを持ち出すと「これはなんだ?」と父は聞いてきました。私は「ストーブだよ」と返事しましたが「ストーブって何だ?」と聞かれました。どうやらストーブという名詞を父は忘れていたようです。

 電源を入れてあげると暖かいとストーブにかじりついています。「母にストーブがいらないんじゃなくて、ストーブが何かわからないから『いらない』と答えたんだよ』と説明しましたが、納得いかないようで「そんなはずないわよ」と信じてはくれません。だから父に私はちょっと意地悪だなと思いましたが「それ何?」とストーブを指して聞いて見せました。

 頑固な母も父が「わからない」と受け答える姿に現実をようやっと理解できたようです。電気ストーブをしまわずに置きっぱなしにしてくれることになんとか成功しました。苦節2週間。できれば父が体調を崩す前につけさせてほしかった。

 体調やコンディションで父の症状は変わります。今日のように具合が悪い時には、耳も聞こえずらくなり、機嫌も悪くなり、言葉も忘れてしまいます。当然夕方のお薬を拒否。だからなるべく私は体調を悪化させることなく保ちたいのです。

 幸い体調も寝込むほどではなく鼻水程度。昼も夜も蒸気がバンバンでる鍋料理にして、身体の中からぽかぽかになってもらいました。

歳をとると丸くなるって言ったの誰?嘘つき!と本気で思っています(笑)

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