どこにでも行けると思うっていう話。

カメラを買った。

KODAKのm35。一言で言えば、写ルンですの繰り返し使える版。焦点を合わせることはできないし、レンズを変えることもできない。写ルンですと同じようにシャッターのオンオフができるのと、後は単純に写真を撮るだけ。

とわかった風に書いてはいるものの、私も「□□に撮るには○○の機能がどうで」とか「△△の××年モデルが」とかそういったものは一切わからない。カメラに対する知識が皆無なのだ。

だからこそ、単純に、思ったままに、シャッターを押すだけで良いカメラを選んだ。

写真には元々興味があった。旅行に行く時には写ルンですを買って持って行ったし、大学生時代にはあるあるなのかもしれないけれど一眼レフやミラーレスに軽率に手を出しがちな同級生を見ていると自分も買おうかと本気で悩んだこともある。もちろん携帯にはフィルムカメラ風に撮影できるアプリを入れたし、よくわかりもせずに露出や彩度などをいじってみたりもした。

社会人になってからは遠出することも減ったし、コロナウイルスの影響もあって外出自粛の日々。地方では感染が落ち着いてきたこの頃はGo to トラベルなんてキャンペーンも始まり旅行もしやすくなったけれど、今のところ使う予定もなく。実を言うと、そもそも基本的な日常生活においてはインドア派なのだ。言ってしまえば旅行も温泉とかゆっくりできる方が好き。

そんな私がカメラを買った。

日常を残したいと思った。

仕事の帰り道、あぁ今日も疲れたなと空を見上げるといい感じにグラデーションになっていたり、休日にスーパーに向かう道で可愛らしい野良猫を見つけたり、何気ない瞬間にスマホのカメラを向けることが多い私の日常。

スマホからカメラに変わったらどうなるだろう。そしてもしそれがフィルムなら。撮ったすぐには見られないけれど、後日まるで自分からのプレゼントみたいにわくわくしながら現像する自分が想像できた。その想像をしてしまうと買わずにはいられなかった。

カメラを買ってからは常に鞄に入れている。取り出すことすらしない日もあるけれど、それでもずっと入れている。

使う予定はなくともパスポートは常に持っているなんて話を聞くことがある。私にとってこのカメラはパスポートだ。撮影だけがカメラの楽しみじゃない。行先も決めず、ホームについた電車にふらっと乗って、名も知らない駅で降りて、そこでの出会いを写真に残す。カメラひとつ鞄に入れておくだけでそんなことが今すぐにでもできる気がしている。日常生活を記録するものが非日常への切符になり得るのだ。なんて素敵。

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でも、インドア派の私がさらにおうち時間を有意義にしようとSwitch Liteの購入を検討しているのはまた別のお話。



#カメラのたのしみ方 #スキしてみて #カメラ #エッセイ

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