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ファンタスティックコント~正月はなんといっても福袋~

① 福袋の中身は?

 宝くじ売り場で買った福袋を、その場で開けました。
 中身は宝くじが十枚。
 三百円だけ、当たりました。

「今年一年、可も無し不可もなしということか。福袋、もう一個、一番安いのちょうだい。三百円のやつ」

 福袋を買って帰り、タンスにしまいました。
 無事に可もなし不可もなしの一年が過ぎました。
 タンスに入れっぱなしの福袋をみつけました。
 開けてみました。
 一等賞でした。
 有効期限は過ぎたばかりでした。 

② 福袋の中身は年賀状

 郵便局が福袋を持ってきました。
 地元郵便局の新しいサービスだそうです。
 福袋を開けました。
 中身は自分あての年賀状ばかりでした。

「なんだよ。配達そのものじゃないか」

 年賀はがきのお年玉の抽選は、当たりまくりました。

③ 福袋の中身は煙

 福袋を開けました。
 玉手箱が出て来ました。
 開けると煙が昇って、お年寄りになってしまいました。
 玉手箱の底から、若返りサプリメントのカタログが出てきました。
 カタログの下に、注意書きが書いてありました。

『効果は人により個人差があります』

④ おせち料理の福袋

 九十歳になるお爺さんの家に、おせち料理の宅配便が届きました。

「ありがとう」

 受け取ったお爺さんは、小さな福袋に気が付きました。
 中を開けると、『おせち料理割引券』が出てきました。
 十枚も入っています。
 十年分でした。
 なんと十一回目は、無料券になっています。
 お爺さんは、お婆さんの写真が飾ってある仏壇に、割引券を供えました。

「無料券を使うまで、待っててくれよな」

 チーン 

⑤ 福袋の中身はパンツ

 お相撲さんが、洋服店で買った福袋を開けました。
 色とりどりのパンツが入っていました。
 どれも小さくて入りませんでした。
 無理やりはくと、全部やぶれてしまいました。

「負け越しかよ。来年は、かつ丼屋の福袋にしよう」

⑥ バザーの福袋

 大人になった大菊成夫(おおきくなるお)君が、立ち寄ったバザーで福袋を買いました。
 福袋の中から、小さなジャンパーが出て来ました。

「子供用かよ。なんだか見覚えがあるな」

 胸の裏側に、かすれてはいるのですが、なんと自分の名前が書いてあります。

「なんだ、俺のじゃないか」

 昔、成夫君が大きくなったので、お母さんがバザーでこのジャンパーを、売ったのを思い出しました。

「なつかしいな。子供に着せようか。あ、うちの子、娘じゃないか」

 もう一人、子供をつくることにしました。娘さんでした。
 子供を、もう一人、子供を、もう一人・・・・・・。
 子だくさんになりました。

 全部、可愛い娘さんでした。

⑦ ラッキョウみたいな福袋

 福袋を開けました。また福袋です。開けると、また福袋です。出てくる福袋は、どんどん小さくなっていきます。最後に小指に乗るような小さな福袋が出て来ました。
 開けました。一枚の紙が出てきました。
 次のように、書いてありました。

「福袋見本。来年の御用命は株式会社福袋印刷へ。どんな大きさでも、お作りできます」

⑧ 泥棒の福袋

 福袋を開けました。
 金庫の鍵が出て来ました。
 失くした鍵でした。

「よかった」

 金庫の扉に鍵を差し込みました。
 扉が開きました。
 金庫の中身は空でした。
 一枚の手紙が置いてありました。
 手紙を開きました。
 次のように書いてありました。

「お疲れ様。良いお年をお迎えください。泥棒より」

 達筆でした。



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