遊びの名人は勉強の名人

私が数学専門なもので、数学の話ばっかりしてしまうのですが。
中学生向けの確率の授業をしていた時の話です。

「ジョーカーを除く52枚のトランプから1枚のカードをひいたとき、それがハートの札である確率を求めなさい。」

よくある確率の問題です。

しかし一部の生徒から、「トランプってなんですか?」という声が……。
さすがにデジタルゲームが主流の昨今ではありますが、まさかトランプを知らない子がいるなんて思いもしませんでした。

その子の保護者は勉強熱の高い方で教育にお金をかけるご家庭でした。
しかしそれゆえに、最も初歩的なところでつまづくようなことがあるんだ、と気付かされました。

遊びと学びは両軸

子供にとって遊ぶことも学ぶこともどちらも欠いてはならない要素です。
どちらかに寄ってしまうような教育は、効率の良いものとは言えず、また子供の心の成長にも悪影響を及ぼします。

座学だけでは机上の空論

文章題が苦手、図形問題が苦手、割合、比例が苦手といった幾何学、数的処理が苦手な子は遊びが足りていない可能性が高いです。
遊びといってもテレビゲームではなく、体全体を使って遊ぶような遊びです。

文章題の苦手な子に有効な遊び

文章題が苦手な子は、お絵かきや折り紙、ねんど遊びといった、手を使って頭のイメージを具体化する過程が足りていないと考えられます。
要するに試行錯誤することに慣れていないのです。

そのため、問題文を見てもにらめっこしたまま動かない。
なんとなく出て来たアイデアを試そうとしない。
頭の中だけで解決しようとする。習った問題はできるが、類題が解けない。

という考えることが苦手な子が出来上がります。
何度も失敗を繰り返しながら正解への糸口を辿る、忍耐力と試行錯誤は苦手になりやすい勉強で育むことは難しいです。
遊びやゲームなどの楽しいことの中で培っていくことが望ましいですね。

図形の問題が苦手な子に有効な遊び

図形が苦手な子は立体を具体的に想像できない、空間把握能力が十分に身についていない場合に起きます。

そういった子に必要な遊びは積み木、ブロック遊びになります。
決まった形状からそれぞれの名称を覚えていったり、限定された形状から新たな形状を作り出すための能力が図形の理解力を高めるのに非常に効果的です。

ブロックと似た形をした家にある物を探すことで相似・合同の直感的理解を促します。
立体をさまざまな角度で見る機会が多くなれば、教科書に描いてある一方向から見た図形がどのような形状をしているのかをイメージしやすくなります。

粘土遊びと違い、積み木やブロックといった形の定まっているものから新たな形状や作品を作り出すことで、複雑な形をシンプルな形に分解する力を身につけられます。
これは応用問題の複雑な図形の面積、体積を求める際に必要になる力です。

割合、比例が苦手な子に有効な遊び

割合計算や比例の計算が苦手な子は、お買い物、料理をさせることが有効です。
昨今では電子決済が主流になっていますが、何をどれだけ買ったらいくらになるのか。

通常パッケージとお得用パッケージでは100gあたりに直すとどちらが安いのか。
計算機を使ってもいいので、確かめることが割合や比例の理解を高める要素になります。

〇〇円引きと〇〇%引きではどちらがお得か、ご家族で買い物に行った時に問題を出し合ってみたりすることで、割合の考え方が身についていきます。
ついでにマネーリテラシーも身についていきます。

料理では比例や比の理解が高まる要素多いです。
料理のレシピ本では2人前、4人前の分量でレシピが掲載されていることが多いです。
それを1人前で作るとしたら、3人前で作るとしたら……。
そこに比例と比を理解する要素が詰まっています。

最後に

遊びの中にある学びを大切にすることが座学の学びの効率を飛躍的に向上させていきます。

実際に私が数学を得意としている背景にも、遊びの中で得た知識が学校の授業でそのまま出て来たことで、算数・数学ってとても簡単だね♪と思えたからだと言えます。

ぜひこの機会に遊びに対する考えを見直してみてはいかがでしょうか?



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