見出し画像

地方の産婦人科事情。4つの産婦人科で出産してみて感じたこと。

私はこの10年間で、子どもを4人授かって出産しています。
しかも4人とも違う産婦人科で出産しています。
改めて振り返ると、病院ごとに注力するポイントやこだわりが違っていて面白いので、少しご紹介します。

A施設:とにかく赤ちゃんファースト

「妊娠中の冷えは絶対ダメ!お腹の赤ちゃんにしっかり栄養を送るためにも妊婦は夏でも長靴下にレギンス!」と口を酸っぱくして仰っていました。
なぜ冷えがダメなのか、体の仕組みからしっかり教えてくださるので、納得して体を冷やさないようにしていました。

出産も自由な体制でOK。産まれたばかりの赤ちゃんがびっくりしないようにと明かりも暖かい灯りの下、分娩台というよりもふかふかのベッドで横になって出産しました。
産後入院中の食事も母乳がよく出るようにと考えられた和食で、食事作りの勉強にもなりました。


B施設:作業効率優先

全てが流れ作業のようで、私はあまり相性が良くなかったかな。。



C施設:超アットホーム

先生も助産師さんもとにかく一人ひとりの赤ちゃんを可愛がってくださっていました。
我が家は妊娠中から赤ちゃんの名前を決めていたこともあり、妊婦健診のエコーの時にも先生達が「〇〇ちゃん、お顔見せて〜」とお腹の赤ちゃんに話しかけながらじっくり丁寧に診察してくださっていました。赤ちゃんの心音だけでなく、へその緒の音も聞かせてくれていました。

いざ産まれる〜出てくる〜というお産の時なんかは「〇〇ちゃん頑張れー!もう少しだよ!!」と赤ちゃんの名前を呼びかけながらでした笑。
生まれた瞬間は「〇〇ちゃん頑張ったねー」と全員で拍手して歓迎してくださり、温かさが有難くて「この赤ちゃんは幸せな人生を送れるなぁ」と感じたほどです。



D施設:ママファースト

ホテルのようなキレイで快適な施設で、お料理も豪華でした。
出産後の入院初日の夕食を見て、「お祝膳を用意してくださったのかな」と思ったほどでしたが、同じレベルの食事が毎回続きました。1日2回出るおやつも手作りされていて美味しかったです。

共用のシャワールーム&パウダールームは毎回使用後に清掃スタッフさんがピカピカに磨いてくださるので心身ともにスッキリできましたし、お部屋も毎日キレイに整えてくださっていました。
妊娠と出産を頑張ったご褒美のような滞在でした。


全ては私が経験した感想ですので、同じ施設でも私とは違った感想を持つ方もおられると思いますが、こうして書いてみると、施設によってこんなにも違いがあるんだと改めて感じました。
妊婦さんやそのご家族が何を重要視されるかで選ぶ施設は変わると思いますが、皆さんがミスマッチなく、産みたいところで産めるのがいいなぁと思います☺︎



【この10年間で変わったこと】

実際に10年間で、妊娠出産を取り巻く環境が大きく変わったなぁと感じたことが2つありました。

1:地方から産婦人科がなくなる


私がお世話になった4施設のうち、2施設が分娩を中止されました。
2施設とも妊婦健診はするけど、分娩は取り扱いませんという判断をされました。

全国でも産婦人科施設数が
2006年:約6000 → 2022年:約5000件
と減少しています。特に分娩を扱う病院と診療所が減少しているようです。

近年は、出産年齢の高齢化(35歳以上が全体の30%!←私もですが)などでハイリスク妊婦の割合が増加する一方で、ドクター達の過重労働が問題となっています。
その解決策として、周産期医療の集約化・重点化とドクター達の働き方改革が推進されています。

お世話になっているドクターによると、働き方改革により産婦人科医は8人1チームになるとのこと。
更に熊本県では、産婦人科医の半分が女性なので、産休育休を取得されることを考えると、1チームあたり8人と言わず10人はいるのではないか、とのことでした。



実際に熊本県内でも郡部の分娩施設は減少の一途です。
周産期(妊娠22週から出生後7日未満までの期間)医療は、熊本市周辺に集中していっており、遠方に住む妊婦さんは負担増となっています。

私も4人目のお産の時には、最寄りの産婦人科が分娩を中止されたので、片道1時間半かけて熊本市内の施設でお世話になりました。妊婦健診も往復3時間を運転していました。


2:コロナ禍での規制


コロナの5類以降は規制緩和されていますが、コロナ禍の時は、妊婦健診時の同伴制限・面会制限がかかっていました。

私も4人目の妊婦健診の際には、同伴規制がかかっており、上の子どもを連れて行けなかったので、子ども達が保育園や小学校に行っている平日にお仕事を休んで健診に行っていました。
当時は新型コロナが未曾有のウイルスでしたので致し方ないですが、平日のお仕事を休むのは、フリーランスやパートの方などは経済的にも厳しかったと聞きます。

一方、産後の面会制限は良かったと感じています。
家族に会えないのは淋しいものの、産まれたばかりの赤ちゃんのお世話や自分自身の産後の疲労回復に集中できたのは良かったです。


まとめ

コロナ禍での対応は現在変わってきていますが、変わらないのは分娩施設の集約化・重点化です。

産婦人科がなくなると地域は過疎化すると言われています。
地方在住者として、産む場所が遠くなっている今、【分娩施設までのアクセス確保】が直近の課題だと思っています。アクセスを確保するための対策について、妊婦さんとご家族任せにするのではなく、何か仕組みとして考えていく必要があると感じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?