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映画に観る整理収納Vol.15             「銀河鉄道の父」編

ドライブインシアターには昔何度か行きましたが、
屋外で映画を観るのは多分初めてでした。
初秋の風に吹かれて気持ちの良い晩でした。


親ごころ

この映画はかの有名な宮沢賢治の物語ではなく、題名のごとく「その父」のお話です。

もちろん宮沢賢治の話抜きには語れないので、賢治の生誕から亡くなるまでを追ってお話は進みます。
裕福な質屋の長男に生まれた賢治は父政次郎に溺愛され、好きなことを学んで青春時代を過ごします。
賢治の作品しか読んだことがなかった私は勝手に賢治の生家は貧しいと思い込んでいましたので全くもってこれがまず意外でした。
やがて長男でありながら質屋という仕事を弱い者いじめと思った賢治は
継ぐことを拒み、「人口宝石を作る」と言い出したり、「宗教に身をささげる」と家を出たりして政次郎を怒らせ、 困らせます。
それでも政次郎はやはり可愛くて仕様がないため、賢治の希望をできるだけ叶えてやろうとするのです。
その想いがさらに強くなったのはきっと妹のトシの死が関係していると思います。「永訣の朝」のあの妹です。
トシが若くして病床に伏した時、賢治が懸命に妹に寄り添い、自作の物語を語って聞かせる様子を見ていた政次郎は、その物語の素晴らしさに驚嘆したのも勿論ですが、トシを亡くして一層、子にはやりたいことをやらしてやりたいという気持ちがあったのではないかと思います。
親ごころとでもいうのでしょうか、「なんでもやらせてあげたい」という思いと「教育しなければ」という義務感の間で揺れ動く政次郎の気持ちが痛いほどに伝わります。
賢治が漸く人生を賭けられることに出会えた途端に病を得ることになってしまった場面は本当に切なく、つらい気持ちになりました。

優秀な収納「ふろしき」

さて、「ふろしき」の話をしたいと思います。
映画の中で賢治が赤痢になり入院する場面で、政次郎は柳行李に荷物を詰めて、大風呂敷にそれを包み肩に背負い、付き添いのために病院へ急ぎ向かいます。
「ふろしき」はなんと便利な収納なのだろうと改めて驚きました。
あんなに大きな行李も背負うことができれば持ち歩けます。小さなモノを包むときは結び方で調整できます。瓶や丸いものも包めます。
そして使い終わったら掌に乗るほどに小さくなり、仕舞う場所も取りません。
私は旅行に行くときには必ず持って行きますが、これからはもっと多用しようと思いました。

賢治の作品は死後に少しづつ世間に広まっていったようです。
ご家族のご努力も大いにあったかと思いますが「良いものは良い」ということでしょう。
どんなものでも「良いものは残る」のではないでしょうか。
ふろしきもいつから使われ始めたのかはわかりませんが、これからもずっと残る気がします。
とりあえず私が今持っているふろしきは少々小さめなので大きなふろしきを見つけたいと思います。




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